
待ってくれ。梅雨入りした途端、早くも気温35度超え続出。記録的な暑さだった2024年を上回るペースで熱中症警戒アラートが発表されている。
暑さ対策をしないと、大袈裟ではなく命の危険さえある厳しさ……。
しかし恐れ慄くなかれ。今日から毎日、気持ちよくお風呂につかるだけで、一日の疲れが癒やされるだけでなく、夏バテや熱中症が重症化するリスクが軽減するという。
そんなうまい話ってある?
“汗をかけない”ことが危険!
「入浴に、重い夏バテや熱中症を防ぐ可能性がある」と発表したのは、株式会社バスクリン。温浴効果を高めて疲労ケアしてくれる入浴剤「バスクリン」「きき湯」などを手がける日用品メーカーである。
お話しを伺ったのは、株式会社バスクリン チームお風呂博士・奥川洋司研究員と小番美鈴研究員だ。ふたりは日頃から、入浴や入浴剤の効果を研究しているという。

奥川洋司研究員
「弊社では、15~69歳の男女に、入浴習慣などを聞く『バスライフ実態調査』を継続して実施しています。その結果を解析したところ、湯船につかる浴槽浴が、夏バテや熱中症に一定の効果をもたらす可能性があることがわかりました」(奥川洋司研究員)
熱中症重症者と入浴頻度の関連における多変量解析(「2022年夏バスライフ実態調査」)
6月以降の入浴頻度と夏バテの重症度との関連(「2022年バスライフ実態調査」)
解析結果によると、湯船につかる頻度が「月3回以下」の人は、「週7回以上」の人と比べて熱中症の重症化リスクが高まる可能性があるそうだ。また、夏バテでも同様の結果が得られ、「月3回以下」の人ほど重症化の割合が多かった。一方で、「週7回以上」の浴槽浴は、熱中症・夏バテいずれも重症化リスクを下げる可能性があるという。
小番美鈴研究員
毎日、気持ちよくお湯につかるだけで、夏場の体調不良リスクを軽減できる可能性があるなんて。素晴らしい!
だがしかし、ここ最近ではSNSを中心に「風呂キャンセル界隈」などというスラングも流行中。心身の疲れやタイパ面から、入浴はもとより、お風呂に入る人は減っているのでは?
「いえ、そうでもありません。夏場は57%、冬場は75.4%の人が週1回以上、浴槽浴をしているという調査結果もあるんですよ。
むしろちょうどいい入浴は、疲れを癒して翌日のパフォーマンスにも貢献してくれます。『風呂キャン』している方は、ちょっともったいないですね」(奥川洋司研究員)
なるほど。しかし、お風呂につかるだけで夏場の健康に効くのは、なぜ?
小番研究員によると、カギは“発汗”だという。
「汗をかく習慣が乏しい方は、高温多湿な環境で体に熱が発生した際、体温調節がうまく働かず、熱中症の発生リスクが高まることが考えられます。そこで暑さが本格化する前から入浴での発汗を習慣化することで、体を暑さに慣れさせ、熱中症の重症化リスクを低減させることができるんです。
とくに、運動習慣がない方や、普段からシャワー浴が多い方にお試しいただきたいですね」(小番美鈴研究員)
「浴トレ」のやり方と注意点
そうとなれば、早速実践するのみ!
バスクリンが推奨する方法は、「41度の湯船に肩まで約10分間つかる全身浴を、2週間行う」というもの。つまり、やや熱めのお風呂に気持ちよくつかるだけである。
「41度が熱ければ、40度の湯船に15分つかるでもいいです。10分、15分とつかり続けることも厳しければ、5分つかったら頭を洗って、また5分つかって……というふうに、入浴する時間を分割してもOK。
目安は、じんわりと汗をかく程度。お風呂につかって体温が1.3度ほど上昇することで、皮膚の血流量が増え、体の熱を放散して体温を下げるという体温調節が行われます。これは人体にあらかじめ備わった機能なのですが、汗をかく習慣が少ないとうまく行われない場合もあります。それを少しずつできるようにトレーニングしてゆくんです」(小番美鈴研究員)
ローマは一日にして成らず。筋トレの成果が感じられるには時間がかかるように、“浴トレ”の効果も緩やか、とは奥川研究員。
「2週間ほど続けることで、汗をかけなかった方も上手に汗がかけるようになり、少しずつ暑さに体が慣れてゆきます。だからなるべく暑さが本格化する前から取り組んでいただけるとよいでしょう」(奥川洋司研究員)
注意すべきは、血圧が160~170などと高い人や、飲酒後は“浴トレ”をしないこと。また、あまり長時間の入浴も、のぼせや脱水などにつながるリスクがあるという。
「体調がすぐれないときも避けたほうがいいですね。入浴前後にはコップ一杯のお水や麦茶を飲み、水分補給をしてください。とくに入浴前に水分補給をすると、汗もかきやすくなります」(小番美鈴研究員)
「浴トレ」におすすめの入浴剤
体温を上げ、汗をかきやすくする“浴トレ”であるが、なかには「火照り感が引きづらく、寝つきにくい」という声もあるそうだ。そこで小番研究員がすすめてくれたのが、メントール配合の入浴剤。
え? ス~ッと涼しくなったら、せっかく温まった体が冷めてしまうじゃないか。
「ご安心ください。メントール配合の入浴剤は、気加熱で涼しく感じているだけで、深部体温は下がりません」
家族で使いやすい優しい清涼感の「バスクリンクール」(医薬部外品)各360g(約12回分)、オープン価格
また、一口にメントール入りと言っても、いまは香りのバリエーションもいろいろ。家族みんなで使いやすい清涼感のものもある。

夏の疲れを癒す「きき湯 清涼炭酸湯 すっきりミントの香り」360g(約12回分)、実勢価格600円前後
さらに、炭酸ガス入りのものは、温浴効果を高めて血行を促進し、効率よくだるい疲れや肩こりの症状も涼やかにケアしてくれるという。
加えて、近頃では使い切りやすいサイズがメジャーに。今回、すすめてもらった入浴剤も、それぞれ約12回分と試しやすい容量だ。日替わりで違う入浴剤を試すのも、“浴トレ”を楽しみながら続ける秘訣かもしれない。
さあ、思い立ったが吉日。1日10分の入浴で、疲れを癒し、明日の活力、ひいては健やかな夏につながる。「風呂キャン」なんて、もったいない。今日からお風呂につかろうではないか!
取材・文/ニイミユカ
「風呂キャンセル界隈」って何?SNSで謎のワードが流行った背景
2024年、SNSを中心に「風呂キャンセル界隈」という言葉が流行した。風呂もキャンセルも界隈も知っているが、三つ同時に使われるのはひと昔前にはなかったことだ。こ...