梅雨時は要注意！日本人の7割が自覚する「天気痛」とは？

梅雨や猛暑などによって体調に変化を感じる人も多い時期だが、天気や気圧の変化による身体の不調である「天気痛」をご存じだろうか？　天気に関するさまざまな情報やサービスを提供しているウェザーニューズは、本格的な雨や台風のシーズンを前に「天気痛」に関する症状や対策方法などについて、『ウェザーニュース』アプリやウェザーニュースのウェブサイトを通して「天気痛調査2025」を実施して調査結果を発表した。

なおウェザーニューズは、気圧医学の第一人者である佐藤純医師と体調管理アプリ『天気痛予報』を共同開発して、“天気痛”が起こりやすいタイミングを予報するサービスも提供している。

日本人の7 割近くが天気痛を自覚

「あなたは天気痛を持っていますか？」という質問では、「はい」と回答した人が35％、「持っている気がする」と回答した人が33％、「いいえ」と回答した人が32％で、「はい」と「持っている気がする」を合わせると7割近くが天気痛を自覚していることがわかった。

性別では、女性は約半数が天気痛持ちと回答し、「持っている気がする」と合わせると8割以上が天気痛の自覚を持っていた。都道府県別では、天気痛持ちの割合がもっとも多かったのは徳島県の54％で、次いで長崎県（52％）だった。

大塚気象予報士は、「気圧変動には、低気圧や高気圧の通過に伴う変動のほかに大気潮汐や昼夜の寒暖差の影響で毎日決まった時間に繰り返される12時間周期の気圧変動があります。この周期的な気圧変動は、北日本より西日本や東日本で大きく、日本海側より太平洋側で年間を通じて大きい傾向があり、天気痛持ちの方の割合が多くなる要因のひとつとして考えられます」とコメントしている。

約1割が天気痛と診断された経験あり！

「天気痛を持っている」、「持っている気がする」と回答した人に「天気痛と診断されたことはありますか？」と質問すると、天気痛を診断された経験がある人は1割余りだった。一方で、天気痛の自覚がある人でも7割近くは医療機関を未受診だという。

男女とも40代での発症が最多

天気痛を感じ始めた年齢については、男女ともにもっとも多かったのが40代で、全体の2割以上を占めていた。女性は男性に比較して若い世代からの発症が多く、過半数が30 代までに発症していたという。男性は40代の次に発症が多かったのが50代で、次いで30代だった。

天気痛の症状の変化傾向では、「変化はない」と回答した人が38％でもっとも多く、年々重くなっていると回答した人が30％、重い年もあれば軽い年もあると回答した人が28％だった。症状について年々軽くなっていると回答した人は、わずか4％と少数だった。

佐藤医師は、「私の外来では女性が全体の80％以上を占めています。平均年齢は40歳程度で、10代から80代まで幅広い世代の方が受診されています。天気の影響を取るための治療はもちろんですが、天気痛のもとになる疾患の治療を早期からしっかりと行うことで、症状の改善がしやすくなります」とアドバイスしている。

症状第1位は頭痛で約9割に症状あり

天気痛の具体的な症状に該当する項目を複数選択で回答してもらうと、天気痛の症状として圧倒的に多かったのが頭痛で回答者の87％だった。続いて眠気が53％、肩こり・首こりが50％、4番目がだるい（44％）だった。性別でみると男女ともに症状の第4位までの項目は同じだったが、女性は第5位がめまいで第6位が耳鳴りだったのに対して、男性の第5位は関節痛で第6位が腰痛だった。性別で症状の傾向の違いもあるようだ。

約3割が週に2回以上発症と回答

天気痛の症状がどのくらいの頻度なのか、「ほぼ毎日」、「週に2～3 日」、「月に数回」の3つから質問すると、もっとも多かったのは「月に数回」で72％だった。「ほぼ毎日」は6％と少数だったが、「週に2～3日」と「ほぼ毎日」を合わせると約3割が週に2回以上は天気痛の症状に悩まされていた。性別と年代別では、男性よりも女性が発症の頻度が高く、若い世代ほど発症の頻度が高い結果になったという。

5人にひとりは梅雨に症状が悪化

「天気痛の症状がひどい季節はありますか？」という質問では、過半数が季節問わず1年中、症状に悩まされていると回答した。季節では、梅雨と回答した人がもっとも多く全体の22％を占めており、5人にひとりが梅雨に症状の悪化を感じているようだ。ちなみに梅雨の次に多かった季節は春で15％だった。

