
3月に「食品期限表示の設定のためのガイドライン」が改正・試行された。これにより、食品に表示される「消費期限」と「賞味期限」が延びる可能性があり、食品ロスの削減が期待されている。
では消費・賞味期限が長くなった場合、生活者はどのような反応を見せるのだろうか?
日本インフォメーションはこのほど、インターネットリサーチで全国の16~69歳の男女1006名を対象に「消費期限・賞味期限に関する調査」を実施し、その結果を発表した。
食品ロス(フードロス)の認知、削減の取り組み
食品ロスの意味まで認知している割合は全体の7割で広く浸透していることがわかった。食品ロスを減らす取り組みをしている人の割合を年代別で確認すると、男女ともに60代が最も高くなっていた。2022年12月に実施した調査結果と比較すると、減らす取り組みをしている人は全体で5.4pts上昇しており、食品ロスへの関心は高まっていると考えられる。
「消費期限」「賞味期限」が過ぎた時の対応
「消費期限」「賞味期限」が過ぎた時の対応を調べたところ、「鮮魚」「精肉」「牛乳、ヨーグルトなどの乳製品」「惣菜」「卵」「チーズ類」といった生ものや乳製品は、期限が過ぎたら飲食しない割合が高くなっていた。チーズを含む乳製品や卵は“賞味期限”が記載される食品だが、“消費期限”が記載されている生鮮食品と同等の扱いで捉えられていた。
この6項目以外は期限を過ぎても飲食する割合が過半数となっており、期限を過ぎても飲食している実態が見られた。特に「菓子」「レトルト食品」「基礎調味料」「缶詰」「メニュー用調味料」で顕著に表れている。
消費期限、賞味期限を長くすることを促すガイドラインへの賛否
食品ロス削減のために講じられた消費期限・賞味期限を長くすることを促す内容について、「良いことだと思う」が3割、「まあ良いことだと思う」が4割で賛成派が過半数となった。反対派は1割未満の少数であるものの、「どちらともいえない」も3割存在していた。
消費期限、賞味期限を長くすることを促すガイドラインへの賛否の理由
賛成派の理由では、「フードロス削減への期待」「物価高の影響」「保存のしやすさ、備蓄品への活用」という意見が多くなっていた。一方で「従来の感覚で過ぎたものを食べてしまいそう」といった感覚のシフトがうまくできるかの懸念点も挙がっており、期限を長くした場合には製造者・販売者側が生活者側にきちんと告知する必要があると考えられる。どちらともいえない・反対派の理由では、「健康面での不安」「期限が近づくのが怖い」「フードロス削減につながるか疑問」といった声が挙がっていた。
消費期限、賞味期限を長くしても安心なもの/長くすると不安・抵抗があるもの
期限を長くしても安心だと思えるものは「レトルト食品」「缶詰」「メニュー用調味料」「基礎調味料」「菓子」となった。他方、期限を長くすると不安に感じるものは「鮮魚」「精肉」「卵」「牛乳、ヨーグルトなどの乳製品」が高く、期限を過ぎると食べることを控えるものと同様の傾向となっていた。
今回の改定内容に対して、生活者の7割が賛成していることがわかった。一方で、期限を延ばすことにより、『多少期限が過ぎても大丈夫だろう』という従来の意識が残ることで、健康被害につながるのではないかという懸念の声も挙がっている。そのため、製造者や販売者には、生活者に対してわかりやすく明確な情報を提供することが求められている。
<調査概要>
調査地域:日本全国
調査対象:16~69歳 男女
調査実施期間:2025年4月18日~4月21日
調査手法:インターネットリサーチ
サンプルサイズ:有効回収計 1006サンプル
出典元:日本インフォメーション(株)調べ
構成/こじへい