
三菱ふそうトラック・バス(以下:MFTBC)、三菱自動車工業(以下:三菱自動車)、Ample Inc.(本社:アメリカ合衆国、以下:Ample)、ヤマト運輸の4社は、バッテリー交換式電気自動車(EV)とバッテリー交換ステーションの、物流事業者の業務における実用性に関する実証(以下:本実証)を、2025年9月から東京都で行なうことを明らかにした。
本実証では、150台超のバッテリー交換式EVと14基のバッテリー交換ステーションを使用する。また、本実証は東京都および東京都環境公社の2024年度「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に採択されている。
日本のCO2排出量の約19%を占める運輸部門は商用車の電動化が喫緊の課題
日本政府は2050年カーボンニュートラル社会の実現、および2030年までに温室効果ガスを2013年比で46%削減することを目指している。2022年時点で日本の総CO2排出量の約19%を占めている運輸部門では、商用車の電動化が喫緊の課題となっている。
ヤマト運輸は2022年以降、複数の車両メーカーとバッテリー交換式EVの規格化・実用化に向けた検討および実証を行なってきた。
またMFTBC、Ample、ヤマト運輸は、2024年8月から11月まで、京都府京都市にてAmpleのバッテリー交換ステーションおよびMFTBCのバッテリー交換式の「eCanter」を使用した、集配業務における実用性の実証を実施。
目標としていた車両品質を確認できたほか、運用方法のノウハウの蓄積や、車種や車両ブランドを問わずバッテリー交換ステーションが共用できる点を検証した。
■本実証の目的と今後の展開
バッテリー交換式EVは、従来の充電方法と比べて車両の待機時間を大幅に短縮することが可能だ。本実証では、バッテリー交換ステーションを設置して、バッテリー交換を全自動で行なう。
バッテリー交換の目標時間を5分間に設定しており、物流のダウンタイム短縮につながるほか、バッテリーを手動で交換する必要がないため、ドライバーの負担軽減にも繋がる。
Ampleのバッテリー交換ステーションは、コンパクトかつ短期間で組み立てが可能なため、東京都のような高密度な都市環境においても効率的なインフラ整備を実現できるため、実用的なEVシフトのソリューションとして期待される。
以前から実証を行なっていたMFTBC、Ample、ヤマト運輸に加え、今回、2011年に軽商用EVであるワンボックスタイプの「ミニキャブ・ミーブ(現ミニキャブEV)」を市場投入するなど、長年の知見と経験を有している三菱自動車が参画することで、さらに幅広い物流事業者のニーズに応えていく。
4社は本実証を通じて、バッテリー交換式EVの実用化と商用EVのさらなる普及に向け、バッテリー交換技術の確立および運用基盤の構築を目指す。さらに、温室効果ガス排出量の削減に向けて、バッテリー交換ステーションでの再生可能エネルギー由来電力の使用を検討していく。
■実証の概要
実証開始時期/2025年9月
車両台数/150台超 ※実証期間中に順次拡大
バッテリー交換ステーション数/14基(予定) ※実証期間中に順次拡大
場所/東京都内の複数箇所
参加企業の役割/
・MFTBC:EV小型トラック「eCanter」バッテリー交換式車両の企画・提供・整備
・三菱自動車:軽商用EV「ミニキャブEV」バッテリー交換式車両の企画・提供・整備
・Ample:バッテリー交換ステーションの設置・運用
・ヤマト運輸:集配業務でバッテリー交換式EVを使用
検証内容/
(1)バッテリー交換式EVの大規模運用
(2)バッテリー交換ステーションにおける異なるブランド・サイズの車両の運用
(3)集配業務における実用性や車両性能
(4)内燃車、充電式EVと比較した経済合理性
(5)交換式バッテリーEVの運用における各種基礎データの取得
関連情報
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsroom/newsrelease/2025/20250606_1.html
構成/清水眞希