
2024年よりDIMEにて連載中の「マンガでわかる生成AI」の原作を担当している、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト 森一弥です。
本コラムは読者の皆さんにとって身近な生成AIツールや新機能を、実際に森が触ってみてご紹介するコーナー。今回は皆さんがよく使っているであろうオンライン会議ツール「Zoom」を改めて触ってみました。
知らずに損しているかも? ZOOMの「AI Companion」
コロナ禍で市民権を得てから、今となっては多くのビジネスマンにとってなくてはならないものになった Zoom 等のオンラインコミュニケーションツール。会社によっては「Google Meet」や「Microsoft Teams」を使っている人も多いと思いますが、どのツールでも、最近はAIによる議事録作成や会議の要約が可能になってきています。
ツールや契約しているライセンスによって制限や機能差はありますが、今回はこの中でも特におすすめしたいZoomの「AI Companion」の機能を詳しくご紹介します。
普段からZOOMを使っているけど、ここまで使いこなせていない! という方も多いはず。ぜひこの記事を読んで、知られざる幅広い機能を試してみてください。
スマホアプリやPCアプリ、Webサイトと複数の方法で利用可能なZoomですが、今回はWebでの画面を中心に見ていきます。
ログイン後に「ミーティング」を作成しようとすると、さまざまな設定ができるようになります。
出典:Zoom
「ミーティングをスケジュール」から新規作成する
出典:Zoom
「ミーティング」の入力項目
こちらの画面、多くの方は利用しているものの、「トピック」にミーティング相手の名前を入れたり開催日時などの会議情報を入れるくらいかもしれません。
実はこのミーティングの設定情報を下の方にスクロールしていくと「AI Companion」の設定項目があるんです。ここだけ英単語なので、スルーしてしまっている方もいるのではないでしょうか?
初期設定が「OFF」のAIコンパニオンを「ON」に
出典:Zoom
「AI Companion」は初期状態でOFF
残念なことに「AI Companion」の機能は初期状態で「OFF」になっているようで、そのために機能自体の存在を知らずに使っていないという方も多くいるはず。まずはこの設定を「ON」にしましょう。
すると、細かい機能について設定できるようになります。この機能が初めて登場した初期の頃からさらにアップデートされて、最近は設定項目が増えているので、過去に設定したことがあるという方もぜひ見直してみてください。
出典:Zoom
AIコンパニオンの2つのオプション
「AI Companion を自動的に開始する」というチェックをONにすると、「ミーティング内質問を自動的に開始する」と「ミーティング要約を自動的に開始する」の2つの項目にチェックを入れられるようになります。
ミーティングへの質問と「今北産業」
1つ目の「ミーティング内質問を自動的に開始する」は、ミーティング内での会話の内容を、あとから振り返って確認するのに便利です。プルダウンからオプションを選ぶことができるのですが、初期値は「参加者全員(参加時点から)」となってます。
AI Companion 機能を使うと、ミーティングの参加者全員が、AIとのチャットでミーティング内容に関して質問することができるのですが、このオプションはミーティングに途中参加した人が参加時点以降の内容を対象に質問ができるという意味です。「あの人さっきなんて言ってた?」と発言内容を確認したり、要約したりといった使い方ができます。
出典:Zoom
質問できるユーザーと質問可能時点を決める
一方で、会議に遅れて参加した場合に「ここまでの内容を要約して教えてほしい」と思う人も多いのではないでしょうか?
実はこの機能、少し前まではなかったのですが、プルダウンオプションから「参加者と予定参加者全員」を選択すれば可能です。
昔の某掲示板用語で言うところの「今北産業(「今来たから3行で説明して!」の意)」が可能になるので、別の予定で遅れてきてもすぐに議論に参加できますし、先にいるメンバーにとっても、内容の説明に時間を取られることがありません(余談ですが、ほんとに「今北産業」とAIチャットに書くと概要を出してくれました)。
これ、よくよく考えたらリアルの会議でもあると便利ですよね。オンラインでなくともZoomを通して会議をするのもありなんじゃ?と思えるのは私だけでしょうか。
ミーティングの概要とTODOの作成
ふたつめのオプションは「ミーティング要約を自動的に開始する」です。こちらはプルダウンで要約の送付先を選べます。
出典:Zoom
概要の送付先
ミーティングの最中に、AIチャットに概要をまとめてもらうこともできますが、ミーティング終了後にメールで概要が送られてくるのも便利です。概要だけではなく「次のステップ」として、会議内容をもとにした、これからの「TODOリスト」も作ってくれます。ただ、概要にまとめられる対象メンバーはZoomにログインしているユーザーが基本になります。例えばオンラインとオフラインのメンバーが混在しているような会議などでは、概要にまとめられる発言者や、TODOリストの対応メンバーが実態とは違う内容になってしまいますので、注意が必要です。
「Zoom AI Companion」活用法まとめ
機能の存在を知らずにスルーしていた方もいると思われる、ZoomのAI Companion機能ですが、実際「ON」にして一度使ってみると、きっとこれからも手放せない機能になると思います。
とはいえ、言うまでもないですが、重要なミーティングの場合はあわせて録画もしておくことをおすすめします。AIによる概要が怪しくても、後から動画を確認できますし、以前の記事で紹介した「NotebookLM」に音声情報を入れて概要を作ってもらったり、チャットで質問したりするのもなかなか便利ですよ。
状況に合わせて複数の便利ツールを使いこなしてみてくださいね!!
森 一弥(もり かずや) https://twitter.com/dekiruco
アステリア株式会社 ノーコード変革推進室 エバンジェリスト。 テレワーク推進の波に乗り、某有名SFアニメの聖地である箱根に移住。アニメや漫画、甘いものとかっこいいクルマをこよなく愛す、気ままな技術系エバンジェリスト。 AIやブロックチェーンなど先端技術とのデータ連携を得意とし、実証実験やコンサルティングの実績も多数。見聞きしたことは自分でプログラミングして確かめた上でわかりやすく解説することが信条。 現在は AI や IoTなどの普及啓発に努め、生成AI協会(GAIS)のエバンジェリストとしても活動中。