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老後資金の出口戦略、大丈夫?FIRE実践者たちが提唱する〝4%ルール〟が日本で通用しない可能性

2025.06.13

2019年に金融庁の報告書が「老後に夫婦で約2,000万円不足する」と指摘し、大きな話題となりました。この「老後2,000万円問題」や、若いうちに資産を築いて早期退職を目指す「FIRE」ムーブメントへの関心の高まりを受けて、近年は新NISAなどの資産運用の出口戦略(資産の取り崩し方針)に注目が集まっています。

出口戦略とは、退職後に蓄えた資産をどのようなペース・方法で取り崩して生活費に充てていくかという計画のことです。せっかく積み上げた資産も、使い方を間違えれば早々に底をつきかねません。一方で慎重になり過ぎてお金を使えないままでは、人生の楽しみを先延ばしにしてしまいます。30~40代のビジネスパーソンにとっても他人事ではないこのテーマについて、わかりやすく解説していきます。

メディアでよく聞く「4%ルール」とは何か

まず出口戦略の代表例としてよく耳にする「4%ルール」を整理しましょう。これは米国発のFIRE実践者たちが提唱した資産取り崩しの指針で、初年度に資産の4%を引き出し、その後は物価上昇に合わせて引き出し額を調整すれば、約30年間資産が尽きないというルールです。

例えば年間生活費が240万円なら、その25倍の6,000万円を用意し初年度に240万円(6,000万円の4%)を取り崩せば、理論的には資産総額を減らさずに暮らし続けられる、とされています。背景には、過去の米国株式市場(S&P500)の長期平均リターンが年約7%、インフレ率が約3%だったため、差し引き4%の実質利回りが得られてきたという歴史があります。つまり「年平均4%で運用できれば一生お金が減らない」という発想です。

4%ルールの落とし穴と限界

魅力的に聞こえる4%ルールですが、「これさえ守れば安心」と鵜吞みにするのは危険です。以下に4%ルールの主な落とし穴を整理します。

日本の経済環境ではそのまま当てはまらない

4%ルールは米国の過去データに基づく経験則に過ぎず、日本では通用しない可能性があります。日本は長引く超低金利・低成長の経済環境にあり、株式市場の長期リターンも米国より低水準です。実際、直近40年間の日本株式の平均年間利回りは約3.3%に留まり、インフレ率も加味すると実質1.5%程度しかありません。米国並みの「年4%の安定運用」は過去の日本では達成困難だったのです。

円安・インフレなどマクロリスク

日本ならではのリスク要因として、為替変動や物価変動も考慮が必要です。近年は円安に振れる局面があり、海外投資をすれば円建て資産は増えますが、同時に輸入物価の上昇で国内の生活コストも上がります。反対に将来円高になれば、海外資産の評価額が目減りする恐れもあります。日本は長らくデフレ気味でしたが、今後インフレが定着すれば当初想定より支出額を増やす必要が出るかもしれません。こうした不確実なマクロ要因の下では、毎年一定額を機械的に引き出すルールは柔軟性に欠けます。

寿命の延伸

4%ルールは主に「30年間資産がもてばOK」という前提ですが、日本は世界有数の長寿国です。現在30~40代の世代が老後を迎える頃には、人生100年時代も現実味を帯びています。仮に60歳でリタイアすれば40年もの長期間にわたり取り崩しが必要です。30年で大丈夫だった戦略も、40年では持ちこたえない可能性があります。長生きリスク(生存期間の不確実性)に備えるためにも、単純な4%ルールより一層慎重なプランが求められます。

以上のように、4%ルールはあくまで米国市場での経験的目安に過ぎず、日本人の老後資産にはそのまま当てはまりません。では、日本の現実に即した出口戦略として、どのような選択肢があるのでしょうか。次章で具体的なアプローチを見ていきます。

新NISA時代に考える資産運用と出口戦略

日本では資産運用を取り巻く制度も変化しています。2024年からは新しいNISA制度がスタートし、非課税で投資できる枠が大幅拡大、しかも保有期間の無期限化と、使い勝手が格段に向上しました。この新NISAにより、たとえ定年後でも退職金などのまとまった資金を非課税枠で運用しながら取り崩すことが可能になります。運用益や売却益に税金がかからない分、効率的に資産を活用できるのです。

例えば、退職時に得たまとまった金額を新NISA口座に入れておき、そこから毎年必要分だけ売却して生活費に充てるという戦略も考えられます。非課税枠内なら売却益も非課税なので、「税引後で◯万円必要だから前もって多めに売却」といった調整が不要になり、計画が立てやすくなります。新NISA時代では「退職したら即運用終了」ではなく、退職後も上手に運用を継続しつつ緩やかに取り崩す発想が重要と言えるでしょう。

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