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アルピナが手がけた傑作「B4 GT」の圧倒的な実力を堪能する

2025.06.14

2024年6月、アルピナがその商標をBMWに譲渡する、というニュースが流れた。アルピナがBMWになってしまう、と一部のファンの嘆く声が聞こえたのだが、その後に、アルピナからの資料を読んでみると事情はやや異なっていることが判明した。正確には、アルピナは商標権はBMWに譲渡したのだが、新車開発や生産は今のアルピナが行う。工場や技術者たちもそのままで、管理をBMWが行うことになったというのだ。

その理由は今後のことを考えてだろう。今世界の自動車メーカーはCO2の排出基準など環境問題の解決を迫られている。アルピナは1965年に創業し、1983年にはドイツ政府自動車局によって、自動車製造業者として認可されている。自動車メーカーということで、環境対応をせまられると、今のアルピナでは資金的にもとても対応しきれない。そこで、BMWが救いの手を差し伸べた、ということなのだ。

アルピナ社が手掛けた最後のモデル

 この現実を知ると、アルピナ最後のクルマということでこの「B4 GT」を紹介するのは正しくない。正確にはアルピナ社が手掛けた最後のモデルということになる。そのモデルはアルピナ社チューンの集大成ともいえるスーパーGTに仕上がっていた。「B4 GT」のベースはBMW「4シリーズ」の「グランクーペM440i」。4ドア+リアゲート付きのファストバックセダンだ。「B4」は以前から存在しているが、今回「GT」を名称として追加した。アルピナのモデルで「GT」が付くのは、理想的なモデルであることの象徴と言われている。アルピナの約60年にわたる歴史の中でも「GT」を名乗るモデルは少ない。

 パワーユニットは「B4」時代からの直6、3Lツインターボエンジンは34PSの出力向上を果たし529PS。トルクは740Nmを発生する。8速ATと可変式全輪駆動システム、電子制御リアリミテッドスリップデフの組み合わせも出力向上のポテンシャルに合わせ、性能を向上させている。動力性能も0→100km/hの加速は、これまでの「B4」より0.2秒速くなり3.5秒、0→200km/hの加速は1.0秒速く11.9秒。巡航の最高速度は4km/h速く、305km/hを公表している。ちなみにアルピナ社の巡航最高速度とは、瞬間ではなくその速度で走り続けることのできる速度を指している。いずれの数値も日本では異次元の数値。

ちなみに、今回試乗した「B4 GT」は公道上の計測では4秒台を出している。一方で、100km/hの巡航では8速が1200回転、7速が800回転、6速では2200回転で走行できた.。直6、ツインターボエンジンは1500回転あたりからアクセルレスポンスが良くなるので、高速走行での加速で不満を感じることはなかった 。右足に少し力を込めれば「B4 GT」は即座に加速態勢に映ってくれた。状況さえ許せば、直6、ツインターボは6200回転まで上昇して、シフトアップ、加速を楽しませてくれる。吹け上がりの小気味のよさは、本当に気持ちがよかった。

 このパワーユニットを十分生かすためにシャーシも性能向上が図られている。新たにシャーシも性能向上が図られている。新たにアルピナの手で開発されたシャーシとサスペンションセットアップが素晴らしい。フロントアクスルはマウントが強化されたスタビライザーが採用された。ボンネットを開ければ、ゴールドに塗られた2枚のタワー板がガッチリと車体と結合されている。これだけでボディ剛性の大幅なアップに納得できる。

 可変スポーツハンドルとアクティブダイナミックダンピングコントロールのセットアップも大幅に変更されたという。完全可変の4輪駆動システムは、リア重視のセッティングで、電子制御リミテッドスリップデフも新しいプログラミングが採用されている。ブレーキもM760i用の大容量タイプを装着した。

529馬力の“操る悦び”

 こうしたスペックを頭に叩き込み、運転席に座る。イグニッションボタンを押し、Dレンジを選択し、スタート。ドライビングモードは「コンフォート」。このほかに「コンフォート+」「スポーツ」「スポーツ+」「スポーツインディビデュアル」などが設定されている。「コンフォート+」は本家の「M440iグランクーペ」にはないアルピナ独自のモードだ。

「コンフォート+」のセッティングは、「コンフォート」よりもやや上下動に対する動きが大きい。路面の状況により、車体は横揺するケースもあった。もちろんその動きは、不安になるレベルではなく、あくまでも「コンフォート」モードに対しての動きの違いということ。ゼブラ塗装の路面などで、キツめの上下動を抑えたいというオーナー向けのセッティングといってよいだろう。

 乗り心地のよさは、フロントが255/30ZR20、リアが265/30ZR20という超扁平タイヤを装着しているクルマとしては、ゴツゴツ感も少なく、硬さもマイルドになっている。乗り心地に関しては、「スポーツ」モードを選択すればかなり硬めのセッティングになり、上下動のキツさも鋭さを増す。スポーツ走行向きのセッティングだ。路面と車速の状況を見ながら各モードを選択しての走行は、本当に楽しかった。コーナリングの絶妙さもハイレベルだ。

 このクルマでスピード制限のない道を走ることができたら、どんなに楽しい超高速運転になるのだろう。そう考えただけで、ワクワクする。それが日本の道を制限速度で走っても伝わるところが、アルピナの楽しさというか、凄さなのだ。ノーマルの「M440i」より車両価格は高いがそれ以上に所有し、操る悦びを感じさせてくれる。それがアルピナ「B4 GT」というクルマだ。

■関連情報
https://alpina.co.jp/cars/b4-gt/

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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