
中年期の減量でその後の病気や死亡のリスクが低下するかも?
中年期に肥満症治療薬や肥満手術に頼らずに体重を落とすことで、その後の病気や死亡のリスクが低下するかもしれない。新たな研究で、中年期に体重を6.5%減らした人では、その後の慢性疾患リスクが大きく低下する可能性のあることが明らかになった。ヘルシンキ大学(フィンランド)老年医学教授のTimo Strandberg氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に5月27日掲載された。
Strandberg氏らは、「外科的治療や薬物療法なしに中年期の過体重を改善するのは難しいが、この研究結果はそれが実行可能であり、それにより心血管疾患やその他の慢性疾患、過体重に関連する死亡のリスクが長期にわたり低下する可能性があることを示唆するものだ」と結論付けている。
この研究では、中年期におけるBMIの変化がその後の慢性疾患や死亡のリスクにどのように影響するのかが調査された。対象は、英国のWhitehall II Studyコホート(WHII、1985~1988年に開始)、フィンランドのHelsinki Businessmen Study(HBS)コホート(1964~1973年開始)、およびFinnish Public Sector Studyコホート(FPS、2000年開始)の3つのコホートから抽出した2万3,149人(WHIIコホート4,118人、HBSコホート2,335人、FPSコホート1万6,696人)。全対象者が複数回にわたり身長と体重の測定を受けており、初回測定時の平均年齢は、WHIIコホートが39歳、HBSコホートが42歳、FPSコホートが39歳だった。
対象者は、最初の2回のBMIの変化に基づき、正常体重群(BMIが一貫して25未満)、体重減少群(BMIが25以上から25未満へ減少)、体重増加群(BMIが25未満から25以上へ増加)、過体重群(BMIが一貫して25以上)の4群に分類された。主要評価項目は、WHIIおよびFPSコホートでは慢性疾患(2型糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、がん、喘息、慢性閉塞性肺疾患〔COPD〕)、HBSコホートではあらゆる原因による死亡(全死亡)であり、追跡期間中央値は、それぞれ22.8年、12.2年、35年だった。
WHIIコホートでは、体重減少群で過体重群に比べて慢性疾患の発症リスクが48%低いことが示された(ハザード比0.52、95%信頼区間0.35~0.78)。この結果は、糖尿病を除いても維持されていた(同0.58、0.37~0.90)。FPSコホートでも同様に、体重減少群では過体重群に比べて慢性疾患リスクが57%低かった(同0.43、0.29~0.66)。さらに、HBSコホートでは、体重減少群で全死亡リスクが19%低いことも示された(同0.81、0.68~0.96)。
本研究には関与していない、米ラトガース大学ロバート・ウッド・ジョンソン医学大学院のAayush Visaria氏は、「この研究は、これまで十分に研究されてこなかった体重減少と心血管疾患および死亡率との関係を証明するものであり、重要だ」とCNNに対して語っている。
ただしStrandberg氏とVisaria氏はともに、この研究で体重追跡に使用されたBMIは不完全な指標であることを指摘している。なぜなら、BMIは健康リスクに影響を与える可能性がある脂肪の蓄積場所や筋肉量を考慮していない指標だからである。Visaria氏は、「体重はそれほど変わらなくても、体組成の変化に影響する可能性のある変数は非常に多くある」と話す。
この研究は、減量だけが健康効果をもたらしたことを証明するものではない。しかし、健康的な食生活や運動量の増加など、減量につながったライフスタイルの変化も大きな役割を果たした可能性が高いことから、専門家は、ウォーキングやサイクリングなど中強度の運動を毎週150分行うとともに、筋力強化活動を2日間行うことを推奨している。また、CNNは、果物、野菜、ナッツ類、オリーブ油を豊富に含む地中海式ダイエットの摂取も効果的だと報じている。(HealthDay News 2025年5月28日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2834426
Press Release
https://www.helsinki.fi/en/news/healthier-world/midlife-weight-loss-linked-longer-healthier-lives
構成/DIME編集部
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