
およそ10年前に始まったNISA(少額投資非課税制度)が2024年に大幅拡充され、新NISAがスタート。利用者がさらに急増し、近年投資熱が一層高まっている。
非課税保有期間の無制限化、年間投資上限額の拡大と投資家にとって嬉しい制度改正に加え、多くの人が抱く将来への不安もその一因かもしれない。
金融庁が発表した「NISAの利用状況の推移」によると、NISA口座数は近年増加の一途をたどり、2025年3月末時点で2600万口座を突破した。
参考:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20250508.html
かねてから貯金好きと言われてきた日本人が「貯蓄から投資へ」というフェーズに入ってきている感があるが、そんな流れと共に増えているのがインターネット上に表示されるニセ広告をきっかけとした『SNS型投資詐欺』だ。
静岡県警が制作した「実録!SNS型投資詐欺被害者インタビュー」
テレビラジオで活躍する著名人や資産数億を誇る人気投資家の名を語ってSNSに誘導し、最終的に投資金を振り込ませる詐欺が多発しているという。
この類のニュースを見ると『自分は絶対に大丈夫』と思うと同時に、『何故そうなる?』と誰もが思うことだろう。
面識もなく、非対面の人物に誘われるがまま、どうしてお金を振り込んでしまうのか?不思議でならない。
そんな、頻発する『SNS型投資詐欺』の被害や対処法をリサーチしていたところ、こんな動画を発見した。
その名も「実録!SNS型投資詐欺被害者インタビュー」。
テレビの情報番組で見かけそうな動画だが、制作したのは静岡県警察。
県警の公式YouTubeチャンネルでは被害者の生々しくもリアルなエピソードが紹介され、投資詐欺の悪質さと静岡県警の取り締まりへの本気さがうかがえる。
今回、SNS型投資詐欺について話を伺うべく静岡県警を直撃。生活安全部生活安全企画課の小林剛仁次席に投資詐欺の実態から詐欺に遭いやすい人の特徴、詐欺の見分け方まで伺った。
――YouTubeで被害者インタビューを公開した理由を教えてください
「昨年の県内におけるSNS型投資詐欺被害の急増を受け、県民の危機意識醸成と抵抗力向上を目的に制作しました。インタビューの他にも実際の犯人とのやりとりを基にしたアニメーション動画を制作し、視覚に訴える広報を展開して抑止対策を推進しております」
――静岡県内でも被害数が急増しているとか?
「はい。いずれも暫定値ですが、統計がある令和5年中の県内における被害は20件で被害額は約3億2200万円、令和6年は6倍の127件に増え、被害額も19億を超えています」
ちなみに、令和6年中における静岡県内の被害を分析したところ、被害者は40~60代の現役世代が全体の7割を占めていたという。
SNSの広告をきっかけに、架空の儲け話を巧みなコミュニケーションで信じ込ませる犯罪集団は、経験豊富で冷静な判断力があるビジネスパーソンでさえもあっさりとカモにしてしまう。
では実際にどのような手口で被害者を信用させ、多額の金をだまし取っているのか?その実態に迫る。