Apple Watch用OS「watchOS 26」発表、Apple Intelligenceによる新たなワークアウト体験を提供
2025.06.14
Appleは現地時間2025年6月9日から6月13日までカリフォルニア州クパチーノの本社で開催された年次開発者会議、「WWDC25(Worldwide Developers Conference 2025)」において、次期Apple Watch OSである「watchOS 26」のプレビューを行なった。リリースは今秋が予定されている。
その主な機能としては、Liquid Glassを用いた新しいデザインに加えて、スマートスタック、コントロールセンター、「写真」文字盤、アプリ内のナビゲーションとコントロールなどのを搭載。Apple IntelligenceはWorkout Buddyによるフィットネス体験を向上させるほか、通知を簡単に非表示にするために新たに片手手首フリックジェスチャが導入される。
Liquid Glassによる美しく新たなデザイン
Liquid Glassを使った美しい新たなソフトウェアデザインは、すべてのアプリでリアルタイムのレンダリングによってコンテンツを反射および屈折させ、あざやかで表現力豊かな体験を実現する。
スマートスタックのウィジェット、スマートスタックのヒント、通知、コントロールセンター、アプリ内のコントロールやナビゲーションには、新しいデザインを採用。人気のある「写真」文字盤はLiquid Glassで作られた数字によって改良され、ユーザーはこれまで以上に写真を楽しめるようになる。
左:「写真」文字盤はLiquid Glassで作られた数字により、ユーザーはこれまで以上に写真が見えるようになった。
右:新しいソフトウェアデザインは、リアルタイムのレンダリングによってコンテンツを反射および屈折させ、あざやかで表現力豊かな体験を実現している。
Workout BuddyがApple Intelligenceのフィットネス体験を実現
Workout Buddyは、Apple Intelligenceを利用した、ほかに類を見ないフィットネス体験を提供する。ユーザーのワークアウトのデータとフィットネス履歴を取り込み、心拍数、ペース、距離、アクティビティリング、個人のフィットネスマイルストーンなどのデータにもとづいて、パーソナライズされた、モチベーションを高める洞察をセッション中に生成。
例えば、ユーザーがランニングを開始する際、Workout Buddyは、パーソナライズされた励ましの言葉を送り、その週のこれまでの走行距離を伝えたり、アクティビティリングの目標に対する進捗を共有する。
また、ユーザーがワークアウトを終えると、Workout Buddyはワークアウトの統計情報をまとめ、ユーザーの達成した成果を讃えてくれる。
有意義なインスピレーションをリアルタイムで提供するため、Workout BuddyはApple Intelligenceを用いてプライバシーとセキュリティを保護しながらデータを分析。そのあと新しいテキスト読み上げモデルが、Fitness+トレーナーの音声データを使用して構築されたダイナミックな生成音声に洞察を変換する。そのため音声は、ワークアウトに合ったエネルギー、スタイル、トーンになる。
Workout Buddyは、Bluetoothヘッドホンを接続したApple Watchで利用でき、Apple Intelligence対応のiPhoneが近くにあることが必要。屋外および屋内のランニング、屋外および屋内のウォーキング、屋外のサイクリング、高強度インターバルトレーニング、機能的および従来型筋力トレーニングなど、人気の高いワークアウトの種類の一部において、まずは英語のみで利用できるようになる。
ワークアウト体験のその他のアップデート
watchOS 26では、レイアウトとナビゲーションに登場以来最大規模のアップデートが実施された。
まずアプリの隅にある4つの新しいボタンによって、ユーザーはワークアウト表示、カスタムワークアウト、ペーサー、レースコースなどのお気に入りの機能にさらに簡単にアクセスし、ワークアウトをカスタマイズできるようになった。
ワークアウトアプリは、レイアウトとナビゲーションに対して、登場以来最も大きなアップデートを実施。隅にある4つの新しいボタンによって、ユーザーはお気に入りの機能にさらに簡単にアクセスして、ワークアウトをカスタマイズできる。
また、インスピレーションを加えるために、ユーザーは音楽やポッドキャストをワークアウトアプリで直接設定し、ワークアウトの開始時に自動的に再生させることができる。
■スマートスタックがこれまで以上に先を読むように
スマートスタックは、ユーザーがどの文字盤からでも重要な情報にすばやくアクセスできる機能だ。今回、その予測アルゴリズムが向上。
ユーザーが遠隔地にいてオフラインの時にバックトレースのヒントが表示されたり、いつもの時間にスタジオに到着した時にピラティスのワークアウトが表示されるようになった。
スマートスタックのヒントは、すぐに役立つ実用的な提案をするための先読みプロンプトを提供。
■メッセージがさらに便利に
メッセージアプリでApple Intelligenceを使ったライブ翻訳に対応。受信したテキストを手首の上で自動的にユーザーの希望する言語に翻訳できるようになった(2)。そして、返信時には、ユーザーのテキストは会話の相手に合わせてすぐに翻訳される。
