
身体や気分を向上させてくれるスキンケアやヘアケアなどのウェルネスアイテム。普段使用するものだからこそ、心地よく、幸せな気持ちなれるものを選びたい。さらに自分が選んだ商品が環境や未来までも意識して開発されたものだったとしたら、自分自身のウェルビーイングな生活が環境や社会のウェルビーイング向上につながっていく。
2018年からスタートし8回目の開催 2025年は兵庫県やリトリート施設も出展
5月23日から25日まで、東京・渋谷区のWITH HARAJYUKU HALLで『第8回ラキャルプフェス2025』が開催された。ラキャルプフェスは、ナチュラル・オーガニック化粧品や食品など美容商材の広報や宣伝を行う「株式会社ラ キャルプ」が主催するオーガニックフェス。2018年に初開催され、今年で8回目を迎えた。2023年からは、フェスを開催するにあたって発生するCO2を実質ゼロにするための「カーボンオフセット開催」を実施。出展企業や参加者だけでなく、地球や環境への配慮、優しさも徹底している。
ちなみに「ラ キャルプ」とはフランス語で魚の「鯉」という意味。株式会社ラ キャルプの代表・新井ミホさんによると、日本語の「こい」という音が、LOVEを表す「恋」と同じことから、「自分が好きな人と仕事をしたり、素敵なブランドと出会ったりというのが、まるで『恋をしている気持ち』だな」と思い、「キャルプ」という言葉を選んだという。さらに、日本では古くから「鯉」が幸せの象徴と考えられていることも、起用理由だという。
会場では、ナチュラル・オーガニックなプロダクトやサービスを提供する約60ブランドが出展。「mirari」や「P.G.C.D.」などのスキンケアブランド、「product」や「uruotte」などのヘアケアブランド、美容機器やシャワーヘッドなどの美容ブランド「ReFa」や、フェムテックブランド「pia jour」などが集結した。
2025年は新たに「ウェルネスツーリズム」のブースも設けられ、兵庫県や淡路島のリトリート施設「禅坊 靖寧」、サスティナブルガーデン「Awaji Nature Lab & Resort」、パソナ農援隊などが集まった。さらに会場では、コスメ、フェムテック、ウェルネスツーリズムなど、専門家や豪華ゲストによる約20のセミナーも開催された。
ラキャルプフェスが「幸せを循環させる」 東京で知った人が兵庫県へ「そういう仕掛けを作っていきたい」
ラ キャルプ代表の新井さんは、「2024年はコスメゾーンに加えてフェムテックソーンが増え、やりたかったことを実現することができました。今年はそこにプラスしてウェルネスツーリズムのコンテンツを入れました」と説明。
「私自身も旅が好きで、多くの方が『旅をすることで心と体と魂を整えられること』に気付き始めている気がします。ラキャルプフェスもそこは外せないと思っていて、3、4年前から何とか取り入れようと思っていました。でも具現化するための着地点が見つからなくて、どういう風に実現したらいいのか迷っていました」と明かした。
しかしその後、今回初出展となる兵庫県と縁がつながった。
「不思議なもので兵庫県さんとご縁ができて、これは私の方から営業して出ていただいたのではありません。兵庫県がウェルネスツーリズムの形を模索して力を入れ始めている時に、『ウェルネスツーリズムにもう少し“ウェルネスビューティー”のコンテンツを強化しなければ成り立たないのではないか』と試行錯誤されていて、美容面からの意見を求めていました。私は2024年から兵庫県のウェルネスツーリズム委員に入っているので、ラキャルプフェスのご提案をして、賛同していただきました」
オーガニックなビューティーアイテム・ヘルスケアアイテムを発信するラキャルプフェスの場に、ウェルネスツーリズムの観点から兵庫県や兵庫県内のツーリズム企業が出展することで、新井さんが実現したかった世界がさらに形になっていった。
サスティナブルガーデン「Awaji Nature Lab & Resort」
「昔から一緒にやってきたかのような形でみんなが協力的で、反対する人もいない。あっという間にトントンと話が進むんですよね。4年前は頑張って『自分で無理やりやろう』と思っていたけれど、その時は全くうまくいかなかったんです。心が折れた時期もありました」と明かし、「でも時を経て思うのは、ちゃんとこうして順番にやるべきだったのかなと。兵庫県さんも『出て良かった』とおっしゃっていました」と振り返った。
「兵庫県の“中の人”だけで話していたら、きっとどうしていいのか分からない。“外の人”を見たり、体感できる場所に来たり、第三者のような私が意見をしたり、そういうことで俯瞰して次の道が見えると思います。私は、出展企業さんと来場している方々をハブ的に繋げ、循環させていくのが役目。兵庫県さんが原宿で発信することで、それが兵庫県自体の活性化にもなる。“幸せを循環させる”というところで、ラキャルプフェスで紹介して、ここで知った人に実際に兵庫へ行ってもらう、そういう仕掛けを作っていきたいです」
心と身体のウェルビーイング向上に貢献するオーガニック製品を人々に伝えるだけでなく、8回目からは「ウェルネスツーリズム」という価値観も発信したラキャルプフェス。新井さんは「日本の地域のそれぞれの良い文化・伝統に、一緒に寄り添いながらやっていかないといけない。旅だったら(東京からでも)人を送り込める。(情報を知った)人が行けばいいだけなので、そういう意味ではラキャルプフェスもお手伝いできます」とラキャルプフェスの使命を語った。
「ラキャルプフェスは『人をキレイにする』というところもありますが、“人”そのものから、みなさんの暮らし、地球もキレイにするということを考えています。今後も“キレイ”をテーマにいろいろとやっていけたらいいなとは思っています」
日頃から使用する商品だからこそ、自分だけでなく日々の暮らしや環境までも見据えたプロダクトを選ぶのは、ウェルビーイングな社会を作る上で重要になる。これからは旅やリトリートといった体験も、ウェルビーイングに欠かせないキーワードとなりそうだ。
取材・文/コティマム