
ゲーミングノートPCを調べると、関連ワードに「やめとけ」と出てくるのは有名な話。
PCゲーマーにとって、デスクトップPCこそが至高でノートPCは邪道というのは常識である。
しかし、果たしてその認識は本当に正しいのだろうか。
国内ゲーミングノートPC市場で高いシェアを誇るASUSに直撃してみた。
やめとけは時代遅れ?スペック・拡張性・価格のすべてに変化あり
ASUSでは2ブランド5カテゴリにてゲーミングノートPCを販売している。
ROGブランドより「ROG Strix」「ROG Zephyrus」「ROG Flow」の3カテゴリ、ASUSブランドより「TUF Gaming」と「ASUS Gaming」だ。
それぞれユーザーの細かなニーズに対応する製品群となっているが、そもそもASUSは「ゲーミングノートPCはやめとけ」との言葉をどのように受け止めているのだろうか。
「確かに一昔前まではその認識も正しかったのですが、ここ数年は変化が起こっています」
ASUSの担当者はきっぱりと断言をする。
「ノートPCがゲーミングPC界隈で避けられてきたのは大きく次の3つの理由からです。
すなわち『スペック』『拡張性』『価格』です」
この3つのポイントでどのような変化があるのだろうか。
「まず『スペック』についてですが、年々、デスクトップとノートの性能差は縮まっています。
例えば『ROG Strix』や『ROG Zephyrus』にはグラボに最新モデル『NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPU』を搭載した高性能モデルもありますし、『ROG Strix』は独自の冷却機能を搭載することによりGPUが最大パフォーマンスを発揮できるように最適化を図っています。同じGPUを積んだデスクトップと同等とまでは言えませんが『十分に戦えるスペック』には到達しています。
次に『拡張性』です。この点に関しては、ユーザー側に変化が起きています。
デスクトップの大きなメリットにマザーボードやグラフィックボードをアップデートすることで常に最新のPC環境を整えることができるという点が挙げられます。それができないノートは数年経てば『古いモデル』になってしまうというイメージです。
しかしeスポーツや配信者の影響で、PCでゲームをすることが一部界隈の趣味ではなくなりました。その結果、パソコンに詳しくないユーザーも増えていて、自分でPCをカスタマイズをしていくことよりも数年ごとに最新のゲーミングPCを買い替えるというユーザーにも拡大しています。彼らにとって、これ一台買えば『最新のゲーム環境が手に入る』というゲーミングノートPCは強い味方なんです。
最後に、ユーザーにとって一番大事な『価格』ですね。
ゲーミングノートPCは価格が高い割に性能が低い、つまり『コスパが悪い』時代もありました。一方で、近年の円安の影響でゲーミングデバイスの周辺機器全般が高騰しています。GPUに5090を搭載しているモデルで言うならモニターもキーボードも一体となっているノートはトータルで見るとデスクトップより少し安いくらいまでになっています。
ゲーミングノートPC市場はまだまだ成長しています。これまでユーザーの皆さんが感じていたデメリットも実は次々と解消されているんです。『ゲーミングノートPCはやめとけ』と考えている方はそれだけPCへの造詣が深い方々だと思います。そんな方達にこそ、いまのゲーミングノートPCを一度、体験してみてほしいですね」
ROGブランドのゲーミングノートPCたち。「ゲーミングノートPC やめとけ」の時代は終わった
あなたはスペック派?価格派?ASUSのおすすめゲーミングノートPC
ASUSがROGブランドを立ち上げたのが2006年。
ゲーミングデバイスを展開する中、ゲーミングノートPCを2007年から販売を開始した。それまでに展開していた「TUF Gaming」や今年、新たに加わった 「ASUS Gaming」と合わせて「ゲーミングノートPC」というジャンルにおいて一際ラインナップが豊富だ。
「『ROG』シリーズはユーザーの期待に応える形でゲーミングノートPCの販売を開始しました。需要の高まりを感じるようになったのは2019年くらいからです。
その後もパフォーマンスを求めるユーザーに合わせて、『ROG Strix』は高スペック・高パフォーマンス路線として追求をしていますし、デザイン性や薄さ、軽さを重視するユーザーに向けて『ROG Zephyrus』『ROG Flow』を展開しています。
日本ではノートパソコンを持ち運び利用するユーザーが多いので、コンパクトな『ROG Zephyrus』『ROG Flow』は特に人気がありますね。
『ROG Zephyrus』が新製品が出るたびに薄くなっているように、これらの製品もユーザーの声を聞きながら常に改善を続けています。
最近では『携帯ゲーム機のような手軽さでPCゲームを遊びたい』という需要に応えポータブルゲーミングPCとして『ROG Ally』シリーズも発売をしました。ASUSではこれからもユーザーにとって『ぴったりな一台』を提供していくので楽しみにしていてください」(ASUS担当者)
「ROG Strix」シリーズ
〝パフォーマンス重視〟でゲーミングノートPCを選ぶならこのモデルがおすすめ。2025年に発売モデルではNVIDIA GeForce RTX50シリーズLaptop GPUを搭載。3つのファンを搭載した独自の冷却機構や最大240hzのリフレッシュレートのROG Nebula Displayにより高いパフォーマンスを実現している。「ROG Zephyrus」シリーズ
〝クリエイティブ〟を求めるならこのモデルがおすすめ。スタリッシュな背面デザインとわずか最薄部1.49cm(G16モデル)のスリムさが魅力。有機ELディスプレイ搭載なので発色性を優先するクリエイターにもおすすめ。
「ROG Flow」シリーズ
圧倒的な〝軽さ〟を求めるならタブレットとしても使用できるこのモデルがいいだろう。13インチモニターで約1.2kg(※)の重量は携帯性もバツグン。タブレットPCならではのタッチスクリーンなので外出先でもさまざまな作業が可能となる。
※ タブレット(キーボードを外した状態)では1.2kg、キーボードを含めると1.59kg
「ASUS TUF Gaming」シリーズ
持ち運ぶ際の〝頑丈さ〟を意識するならこのモデル。米国の軍用規格であるMIL規格の厳しいテストをクリアしており、落下や振動だけでなくキーボードの耐久性やディスプレイ部の耐圧性、温度変化にも強くなっている。
「ASUS V16」シリーズ
2025年に新登場したV16シリーズは〝コスパ〟最強のゲーミングノートPC。インテルCore5プロセッサとNVIDIA GeForce RTX40シリーズLaptop GPUを搭載していながら、お値段まさかの13万円9800円。エントリーモデルとは思えないスペックをエントリー価格で提供してくれている。
取材・文/峯亮佑