小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

キスでうつ病が伝染する!?科学によって解明された驚きのメカニズムとは?

2025.06.22

 キスをはじめとする他者との粘膜接触では、性病をはじめとするさまざまなリスクに晒されることになるが、生理学的な疾病だけでなくうつ病や不安障害などのメンタルの不調にもつながることが新たな研究で報告されている。

キスで精神疾患が伝染する!?

 日本では長らく過去の感染症と見なされてきた梅毒だが、2015年頃から患者数が増えはじめ、東京都では2022年には3677人と急増し、その後も微増を続け2024年には調査が始まって以来、最も多い3760人に達している(東京都感染症情報センターより)。

 梅毒感染者の増加にはさまざまな原因が考えられるわけだが、性行為をはじめとする粘膜接触の機会が増えることでリスクが高まることは間違いない。

 そして粘膜接触は感染症などの生理学的な疾病のリスクになるだけでなく、メンタルにも影響を及ぼすことが新たな研究で示されている。

 イランの独立研究者、レザ・ラストマネシュ氏をはじめとする研究チームが今年4月に「Exploratory Research and Hypothesis in Medicine」で発表した研究では、新婚カップルを対象に口腔内細菌叢の状態が精神疾患の伝播に果たすメカニズムが実験を通じて検証されている。

 口腔内の微生物の集団は口腔マイクロバイオームと呼ばれ、その状態は唾液中のコルチゾール濃度の変化と共に、うつ病や不安障害に関連しているといわれている。

 キスをはじめとする粘膜接触の機会が多いと思われる新婚カップルの口腔マイクロバイオームはお互いに似通ってくるのだろうか。

カップルの間でうつ病が共有された

 研究チームは結婚6ヶ月の新婚カップル1740組を対象に、参加初日と6カ月後のうつ病と不安障害の程度を測定し、口腔マイクロバイオームの状態と唾液のコルチゾール濃度を検査した。ちなみにコルチゾールは別名“ストレスホルモン”と呼ばれ、ストレスを受けることで分泌が増加する。

 新婚カップルは双方共に心身健康な夫婦が多かったが、どちらか一方にうつ病と不安障害のレベルが高い組み合わせが268組あった。研究チームはこの罹患群配偶者カップル268組を、健康な対照群配偶者カップル268組と比較した。

 収集したデータを分析した結果、配偶者の口腔マイクロバイオームは時間の経過とともに類似性を深め、特に片方のパートナーがうつ病や不安症を患っている場合はその傾向が顕著であることが突き止められた。共に生活することで口腔内の環境が似通ってきて、一方にうつ傾向があればそれが他方に伝播することが確認されたのだ。

 具体的には口腔内のクロストリジウム、ベイロネラ、バチルス、ラクノスピラ科の細菌数の多さが、うつ病と不安障害の発症と関連していた。そしてうつ病と不安障害は高い確率で不眠症の併発につながっている。

 口腔マイクロバイオームの伝播はカップルにおけるうつ病や不安障害の媒介に関与していることが示されたのだが、研究チームによればこの関連性が因果関係にあるかどうかを明らかにするにはさらなる研究が必要であるということだ。

口腔の健康は全身の健康に通じている

 口腔内の衛生状態を良好に保つことの重要性があらためて確認される研究となっているが、キスなどの粘膜接触の機会が多いカップル間では相手に配慮する意味においても口腔衛生は特に肝要だ。

 米ミネソタ州ロチェスターに本部を置く世界的に有名な総合病院「メイヨークリニック」が昨年3月に同院ウェブサイトで発表したレポートでは、口腔衛生の劣化が心臓疾患、肺炎、糖尿病、がん、アルツハイマー病などの疾病を引き起こす可能性を指摘しており、口腔の健康は全身の健康に通じているとの理解が求められている。

 口腔の健康には唾液の分泌が欠かせない。唾液は食べ物を洗い流し、口腔内の細菌が作り出す酸のバランスを保つことにより、細菌の拡散や病気の発生を防ぐことができる。

 そして服用している薬がある場合、特定の薬は唾液の分泌を減少させる可能性があることも知っておきたい。そうした薬には、鼻づまり改善薬、抗ヒスタミン薬、鎮痛剤、利尿薬、抗うつ薬などがあり、こうした薬を服用している場合は人一倍、口腔ケアに勤しまなければならないだろう。

口腔ケアのポイント

 具体的な口腔ケアのポイントは次の通りだ。

●1日に少なくとも2回、1回につき2分間歯を磨く。歯ブラシは柔らかめがよく、歯磨き粉はフッ化物配合のものを選びたい。舌も忘れずに磨く。

●歯間ブラシやデンタルフロス、ウォーターフロッサーなどの専用の製品を使用して、毎日歯の間を掃除する。

●健康的な食事を摂り、甘い食べ物や飲み物を控える。

●歯ブラシは3~4カ月ごとに交換する。毛先が摩耗したり、広がったりしている場合はそれよりも早めに交換する。

●少なくとも年に1回は歯科医を受診し、検診とクリーニングを受ける。歯科医は状態に応じてより頻繁な通院やクリーニングを勧めるかもしれない。また歯茎のケアが必要な場合は、歯周病専門医と呼ばれる歯茎の専門医に紹介されることもある。

●禁煙に努める。

 口腔内の健康状態に何か問題を感じたらすぐに歯科医に相談したいものだ。口腔の健康管理は全身の健康につながるのである。

※研究論文
https://www.xiahepublishing.com/2472-0712/ERHM-2025-00013

※参考記事
https://neurosciencenews.com/oral-microbiome-emotional-contagion-29135/

文/仲田しんじ

美術館でととのう!?科学が証明した「ルノワール」や「浮世絵」が心に効く5つの理由

 アートが持つ力にはさまざまな効能があることが指摘されているが、新たな研究では視覚芸術を鑑賞することで幸福感が大幅に向上することが報告されている。芸術鑑賞は幸せ...

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年6月16日(月) 発売

DIME最新号は、「40代からのメンズ美容入門」!スキンケアの基礎や、白髪、薄毛、加齢臭などこの世代ならではの悩みを徹底解説。さらに、読んですぐにスキンケアを実践できるウーノの豪華2大付録つき!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。