カジノ規制の全体像
出典:カジノ管理委員会
オンラインカジノは、利用者の依存症やイカサマなどのリスクに対して、何も管理や対策がされていない違法の賭博だというのが、合法・適法を分ける根拠になっている。
IR整備法下のカジノは、国が厳格に管理し、公的利益や依存症対策や利用者保護を行なう前提で限定的に許可されている例外的な存在であるともいえる。
依存症対策では、入場回数制限(週3回・月10回まで)や、入場料6,000円の徴収、本人や家族の申告による利用制限(除外プログラム)などが義務付けられていて、世界で横比較した場合、その厳しさのレベルも高い。
参考:国土交通省・観光庁
賭博行為は、なぜ違法なのか。ギャンブル依存症の怖さ
刑法で賭博が禁止されているのは、なぜだろう。理由はいくつかあるが、我々の生活を守るためが最も重要だ。
他には、反社会的勢力の資金源を断つため。賭博にのめり込みすぎてお金を失った人が窃盗などの犯罪行為をする二次被害を防ぐため。といった理由もある。
つまり、我々の生活の根源が破壊されてしまうリスクと、我々の生活を脅かす犯罪温床を断つ目的があるといえる。
これらのリスクを低減できているので、競馬やIRカジノなどは例外的に許可されているともいえる。
とりわけ我々にとって最も身近なリスクは、自身の資産を失い、賭博行為から抜け出せなくなることで、結果的に収入の減少や借金の増加といった深刻な事態を招く点だ。
出典:依存症対策全国センター
久里浜医療センターが発表した調査結果によれば、ギャンブル依存が疑われる人は、調査対象全体の1.7%であり、男女比では男性のほうが多い。
諸外国では約1.0%前後であることが多く、相対的に他の国々と比較して高い水準にある。
一方、同センターの調査報告で、依存症になってしまった人が専門的な治療プログラムを受けた場合、約3分の1の人が1年後もギャンブルを完全に断ち続けられているという。
残りの約3分の2は再びギャンブルに手を出してしまうというデータでもあり、一度依存症になると回復がいかに困難であるかがうかがえる。
勝った時のうれしさ体験が忘れられない、負けを取り戻そうとしてさらに負けが増えてしまう、などが要因で、ギャンブルから抜け出せなくなってしまう状態は、誰にでも起こり得る。
これらが自分の意志でコントロールできなくなってしまう依存症は、他人事ではなく、一度依存してしまうとなかなか抜け出せない怖さもある。
もしギャンブル依存に心当たりがある場合は、支援センターなどの相談先へ臆せず相談してもらいたい。
約10年の時を経て、オンラインカジノを巡る議論に終止符が打たれた
オンラインカジノを巡る議論の歴史を振り返ると、2016年の「スマートライブカジノ事件」にまでさかのぼる。
これは、海外で合法的に運営されているオンラインカジノを国内で利用したプレイヤーが、初めて賭博罪で逮捕された事例だ。
逮捕された3名のうち2名が略式起訴(有罪)、1名が不起訴処分となった。この判断の違いが、「グレーゾーン」を巡る議論をさらに複雑化させる一因となった。
海外で運営されているオンラインカジノでプレイした国内利用者が、初めて逮捕された事例だ。田井補された3名のうち2名が有罪で、1名は不起訴となったことが、「グレーゾーン」議論の波紋を呼んだのかもしれない。
このほど、ギャンブル依存症対策基本法 改正案が実現すれば、グレーゾーン議論に終止符が打たれ、日本でのオンラインカジノ利用が明確な犯罪行為となる。ビジネスパーソンとしてこの法改正の動向を正しく理解し、自身や大切な人々を守るための賢明な判断をして欲しい。
文/久我吉史