
モトローラ・モビリティ・ジャパンは、直販サイトで7万9800円の「motorola edge 60 pro」を発表。発売日は2025年7月4日となる。
従来、例外はあれど、ほとんどのスマホは、上位モデルのハイエンド(フラッグシップ)モデル、下位モデルのエントリーモデルと、中間に位置するミドルレンジモデルに分けられるのが一般的だった。
しかし近年、物価高に伴うハイエンドモデルの価格高騰や、スマホスペックのベースアップといった要因から、各メーカーが、ハイエンドとミドルレンジのさらに中間に、「ミドルハイ(ミッドハイ)」と呼ばれる価格帯に製品を投入している。よほどヘビーにアプリゲームをプレイしたり、カメラスペックに強いこだわりがなければ、多くの人が快適に使用できる価格帯として、競争が激化している。
文句なしの最上位モデルと違い、〝できることを全部詰め込む〟ような設計にはできないため、1桁万円後半という価格から、どのような個性を出すのかが、競争のポイントとなる。では、motorola edge 60 proには、どのような強みがあるのか。発表会の様子とともに紹介していこう。
motorola edge 60 proの特徴
motorola edge 60 proは、MVNOとしてはIIJ mioが取り扱うほか、各家電量販店やECサイトにて販売される。通信キャリアモデルとしては、「motorola edge 60s pro」と名前を変え、ソフトバンクが取り扱う。ソフトバンクモデルは、7月11日発売で、総額8万8560円となり、「新トクするサポート スタンダード」に加入すれば、1~24回目の支払いが50円と、お得に利用できる。
■美しいクワッドカーブデザインと触り心地のいい背面素材
motorola edge 60 proは、6.67インチと比較的大きいディスプレイを搭載する。四隅が丸みを帯びた、「クワッドカーブデザイン」と、ディスプレイ左右が湾曲したエッジディスプレイを備る。そのためベゼルも細く、画面をそのまま手に持っているような感触になるほど。解像度は1.5Kでえ、縦横比20:9、120Hzリフレッシュレートにも対応する。


近年は、操作の安定感といった観点から、フラットディスプレイを採用するスマホが多く、エッジディスプレイのスマホはほとんど見なくなっているが、個人的には、迫力が演出しやすく、ベゼルがほとんど気にならないエッジディスプレイは、使っていて楽しいと感じる。短い時間しか試せていないため、誤動作がどれほど起こるかまでは判断できていないが、アプリゲームを頻繁にプレイするといった使い方でなければ、おすすめしたい仕様だ。
本体サイズは、約160.69×72.98×8.24mm、質量は約184gとなる。ベゼルが非常に細いため、本体サイズも、ディスプレイサイズから考えるとあまり大きくなく、見た目の印象よりも軽いと感じた。

本体カラーはPANTONE Shadow(シャドーグリーン)、PANTONE Dazzling Blue(ダースブルー)、PANTONE Calcite(カルサイトホワイト)の3色展開となる。PANTONE Calcite(カルサイトホワイト)は、日本限定カラーで、ホワイトに近い、落ち着いた色合いになる。

背面には、少しザラっとした手触りの、ヴィーガンレザー素材が採用されている。一般的なスマホにはあまりない素材感で、指紋もほぼ付着せず、滑り落ちにくいのがうれしい。傷がつく不安は少々あるが、気になる場合は、同梱される専用カバーを付けて運用するといいだろう。

■独自AI機能「moto AI」とAIを瞬時に呼び出せる「AIキー」を搭載
各社が競争するAI機能としては、独自の「moto AI」が利用できる。機能によって、オンデバイス処理、クラウド処理と使い分けており、バックグラウンドの言語モデルもさまざまとのことだ。
具体的な機能としては、テクスチャ入りの写真から壁紙を生成する「Style Sync」や、テキストから独自の画像を生成する「Magic Canvas」といった、従来モデルより利用できた機能は、「Image Studio」というアプリに統合される。

アシスト関連の機能としては、音声の書き起こしや翻訳、要約をする機能や、見逃したメッセージ、重要なToDoの用悪をする機能、端末に記録された過去のデータに瞬時にアクセスする機能などが、秋ごろのソフトウエアアップデートにて対応予定となる。
そのほか、グーグルのGeminiにも対応しており、Gemini Liveを使った、AIとの対話も可能。また、AI検索エンジンの「Perplexity」にもデフォルトで対応しており、購入時には3か月間(ソフトバンクモデルは6か月間)は、有料版が無料で利用できる。本体左側面には、Perplexityを呼び出せるAIキーも備えられた。


カメラ、写真編集で使えるAI機能も多数搭載されており、写真内の明るい部分と暗い部分の比率を高め、ダイナミックレンジを向上させる「Photo Enhancement Engine」や、ユーザーの好みを学習して、色味を自動的に調整する「Signature Style」、複数人での撮影時に、全員が目を開いているタイミングの顔を合成する「Group Shot」などが利用できる。

なお、アウトカメラは、約5000万画素メインカメラに加え、広角/マクロ撮影ができる5000万画素カメラ、3倍の光学ズーム、50倍のデジタルズームができる1000万画素の望遠カメラを備える。

■食洗器にも耐えられる超タフネスボディと28分でフル充電ができる急速充電に対応
motorola edge 60 proは、IP68/69に加え、MIL STD 810Hの23項目に準拠した、高い耐久性を持つ。発表会では、食洗器に入れて丸洗いしても、正常に動作するデモンストレーションが行われており、頑丈さには自信がうかがえる。

というのも、モトローラの親会社であるレノボは、2024年に、arrowsシリーズで知られるFCNTを傘下に収めている。堅牢性に定評のあるarrowsシリーズのDNAを受け継ぐ形で、motorolaのスマホも進化していることがうかがえる。
バッテリーは5000mAhで、同梱される充電器での125W急速充電にも対応。バッテリー残量1%から100%の充電が、およそ28分で完了する急速充電にも対応しており、ソフトバンクモデルは、「神ジューデン」シリーズとしてもラインアップされる。充電速度は環境によって多少前後し、発表会では、約23分で充電が完了する様子も紹介された。

そのほか、メモリは12GB、ストレージは256GBで、搭載SoCはMediaTek Dimensity 8350 Extreme。おサイフケータイ機能や、指紋認証、顔認証の両方に対応している。
日本、グローバルのどちらでも急成長を見せるモトローラ
モトローラは、日本においては、アップルやサムスン、グーグルと比べると、知名度では劣るかもしれないが、グローバル市場では、6四半期連続での成長を見せており、FY24会計年度では、収益ベースで+27%増益、出荷概数ベースでは+19%の成績を残している。
また、日本を含むAPAC市場では、人気タレントのCM起用などが功を奏し、+181%の大幅な増益を記録している。2025年度は、日本市場で前年比2倍の成長を目標に掲げるなど、非常に勢いのあるメーカーだ。
今回登場したmotorola edge 60 proは、FCNTのarrows Alphaと共通する仕様も多数見られるように、モトローラのスマホには、今後ますます、FCNTのDNAが入っていく可能性がある。折りたたみスマホの展開にも精力的で、ハイエンドモデルからエントリーモデルまでを幅広く展開するモトローラには、日本のスマホシェア率を大きく書き換えることにも期待したい。
取材・文/佐藤文彦