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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
今回はマッチングアプリ不倫事件です。
(東京地裁 R5.2.22)
――奥さん、いくつのマッチングアプリを使ったんですか?
妻
「……6つです」
ワンパク奥様!
そして妻はマッチングアプリで出会った男とデートを重ねます。
数多くのデートを探偵が激写。夫が妻の浮気相手を訴えました。お泊まりの証拠はなかったものの、果たして不貞は認められるのか?
以下、わかりやすく解説します。
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
当事者
・夫
47歳くらい
作曲家、演奏家
・妻
48歳くらい
バイオリニスト
長女(10歳くらい)
・妻の浮気相手(以下「Y男」)
年齢不明
裁判の真相は?
■夫婦ゲンカ勃発!
結婚して20年くらい経った時のことです。夫婦が大ゲンカをします。
原因は、長女のバイオリンの練習を巡って意見が対立したことにあります。
夫は、妻に対して「オマエには親権はあげない」「オマエの好きな、ね、マッサージ行ったりするお金が欲しい男と一緒になって、親権ちょうだい」「オマエ、今日で別れよう」と言いました。
妻が「こんな男とやっていけるか!」とブギレたのでしょう。なんと……。
■妻、マッチングアプリをダウンロード
ケンカの翌月、妻は、男性と出会うためにマッチングアプリをダウンロードしました。
その数、なんと6つです。出会う気マンマンですね。
■Y男と知り合う
3ヶ月後、妻はマッチングアプリでY男と知り合いました。2人はLINEで連絡をとるようになりました。ほどなくして恵比寿で会い、3ヶ月ほどの間に3回ほど会いました。
■妻が家を出る
妻がY男と出会って約2ヶ月後、妻は長女を連れて家を出ました。
■夫が探偵に依頼
夫は、「これはオカシイ……。妻に男ができたに違いない!」と思ったのでしょう。そこで夫は、探偵に依頼して妻の行動を調査してもらうことにしました。探偵が調査した結果、以下の報告が上がってきました。
4/29
・午前10時30分ころ、Y男が妻の自宅に行く。
・午後8時20分ころまで滞在。
・マンションのロビーのソファーで、妻がY男のひざ枕で横になっていた。
4/30
・Y男が、妻の自宅付近で、妻の腰に腕を回して歩いていた。
5月
・週に3~4回、Y男が妻の自宅に約4時間ほど滞在。
・2人が外出する際、腕を組んでいた。
・Y男が妻をおんぶして歩くこともあった。
….etc
■Y男が探偵に気づく
ある日、Y男が探偵に気づきました。ヤバイ!と感じたのでしょう。色々と小細工をします。たとえば、妻に対して、「私がキミの家に行っていたのは事務手伝いをしていたからだ、ということにしよう」などと言って架空の領収書の作成などを依頼しました。
そして、Y男と妻は、LINEの送受信履歴を消去しました。
■妻が離婚を申し立てる
その後、妻が離婚調停を申し立てましたが、まとまらず。
5ヶ月後には離婚訴訟を提起しました。
■夫がY男を訴える
かたや、夫はY男を訴えました。
「私の妻と浮気した」と主張してY男に対して慰謝料請求の訴訟を提起しました。