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改正風営法が施行されても変わらない〝ホス狂いの心理〟

2025.06.27

女の子の恋愛感情を利用して高額な飲食代を請求する”色恋営業”など、悪質ホストクラブの規制や罰則を強化した改正風営法が6月28日から施行される。

改正法では、色恋営業や売掛金などの支払いのために女性客を性風俗店で働かせる行為、性風俗店のスカウドバック行為の禁止、無許可風俗営業の罰則強化などが含まれる。

この改正法で歌舞伎町に代表される夜の街の風景はどのように変わるのだろうか。

「年間売上◯億円突破」「神」「○○に溺れろ」は禁止に

改正風営法に合わせ、ホストの広告も規制される。

6月4日、警察庁はホストクラブを含む接待飲食業に対し、広告·宣伝の取り扱いに関する新たな通達「接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて」を発出した。

今回の通達では、以下のような過度に遊興意欲を煽る表現が広告規制の対象となる。

【NG広告の具体例】
売上や指名数を強調する文言:「年間売上◯億円突破」「No.1ホスト」「億超えプレイヤー」
営業成績を匂わせる肩書き:「総支配人」「頂点」「幹部補佐」「神」「レジェンド」
ランキングやSNSフォロワー数の競争煽り:「売上バトル」「SNSフォロワー数◯万」
顧客の“推し活”を過度に煽る表現:「○○を推せ」「○○に溺れろ」

これらは、「客の判断力を鈍らせ、違法行為を助長する恐れがある」として、規制対象となる可能性があると警察庁は警告しており、今回の規制は屋外広告だけでなく、店舗内の装飾や掲示物も対象となる。歌舞伎町を歩いていれば自然と目に入ってくるホストクラブの広告表現はほぼ全て今回の規制の対象となるだろう。通達には従わない場合は営業停止などの処分を検討すると明記されており、店舗経営者は対応せざるを得ない状況だ。

「誰かの役に立ちたい」からホストにハマる心理

この改正風営法は、近年多発するホストクラブの色恋営業や売掛金、それを巡るトラブルが増加しているという社会背景がある。

しかし、この改正法では根本的な解決にはならないと歌舞伎町に詳しいジャーナリスト·橘雛子さんは指摘する。

「規制強化の方向性自体は理解できます。それによって無理やり風俗で働かされる女の子たちが救われるという側面は支持したいと思います。

しかし、今回の改正風営法では本質的な問題の解決にはつながらないという印象です。

ホストにお金を使いたいという女の子たちの気持ちは、単なる営業トークの結果ではないんです。実際、ホストが積極的に誘導しなくても、自発的に風俗で働いてホストに貢ぐ子は少なくありません。
特に、地方から東京に出てきて孤独のなかで夜の仕事を始めた子たちが、唯一心を開ける存在としてホストに依存してしまうケースもよく見かけます。斡旋を禁じても、もともと風俗で働いている子が多いのが現実です。

そもそも彼女たちは『誰かのために役に立ちたい』という思いを持っています。家族や社会とのつながりを失ったなかで、『誰かの支えになっている』『誰かに必要とされている』という感覚を求めて、ホストクラブに通うようになるんです。ホストに貢ぐという行為は、社会的役割を自分に課すことでもあるんですよね。

だから、法規制だけでは彼女たちの心の居場所は守れません。社会として本当に向き合うべきなのは、“ありがとう”と言われる経験や“頼られる存在”としての実感を得られるような支援体制です。”普通の社会人”として働くことへのハードルがあまりに高くなっている今、それを乗り越えられなかった人たちが夜の世界に流れ込んでいる。この構造を変えない限り、表面のルールをいくら整備しても、根っこは変わらないままだと思います」

「夜の街」を”悪”にせず向き合うのが社会の責任

変わるのはホストクラブ界隈だけではない。

表向きはマッサージやエステといったサービスを提供する「メンズエステ」という業態がある。繁華街を中心に10数年ほど前から増加している業態だが、年々、性的サービスを提供する店が増加しグレーゾーンの風俗店へと変貌を遂げている。実態としては性風俗店の1業態に数えられている。そのため近年、摘発が後を経たない業界だったが、改正法によりさらに厳しく取り締まられることが予想される。

メンズエステで働く20代の女性は今回の改正法に思いを語った。

「最近はオプションで裸になったり性的サービスを提供したりする店舗も増えています。お店から直接的には指示されなくても”黙認”されているケースがほとんど。ただ、今回の改正法には経営者も危機感を持っているようで、改正法施行を前に無店舗型派遣型風俗店へと業態を変える店舗もありました。私の周りの女の子たちも、これを機に足を洗う子が多そうです」

今後、夜の街はどのように変わっていくのだろうか。

前述の橘さんは改めて社会として在り方に問題提起をする。

「トー横キッズや大久保公園の問題もそうですが『蓋をする』だけでは解決しません。

今回の法改正で、救われる女の子や風俗営業の健全化など一定の効果はあると思います。でも、全てが解決するわけじゃない。規制が強化されても先ほど述べたようにホストにハマる女性の気持ちは解決されないし、グレーゾーンの風俗店で働かないといけない子達の生活は変わらない。規制するだけでなく場合によっては夜職を支援することも必要になるのかもしれない。そういった議論も含めて、今後、社会全体で向き合う必要があります」

取材・文/峯亮佑

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