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2回目の米中貿易協議をどう見るべきか?レアアース・半導体規制緩和と残された課題

2025.06.17

アメリカのトランプ大統領は2025年6月11日、自身のSNSを更新。6月9日と10日に行なわれた中国との関税協議を受け、「レアアースは中国よって供給される」とポストした。トランプ氏は「中国の習近平国家主席による承認待ち」であるとも記しており、最終合意が近いことも示唆している。

そんな両国の関税問題に関する分析リポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩 氏から届いたので概要をお伝えする。

米中は5月合意実行の枠組みで合意、中国はレアアース、米国は半導体関連の輸出規制緩和へ

米国と中国は6月9日と10日、貿易問題に関する2回目の閣僚協議を行ない、米国からはベッセント米財務長官とラトニック米商務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表が出席し、中国からは何立峰(ハァ・リーファン)副首相らが出席した。

協議終了後、ラトニック氏は記者団に対し、5月に行われた1回目の協議で合意した内容を、実行に移すための枠組みで中国側と一致したと述べた。

10日の協議の後、中国商務省で国際貿易交渉の代表を務める李成鋼次官も、5月合意を実行する枠組みについて「原則的な合意に至った」と発言。両国の高官は、協議の結果をそれぞれトランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に報告し、承認が得られれば枠組みを実行に移すとしている。

これにより、中国はレアアース(希土類)の輸出規制を緩和し、米国は半導体関連の輸出規制を緩和する見通しとなった。

■5月の合意後も中国はレアアースの規制を続け、米国は半導体関連の規制を強化していた模様

中国は5月の合意で、高性能磁石に用いるジスプロシウムやテルビウムなど7種類のレアアース(図表1)の輸出規制を5月14日から90日間停止するとしていた。

しかしながら、5月30日には米自動車業界の団体がレアアース不足で工場閉鎖の恐れがあるとして、トランプ米政権へ書簡を提出していることから、中国の輸出規制がその後も続いていたと推測できる。

一方、報道によると、米国も対中輸出規制を強めており(図表2)、4月には米エヌビディアの人工知能(AI)向け半導体「H20」の輸出許可取得を義務化したとみられる。

5月の合意後も、米国は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)製のAI向け半導体について「使用すれば米国の輸出規制に違反する恐れがある」との指針を示し、また、半導体の設計に用いられる電子設計自動化(EDA)ソフトウエアの輸出許可を停止した模様だ。

■米中の規制緩和見通しは好材料だが、関税について新たな進展なく、市場に不透明感は残るだろう

今回2回目の閣僚級協議で合意したことは、5月の1回目の協議で合意した内容を実行するための枠組みだ。つまり、基本的には1回目の合意内容を実行することであるため、追加的な関税の引き下げはなく、中国がレアアースの輸出規制を停止することと引き換えに、米国は半導体関連の輸出規制を解除すると推測されるが、現時点で合意の詳細は明らかになっていない。

なお、ラトニック氏は、今回の合意は数日以内に完了し、合意に関する文書の公表は予想していないと述べていることから、協議結果の報告を受けたトランプ氏と習氏が、最終的にどのような判断をするかは見極める必要があると考えている。

今回の閣僚協議について、米中双方の輸出規制が緩和される見通しとなったことは好材料ではあるが、関税について新たな進展はなく、市場に不透明感は残ったままのように思われる。

関連情報
http://www.smd-am.co.jp

構成/清水眞希

 

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