2:メッセージのライブ翻訳は、Apple Intelligenceが有効になっているiPhoneとペアリングしたApple Watch Series 9、Apple Watch Series 10、Apple Watch Ultra 2で利用できる。メッセージのライブ翻訳は、日本語、英語(米国、英国)、フランス語(フランス)、ドイツ語、イタリア語、韓国語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語(スペイン)、中国語(簡体字)に対応している。
Apple WatchがメッセージでApple Intelligenceを使ったライブ翻訳に対応。受信したテキストを自動的にユーザーの希望する言語に翻訳できる。
■手首フリックジェスチャで通知を管理
Apple Watch Series 9、Apple Watch Series 10、Apple Watch Ultra 2では、シンプルな手首フリックジェスチャによって、通知がさらに管理しやすくなった。
通知を確認するために手首を上げたけれど反応する準備ができていない場合、ユーザーはすばやく手首を返して戻すことで通知を非表示にすることができる。手首フリックジェスチャは、通知の非表示と電話の着信の拒否、タイマーとアラームの消音、文字盤に戻る際に使える。
手首フリックがダブルタップジェスチャに加わったことで、ユーザーは片手だけでより多くのことをApple Watchでできるようになり、犬の散歩や料理をしながら、またはコーヒーを持っている時など、もう一方の手が塞がっている場合でもApple Watchの操作が可能になった。
また、Apple Watchは、通知、タイマー、アラーム、電話の着信、Siriのスピーカーの音量をユーザーの周囲の雑音に応じて自動的に調節できるようになり、周囲への迷惑を気にせずに接続を続けられる。
watchOS 26のその他のアップデート
・メモアプリがApple Watchに登場。ユーザーは手首の上から直接、自分のメモにアクセスできるようになった。メモをピンで固定したり、ロックを解除したり、チェックリストの項目を完了にしたり、Siri、音声入力、キーボードを使って新しいメモを作成することも可能だ。
・保留アシストと通話スクリーニングが電話アプリに装備され、iPhoneが近くにある場合に利用が可能に。ユーザーが担当者を待っている場合は、担当者が電話に出ると保留アシストが認識し、通話に戻るようにユーザーに通知する。通話スクリーニングは、知らない電話番号からかかってきた着信の管理をより効率的に行えるようにサポートを行なう。
・聴覚に障がいのあるユーザーのために、一連の新機能を備えたライブリスニングのコントロールがApple Watchに導入された。新機能に含まれるリアルタイムのライブキャプションでは、オーディオを聴きながら、iPhoneが聞き取った内容をペアリングしたApple Watchで見ることができる。
・「写真」文字盤は、写真アプリのおすすめの写真をもとに画像をシャッフル。ユーザーは手首を上げたり、ディスプレイをタップしたりするたびに、意義深い瞬間の画像を見ることができる。
・Apple WatchとiPhoneのWatchアプリ内の再設計された文字盤ギャラリーでは、文字盤がコレクションごとにグループ分けされ、ユーザーはより簡単に文字盤を見つけることができる。
メモアプリがApple Watchに搭載され、ユーザーは手首の上から直接、自分のメモにアクセスできるようになった。
提供について
これらの機能はすべて、2025年6月9日よりhttps://developer.apple.com/jp/でApple Developer Programを通じてテスト用に提供される。パブリックベータ版は来月、https://beta.apple.com/jaでApple Beta Software Programを通じて提供される予定だ。
watchOS 26はこの秋リリース予定であり、iOS 26が搭載されたiPhone 11以降とペアリングされているApple Watch Series 6以降、Apple Watch SE(第2世代)、すべてのApple Watch Ultraモデルに対して、無料のソフトウェアアップデートとして提供される。
詳述されているApple Intelligenceの機能を利用するには、Apple Intelligenceが有効になっていて、Siriとデバイスの言語が同じ対応言語に設定された、iPhone 16の全モデル、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Maxを含む、対応するデバイスが必要。
詳しくは、https://www.apple.com/jp/apple-intelligence/を参照。提供される機能は変更される場合があるほか、言語や地域によっては一部の機能を利用できない場合がある。また、利用できる機能は、現地の法律や規制によって異なる場合もある。詳しい提供状況については、https://www.apple.com/jp/をチェックしていただきたい。
構成/清水眞希