
日本で暮らす以上、地震は対岸の火事ではない。いつ何時わが身に降りかかるかわからない自分事だ。
近年では首都直下地震や南海トラフ地震の発生に伴う甚大な被害が懸念されているが、実際のところ、生活者はどれほどの防災意識を持ち、また、地域によって防災意識にどれほどの差があるのだろうか?
LINEヤフーはこのほど、「ヤフー防災模試 地震編」の全国ユーザーの受験データをもとに、「あなたは何点? 防災模試で地震リテラシーを可視化する」と題した防災意識の傾向を可視化したレポートを公開した。
「南海トラフ」への関心の高まり
2024年8月に宮崎県沖・日向灘で地震が発生し、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表した。これにより、将来的な大規模地震への関心が全国的に高まった。実際に、「Yahoo!検索」において「南海トラフ」に関する検索数が、通常時と比較して最大で約9倍に増加するなど、防災に対する意識が急速に高まっていることがデータからも明らかになっている。

このような関心の高まりを受け、LINEヤフーは「ヤフー防災模試 地震編」の受験データを分析し、全国47都道府県の防災意識や知識の傾向を可視化した。本分析では、2024年4月25日から2025年4月25日までの1年間における受験結果をもとに、都道府県別の平均スコアと設問別正答率を集計した。
大規模災害を経験した地域や南海トラフ地震の想定被害が大きい地域はスコアが高い傾向
「ヤフー防災模試 地震編」は、発災から避難、避難所生活、生活再建まで、全25 問の設問を通じて、災害時の備えや行動を学べるコンテンツだ。100点満点中、全国平均スコアは52.2点となり、最高点は鳥取県の55.0点となった。
上位には、東日本大震災の被災地である宮城県(54.6点)、岩手県(53.7点)や、熊本地震を経験した熊本県(52.6点)に加えて、南海トラフ地震による甚大な被害が想定されている静岡県(53.6点)、高知県(53.6点)、愛媛県(53.5点)などが含まれた。
これらの結果から、災害経験や将来的なリスク認識がある地域では、防災知識が定着している可能性が示唆される。一方、全国的に極端なスコア差は見られず、地震防災への意識が一定程度広がっていることも確認された。

設問別データで見る地域ごとの傾向と背景
設問ごとの正答率を分析した結果、地域によって傾向の違いが見られた。たとえば、「熊本地震の発生率」に関する設問では、熊本県をはじめ、福岡県、長崎県、宮崎県など、地震の発生リスクを身近に感じている地域で高い正答率が確認された。
「東日本大震災の津波の高さ」に関する設問では、宮城県や岩手県など、実際に津波被害を受けた東北地域で高い傾向が見られ、「阪神淡路大震災の出火原因」に関する設問では、兵庫県を中心とした関西エリアでの正答率が高くなった。
加えて、「建物の耐震性」に関する設問では、宮城県、静岡県、三重県、高知県など、過去に震災を経験した地域や南海トラフ地震による影響が大きいとされる地域で高めのスコアが確認された。
これらの結果から、過去の災害経験やリスク認識がある地域ほど、関連する知識が定着している傾向がうかがえる。


避難・制度・応急処置に関する設問は正答率が全国的に低い
「避難所のマーク」、「最も近い避難所」、「災害伝言ダイヤルのかけ方」、「災害時帰宅支援ステーション」など、制度や避難に関する情報を問う設問では正答率が低く、基本的な防災行動の理解は浸透している一方で、詳細な制度知識については定着にばらつきが見られた。
また、「止血の順序」や「心臓マッサージ」などの応急手当てに関する設問、「地震保険補償額」に関しても正答率が低く、災害発生後の対処や生活再建に関する知識においても課題が明らかになった。

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出典元:LINEヤフー株式会社
構成/こじへい