
世界標準の絵文字の発展に大きく貢献した、ドコモ絵文字の提供が順次終了している。この記事ではその背景や注意点を紹介する。
目次
1999年にiモード端末で誕生して以来、ガラケー文化とともに発展してきたドコモ独自の絵文字。しかし、国際的な絵文字が主流となった昨今においては、一定の役目を終えつつある。機種やアップデートのタイミングにより、順次使用できなくなっている。
この記事では、ドコモ絵文字の概要、提供終了の背景などをわかりやすく解説する。
ドコモの絵文字とは?
ドコモの絵文字とは、NTTドコモが提供している独自デザインの絵文字を指す。スマートフォンやフィーチャーフォンの標準機能として、長年搭載されてきた。
他社が提供する絵文字とは別にドコモ独自のスタイルが確立されていたが、2025年5月に提供終了の決定が発表され、26年の歴史に幕を下ろすこととなった。ここでは、ドコモの絵文字の特徴や歴史を紹介する。
■概要と特徴
ドコモの絵文字は、ドコモの携帯電話に標準で組み込まれているグラフィック形式の絵文字だ。Unicode(国際的に利用される文字コード)絵文字とは異なる独自性を持つ。
ビジュアルはカラフルで親しみやすく、ハートや顔文字などラインアップも豊富なことから、長年にわたり多くのドコモユーザーに親しまれてきた。
■1999年から提供開始
ドコモの絵文字は、1999年に登場したiモード端末(iモード=携帯電話でインターネットが使用できるサービス)に搭載されたのが始まりだ。当時、後にドワンゴ取締役・ニコニコ代表を務める、栗田穣崇氏によって制作された。
ガラケー時代には、絵文字はメールでの感情表現や会話を彩るものとして必須の存在となり、他社もNTTドコモに追随するかたちで絵文字文化が急速に拡大した。ドコモの絵文字を原型として、現在世界中で使われている「Emoji」が生まれたといわれている。
はじめに開発された176種類の絵文字は、2016年にアメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されていることからも、影響力の大きさがうかがえる。
ドコモ絵文字が終了した背景・理由
ドコモ絵文字が提供終了となった背景には、フィーチャーフォンのサービス終了やスマートフォンの普及、Unicodeによる絵文字の統一などの動きがある。技術的・文化的な変化の中で、ドコモ独自の絵文字の提供廃止が決定された。
■時代の変化と絵文字文化の移り変わり
スマートフォンが普及した近年では、AppleやGoogleなどの主要プラットフォームがUnicodeをベースとした絵文字を採用し、グローバル規模でコードの統一が進んでいる。これらの絵文字はより表現豊かで高精度な点が特徴だ。
OSごとにSNSやメッセージアプリでデザインが異なるものの、表示される絵文字自体は同じコードに準拠している。
■ドコモの方針変更やサービス統合
グローバル標準の絵文字の利用人口が増加するにつれ、ユーザーが異なる絵文字の表示や操作で混乱しないよう、キャリア独自の要素を徐々に減らす動きが見られた。ドコモの絵文字についても、一部の絵文字が置き換えられる現象が起こり、ドコモの端末利用者からは「絵文字が見にくい」と不満の声も見られていたのだ。
昨今の利用状況を鑑みて絵文字に関する方針の見直しが行われ、提供終了の判断が下された。今後はOSベースの絵文字に一本化される流れが加速するだろう。
ドコモ絵文字の提供終了スケジュール|対象機種も
ドコモ絵文字の提供終了は2025年6月下旬から実施されているが、具体的な終了日は機種ごとに異なる。また、提供終了後はGoogleやサムスンが提供する絵文字の利用が推奨される見込みだ。
提供終了にあたっては、メーカーやOSのアップデートスケジュールによって影響範囲が異なるため、機種ごとの対応状況を確認しておこう。
■終了日・移行スケジュールまとめ
ドコモによると、絵文字の提供終了は2025年6月・7月以降発売の機種が対象となり、今後も定期的なアップデートによって非対応の機種が増える見込みだ。
■対象の機種
ドコモの絵文字の提供終了時期は、利用する機種によって異なるため、チェックしておこう。
Samsung Galaxy以外の製品
Samsung Galaxyを除くドコモのAndroid機種やドコモケータイのうち、2025年6月下旬以降に発売された機種ではドコモの絵文字が利用できない。これらの機種ではGoogleが提供する絵文字(Noto Color Emoji)の利用が推奨されている。また、2025年6月下旬以前に発売された機種は、継続してドコモの絵文字を利用可能だ。
Samsung Galaxy製品
Samsung Galaxyシリーズでは、2025年7月以降に発売の端末からドコモ絵文字の提供が終了している。これらの端末ではサムスンが提供する絵文字を利用することになる。
また、2025年7月以前に発売された機種であっても、一部の製品は2025年10月以降に実施されるアップデートによって、絵文字が利用できなくなる予定だ。Samsung Galaxyの製品を利用している場合は、ドコモ絵文字の提供終了の対象になる可能性がある。ドコモ公式の情報やスマホの通知を随時確認しておくのがおすすめだ。
ドコモ絵文字の終了に関してユーザーが注意すべきポイント

ドコモ絵文字の提供終了にともない、ユーザーが絵文字の表示や操作において混乱しないように注意すべき点を紹介する。
■機種によって提供終了後に使える絵文字が異なる
ドコモの絵文字提供が終了した後、代替として表示される絵文字は機種によって異なる。Samsung Galaxy以外のドコモAndroidおよびドコモケータイは、Googleが提供する絵文字(Noto Color Emoji)を、Samsung Galaxy製品はサムスンが提供する絵文字の利用が推奨されている。
ドコモの絵文字と他メーカーの絵文字では見え方が大きく異なるため、これまでと同じ感覚で使用していると、はじめは慣れない部分が出てくるだろう。
■ソフトウェアのアップデートにより使えなくなる可能性がある
ドコモ絵文字の提供終了の対象ではない機種を利用していても、2025年10月以降に実施予定のアップデートによって、絵文字が使えなくなる場合がある。アップデートの内容に「絵文字に関する仕様変更」が含まれているかを事前に確認しておくと、想定外の変化に備えることができる。
■今後利用できなくなる機種の情報は追って案内される
ドコモでは、今後も絵文字の提供終了に関する追加のアップデートや対象端末の拡大が見込まれており、最新情報の確認が欠かせない。絵文字が利用できなくなる製品や詳細スケジュールについては、別途ドコモの公式サイトで公表されるため、定期的にチェックしておきたい。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部