
2016年に設立されたバスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」の人気が、日本中で沸騰している。
先々シーズンの公式データであるが、2023-2024年のB1平均入場者数は4617人。中でも人気チームの琉球ゴールデンキングスは7746人を集め、2位のアルバルク東京も6012人の平均入場者数となっている。
そのアルバルク東京がいよいよ、2025年秋からホームを新アリーナに移行する予定だ。
Bリーグは2026年に新たなリーグのフォーマット構築を行い、さらなる発展を目指している。そんな中、人気2位のチームが本拠とする新スタジアムとは、どのようなものだろうか?
TOYOTA ARENA TOKYOはいつ、どこにできる、どんなアリーナ?
TOYOTA ARENA TOKYOは、お台場エリアと呼べる東京都江東区青海に建設される。
敷地面積は約2万7000m²で、収容人数はスポーツ(バスケット)で約1万人、コンサートでは約8000人を収容する予定となっている。
開業は2025年秋を予定し、Bリーグのアルバルク東京のホームゲーム主催と、同じくサンロッカーズ渋谷のホームゲーム主催(2026年より)も控える。
トヨタアルバルク東京の林社長は「東京で国際試合をしたい。その立候補地としてふさわしいアリーナにしたかった」という。
その言葉通り、TOYOTA ARENA TOKYOは収容1万人のメインアリーナのほかに、バスケットコート1面分のサブアリーナやアルバルク東京の練習施設、adidasのスポーツパークなど複合的な施設となり、「従来のアリーナは競技者中心でしたが、TOYOTA ARENA TOKYOは、わくわくするような体験ができる」(林社長)ように、様々なこだわりを持つ。
まず、観客席の設置形状は、「すべての席からバスケットボールコートを正対して観られる、楕円型」(林社長)となっている。
そして、全席レザーシートでかつ、座面と背面がクッション仕様となっており、カップホルダーが付く。
さらに、コートまで約18mの距離で観戦できるテラススイートや、選手のロッカーとコートとの動線に隣接し、選手を間近で感じられるラウンジを用意した。
このように、「圧倒的な没入感」(林社長)を持つTOYOTA ARENA TOKYO。さらに、パナソニックが照明や音響、映像や総合演出システムを担当することで、エンターテイメント性が飛躍的に向上しているのだ。
■アルバルク東京ってどんなチームなの?
改めてここで、アルバルク東京について確認したい。
アルバルク(ALVARK)とは、〝電撃〟を意味するアラビア語を語源として生まれたチーム名だ。チームカラーは赤をメインに、サブカラーは黒を採用する。
アルバルク東京は前身をトヨタ自動車の実業団としている。1948年にトヨタ自動車株式会社実業団として創部され、1970年には愛知実業団1部で優勝。1987年と1996年には、日本リーグ1部で準優勝を果たしている。
さらに、2001年にはスーパーリーグで優勝。2011年にはJBL(日本バスケットボールリーグ)でも優勝するなど、長い歴史と実績を持つチームだ。
そして、2016年にトヨタアルバルク東京株式会社を設立。アルバルク東京として現在に至る。
パナソニック初の〝一括納入〟で実現したTOYOTA ARENA TOKYOを彩る最先端アリーナ演出の全貌
TOYOTA ARENA TOKYOとアルバルク東京の概要をお伝えしてきた。ここからは、さらに詳しく、パナソニックの最先端アリーナ演出をご紹介したい。
■国際バスケットボール連盟(FIBA)認証の照明をパナソニックが担当
TOYOTA ARENA TOKYOで、パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社は照明や映像、音響、サイネージなどの演出設備を担当している。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 副社長 マーケティング本部 本部長 稲継哲章さん
はじめに照明設備からご紹介したい。TOYOTA ARENA TOKYOの照明には、同社製の最新LED投光器「グランドビームER」144台が、国内アリーナとして初めて導入され、このうち112台が競技用、32台が客席用となっている。
上記の照明器具は国際バスケットボール連盟(FIBA)と認証契約を締結しており、最新の照度基準(OFFICIAL BASKETBALL RULES 2020)にも準拠しているため、FIBA主催の国際大会の開催が可能となっている。
ご紹介したLED投光器は競技者のパフォーマンス向上と観客への臨場感あふれる視認性の提供を目指しており、また、個別に制御することできめ細かな光の演出や多様な競技パターンの設定が可能だ。
また、次世代の「4K8K放送」をカバーする色域により、アルバルク東京のチームカラーである「赤」を忠実に再現する演色性と、「白」を色かぶりなく鮮明に表現する。
特に注目は、パナソニック独自の3Dシミュレーション技術の活用だろう。
これは、競技者視点での徹底したまぶしさ対策と照射角度の最適化を行い、競技に最適な照明環境を実現する。
設定にあたり、シミュレーションが徹底され、平面図上ではなく、選手の移動や視点の変化を考慮した検証を行い、競技面と客席の明るさにメリハリをつけ、観戦者の没入感を高める〝劇場型照明空間〟を創りだす。
■国内アリーナ最大、バスケットコート2面を超える大画面のLEDビジョンがスゴい!
