
紫外線は例年3月頃から増え始め、5月から8月にかけてピークを迎える。今年の6月は晴れの日も多く、既に日焼けを実感している人も多いのではないだろうか。
日焼けをしたとひとことで言っても、肌に赤みが強く出る人と、肌がだんだん黒くなってくる人がいる。日に焼けたあとのこの肌の違いはいったいなんなのだろうか。皮膚科医で水道橋ひふ科クリニック院長の神島輪先生に教えてもらおう。
紫外線に対する反応性の違い「フォトスキンタイプ」とは?

「フォトスキンタイプ」という言葉を聞いたことはあるだろうか。紫外線に対する反応性の違いでタイプを6つにわけたものだ。
「白人の人がⅠで、黒人の人がⅥです。Ⅰの人は日焼けをした際に、“常に赤くなり、決して皮膚色が濃くならない”タイプです。Ⅵの人は、“もともと黒いため、日焼けによる変化があまりない“タイプ。日本人はこのタイプのⅡ~Ⅳくらいに分布しています。Ⅱは”常に赤くなり、その後少し皮膚色が濃くなる“Ⅲは” 時々赤くなり、必ず皮膚色が濃くなる“Ⅳは” 決して赤くならず、必ず皮膚色が濃くなる“というタイプです」
■違いの要因は「メラニン色素」
この反応の違いに大きく関わるのが、肌の色の違いや髪色の決定にも関係する「メラニン色素」だという。
「白人では元々メラニン色素が少なく、黒人は元々大量のメラニンが皮膚にある。このメラニンというのは紫外線から皮膚や髪を守る役割を果たしています。日焼けをすると皮膚が黒くなる人は、紫外線から体を守るために、メラニンが増加した結果です」
■黒くなるタイプの人は紫外線ダメージを受けにくい?
つまり、黒くなるということは、紫外線のダメージを受けにくくなっているということだ。
「タイプⅡやⅢの赤くなるタイプの人は、メラニン色素が比較的少ないので、紫外線によるダメージを細胞が受けやすい状態で、紫外線のダメージに弱いとも言えます。紫外線のダメージに弱いことで、光老化といい、しわやたるみなどが起きやすくなったり、皮膚がんになりやすくなったりします。一方黒くなるタイプの人は紫外線ダメージを受けにくくなるので、比較的光老化や皮膚がんは起きにくいと言えるでしょう。ただし、メラニンが過剰に作られている状態なのでシミなどに繋がりかねない」
日焼けのタイプ別ケア

■黒くなりやすい人
日焼けをして黒くなりやすい人は、日焼け対策としてサングラスの着用もおすすめだという。
「目から紫外線が入ることで、脳が“紫外線がきたからガードしなきゃ”と反応し、肌の細胞がメラニン色素を出すという説があります。また、そもそも目に直接紫外線が入ると白内障が起こりやすくもなります。紫外線から目をガードすることは、非常に大切な視点です」
■赤くなりやすい人
赤くなるタイプの人は日焼け後の肌が痛々しく感じることもあるが、日焼け後はどういう対処をすべきなのだろうか。
「紫外線を浴びて赤くなっている肌は軽いやけどを起こしているのと同じ状態です。まず冷やすことが先決です。特に日焼けで痛みや水ぶくれなどが発生している場合は、皮膚科を受診しましょう。ステロイドなどで炎症を抑えることも選択肢に入ります」
日本人の場合は人によって日焼け後の肌の反応に違いがあるとはいえ、「紫外線ダメージを受けない」わけではない。予防のためにしっかり日焼け止めを塗り、遮光を意識した生活をして、肌にダメージを与えない生活を心がけよう。
神島輪医師プロフィール
日本抗加齢医学会専門医、日本レーザー医学会認定医、日本皮膚科学会正会員、サーマクール認定医、ウルセラ認定医。東京女子医科大学を卒業後、東京女子医科大学病院、シロノクリニックなどを経て、水道橋ひふ科クリニックを開業。
取材・文/田村菜津季