大塚気象予報士は、「天気痛には気圧のほか、気温や湿度の変化も影響していると言われています。梅雨に天気痛の悪化を感じる方は、雨で湿度が上がることで体調を崩しやすくなっている可能性がありそうです。春の症状悪化は、発達した低気圧の接近・通過に伴う気圧や気温の変動が影響している可能性があると考えられます」とコメント。梅雨時の湿気の上昇や春の気圧や気温の変化といった気候の変化が天気痛を誘発させている可能性はありそうだ。

対策方法の第1位は約7割が実践する「薬を飲む」

天気痛の症状がひどい時の対策について、該当する項目を複数選択で回答する形で質問すると、「薬を飲む（通常量）」がもっとも多く、「薬を飲む（多め）」と合わせると全体の約7割もいた。ただ、約3割は痛くても「ひたすら耐える」と回答しており、具体的に対処していない人も一定数いるようだ。

ちなみに症状がひどい時でも我慢すると回答した4926人に理由を聞くと、「正しい対処方法が分からない」がもっとも多く、女性の3人にひとり、男性の4人にひとりが痛みの対処方法に迷っていることが判明したという。

「これまで我慢していたから」と回答した人は、女性は2番目、男性は3番目に多く、痛みがひどくても「これまで我慢できていたから」と引き続き我慢してしまう人も多いようだ。

佐藤医師は、「天気の影響を受ける人は、天気が変化するたびに体調が悪くなるので、どうしても痛み止めに頼ってしまいがちです。一方で痛みが強すぎたり、痛み止めを飲み過ぎると薬が効かなくなってくるので、痛みを我慢しないといけない状況になってしまいます。天気の変化を事前に予想できれば、痛みがひどくならないうちに効果的に痛み止めを服用できるようになるので、自分の傾向を把握してタイミング良く服用するようにしましょう」と薬に関しては、服用のタイミングを考えた方がよいとアドバイスしている。

天気痛の影響で3人にひとりは生活に支障あり

天気痛の症状が生活へ及ぼす影響について、痛みが一番ひどい時の状況を「痛いがガマンできる程度」、「少し休む程度」、「仕事・学校を半日休む程度」、「仕事・学校を1日休む程度」という項目から選んでもらうと、3人にひとりが「仕事・学校を半日休む程度」か「仕事・学校を1 日休む程度」と回答しており、天気痛の症状が生活に支障をきたしているようだ。「少し休む程度」を含めると7割近くが我慢できないほど症状があると答えている。

天気痛の調査では、天気痛を感じている人は、生活への支障や効率低下を感じている人が多いようだ。天気痛を感じている人でも約7割は医療機関を未受診と回答しており、なんとか我慢している人も多い。さらに正しい対処方法がわからないと回答している人も多かった。

ウェザーニューズでは、6日先までの天気痛のリスクを4段階で予測する「天気痛予報」を提供しており、事前に痛みのリスクを把握することで効果的な対策のサポートをしているという。

さらに「梅雨の天気痛チェックシート」を使えば、10個のチェック項目への回答で天気痛の可能性を3段階で診断することもでき、梅雨に入って何となく不調を感じる“梅雨ダル”で悩んでいる人も自分が天気痛か判断する目安として活用できる。天気痛だと感じたらチェックシートを試して気候の変化にきちんと対処していくことが大切だろう。

佐藤純医師
プロフィール
医師/医学博士。愛知医科大学痛みセンター客員教授、中部大学生命健康科学部教授。パスカル・ユニバース代表。気象変化と慢性疼痛、自律神経の関係が専門。2005年に愛知医科大学病院痛みセンターで天気痛・気象病外来を開設した気圧医学の第一人者。日本疼痛学会監事、日本運動器疼痛学会理事、日本生気象学会理事などを歴任。「天気痛ドクター」としてテレビや雑誌など活躍中。

大塚靖子気象予報士
プロフィール
ウェザーニューズ 予報センターの気象予報士。「天気痛予報」担当。日本生気象学会 気象病・天気痛研究委員会。佐藤医師とともに「天気痛予報」を開発。ユーザーからの天気痛の症状報告を分析し、予報の評価や改善を担っている。

「天気痛調査2025」調査概要

調査期間：2025年5月8日～2025年5月20日
回答者数：全国2万3955人
調査方法：『ウェザーニュース』アプリやウェザーニュースのウェブサイトを利用
※「あなたは天気痛を持っていますか？」という質問以外は、「あなたは天気痛を持っていますか？」で「はい」もしくは「持っている気がする」と回答した1万6235人が対象

https://jp.weathernews.com/news/52572

構成／KUMU