
2026年4月から自転車の「青切符」による取締りが始まることで、自転車に関する交通安全の重要性が注目を集めている。公益社団法人全日本トラック協会が発表した『令和6年(1月~12月)の交通事故統計分析結果(発生地別/死亡・重傷事故編)』では、事業用トラックが第1当事者となる交差点での死亡事故・重傷事故データでは、左折事故の9割近くが対自転車だったと報告されている。
車載器専門商社の東海クラリオンは、トラックや大型車両による左折巻き込み事故防止の取り組みとして、1週間から4週間に1回以上自転車を利用する全国の男女10代から90代を対象に『左折事故・巻き込み事故に関する意識調査』を実施して、その結果を発表した。そこでは自転車に乗っている4割以上が危険を感じると答えたという。
自転車で左折事故の危険を感じた人は4割以上
「自転車の利用中、トラックや大型車による「左折事故・巻き込み事故」の危険を身近に感じたことはありますか?」という質問では、44.29%が「はい」と回答。事故の危険を感じたことのある人への「事故の危険を感じた対象者は誰ですか?(複数選択)」という質問では、「自分自身」と回答した人が79.84パーセントで大半を占めたという。
ちなみに東海クラリオンが2024年5月に実施した『左折事故・巻き込み事故に関する意識調査』と比較した場合、自転車利用中と歩行中では左折事故・巻き込み事故の危険を身近に感じたことがある人の割合に大きな違いはなかったという。
ドライバーが目視と勘で距離を測ることを知らない人が約6割
「左折時、トラックや大型車のドライバーが「目視と勘」で距離を測っていることが多いと知っていましたか?」という質問では、60.6パーセントが「いいえ」と回答。 大型車両は、前輪と後輪の間隔が長いという構造上、曲がるときに後輪が前輪よりも内側を通る内輪差が生じるので、運転席の反対側は死角になるエリアが大きい。
2024年11月には車両総重量8トンを超える貨物自動車の新車に対して、側方衝突警報装置を備えることが義務付けられたが、トラックの平均使用年数は10年程度と言われているので、すべての車両に安全装置が搭載されるにはまだ時間がかかりそうだ。
左折事故・巻き込み事故を防ぐための“かもしれない運転“
大型車両の左折では内輪差を考慮する必要があり、少し直進してから方向を変える。自転車利用者が大型車両の左折時の動きを知らなければ「このトラックは直進する」という勘違いが起きる可能性もある。
左折車両の左後方から直進する自転車が近づくときに大型車両の死角に自転車が入り込んでしまうと、お互いに危険への認識が遅れて事故になる可能性もある。 左折事故・巻き込み事故を防ぐには、大型車両側と自転車側の双方が交差点では事故の危険があると意識することが重要だという。
すぐに対策できる方法としては“かもしれない運転“がある。「後方から自転車が近づいているかもしれない」、「前方のトラックは左に曲がるかもしれない」など注意して走行することが事故防止の判断につながるという。
『左折事故・巻き込み事故に関する意識調査』概要
調査期間:2025年5月2日~2025年5月15日
調査方法:ウェブアンケート方式
調査対象:1週間~4週間に1回以上自転車を利用する全国10代~90代の男女
有効回答数:840名
実施:東海クラリオン
https://www.tokai-clarion.co.jp/info/information/7392/
構成/KUMU