バスケットボールを盛り上げる演出として欠かせないのが、大型ビジョンだろう。
もちろん、TOYOTA ARENA TOKYOにも大画面のLEDビジョン、「LEDセンターハングビジョン」が、パナソニックにより設置される。
さらに、国内アリーナ初となる上下2層構造の「LEDリボンビジョン」も、オーディエンスを大いに盛り上げてくれる。特に上層リボンビジョンは国内アリーナ初の高さ2m、長さ約260mに及ぶ大規模なもの。
大画面のLEDビジョンとリボンビジョンを合わせると1000m²超となり、これは、国内アリーナ最大面積で、バスケットボールコート2面分を優に超え、圧倒的なスケールで会場を包み込む。
■照明、映像、音響、サイネージまでをパナソニックが一括で演出。没入感は半端ない
コートを派手に演出する照明、映像に加えて、音響やサイネージも最新技術が惜しみなく投入されている。
音響設備は国内アリーナ最大規模のラインアレイ構成。原音を忠実に再現し、狙った場所へ正確に音を届けるため、世界のトップアーティストが選ぶd&b audiotechnik社のスピーカーを採用。会場全体に圧倒的な音響体験をもたらしてくれる。
また、国内アリーナでは最大数となる、約130台のサイネージをエントランスやコンコース、VIPエリアなど様々な場所に設置している。
これらの照明、映像、音響、サイネージは統合制御される。パナソニック独自の総合演出システム「KAIROS(ケイロス)」を活用し、タッチパネル操作で簡単に一括制御を行えるのも、TOYOTA ARENA TOKYOの自慢だ。
TOYOTA ARENA TOKYOは年間100万人の来場者を目指す!
TOYOTA ARENA TOKYOは、Bリーグで屈指の人気を誇るアルバルク東京のホームアリーナとして、誰もが感動する観戦環境を築き上げ、2025年秋にデビューする。
トヨタアルバルク東京の林社長は、TOYOTA ARENA TOKYOで年間100万人の集客を狙うと、熱く未来を語る。
「アルバルク東京は代々木第一体育館では1試合当たり平均で9000人ほどのご来場をいただきました。TOYOTA ARENA TOKYOでは立地を考慮しても1試合で平均8000人ほどの来場を予測しています。ホーム30試合で8000人の方に訪れていただくと、24万人のご来場が、さらに、その他のスポーツやコンサートなどで年間100万人のご来場を希望しています。早速、VTuberの方から問い合わせをいただくなど、スポーツ以外での利用希望も集まっています。
そして、青海は海上に航路が通ることも含め、当面は高いビルに囲まれることが少ないと思います。美しい景観も含め、多くの方にご来場いただけるアリーナになればと思っています」
東京都江東区青海に2025年秋誕生するTOYOTA ARENA TOKYOは、東京高速鉄道りんかい線の「東京テレポート」駅、東京臨海新交通臨海線〝ゆりかもめ〟の「青海」駅から近く、交通の便に優れる。
そのため、平日の開催ではビジネスパーソンの利用も十分可能だ。そんな仕事帰りに気軽に寄れて、アルバルク東京を本気で応援できるTOYOTA ARENA TOKYO。2025年秋の大注目施設になるのは間違いないだろう。
取材・文/中馬幹弘