
経済成長が著しく、人口数世界最大であるインドに資金を投じて、資産形成を目指すのはアリなのか。投資に“絶対“はないため、全力投球するのは悪手だが、ポートフォリオに組み込むには一考の価値がある。
そこで、インド株投資の現在位置を本記事でまとめた。インド株の特長やリスク、注目する業種や企業例について早速見ていこう。
インドの経済成長率(GDP成長率)は6%台と日本の10倍
出典:IMF世界経済見通し
インドは、主要経済国の中でも際立って高い経済成長率を維持している。世界全体では約3%の成長率である中、インドはその倍でありトップクラス。年約6%成長が見込まれている。日本と比べれば、見込みが0.6%なのでその差10倍である。
なぜ年6%以上の成長率を誇るのか
インドの高い経済成長率が継続している理由は2つある。
1.2040年代まで続く「人口ボーナス期」が経済を力強く牽引する
2023年に中国を追い抜き、世界で最も人口が多い国となったインドは、生産年齢人口が、その他の人口と比べて2倍以上もいる。そのため、労働力が豊富で消費や貯蓄も大きくなる。また、子どもや高齢者の比率が相対的に低いので、その分を産業育成やインフラ投資に充てられる。このボーナス期は2040年代まであと15年以上続くとされている。
2.政府主導の「メイク・イン・インディア」・「デジタル・インディア」戦略
2014年に発足したインドのモディ政権が主導する政策が、経済成長やインド投資の呼び水になっている。「メイク・イン・インディア」という製造業の振興政策や「デジタル・インディア」という行政のDX化・ITインフラ整備政策、2020年から2024年で約1.5兆米ドル(約210兆円)規模の大規模インフラ投資での道路や鉄道網・空港整備などにより、将来の経済基盤強化とそれに期待する投資を呼び込んでいる。
グローバルでの直接投資は減少傾向だが・・・
出典:UNCTAD
投資対象としては、外国からどう見られているのだろうか。
国連貿易開発会議(UNCTAD)が、2025年1月20日に発表したレポートによれば、“2024年は世界的にFDI(外国直接投資)という手法による投資が、グローバル全体では約8%の減少だが、インドのそれは約13%増となっている。またその中でもグリーンフィールド投資という「インドからみた外国企業が、ゼロから新たに生産施設やオフィスなどを建設する投資」方式での”半導体製造のプロジェクトが貢献している”と読み取れる。
つまり、インドの中で、事業の拡大や生産拠点の確保を積極的に行なう投資が行なわれ、またその目的は長期的な視点を持つ必要があるので、成長期待が継続しているといえるだろう。
成長期待度が高い5つのビジネス業種・領域(セクター)
インドは、タタ・グループやリライアンスといった巨大なコングロマリット企業が有名であり、経済をけん引している。投資パフォーマンスが比較的少数の巨大企業グループの業績やガバナンスに左右されやすいともいえる。