
世界最大シェアを誇るロボット掃除機メーカーBeijing Roborock Technology Co.,Ltd.(以下、Roborock)は、6月6日より最上位モデルとなる「Roborock Saros 10(ロボロック サロス テン)」(以下、Saros 10)を発売する。
「Saros」は、Roborockが2025年からの展開を見据える新たなフラッグシップシリーズで、今回発表された「Saros 10」は、その記念すべき第一弾となるモデルだ。
今回、Roborockは発売に先駆けて新製品発表会を開催。会場では発売前にその実力を確認することができた。
新シリーズ「Saros」の第一弾となる「Roborock Saros 10」。価格はオープンで、希望小売価格は28万5,780円
最大の注目点は「賢さ」と「薄さ」の両立
ロボット掃除機が効率的に部屋を清掃するためには、迅速かつ正確な空間把握能力が不可欠。
このため、いま多くの高機能ロボット掃除機が導入しているのが、広い空間の大きさも素早くスキャンできるLDSをはじめとしたレーザーセンサーだ。
ただし、多くのLDS搭載ロボットは、360度全方位にレーザーを照射するために本体上部に円筒形の突起として設けられている。このため、この「突起」が低い家具の下などへ進入する際の邪魔となることも多かった。
「Saros 10」の本体。本体サイズは幅35×奥行き35.3×高さ93.5cmで、本体上部からLDSレーザーセンサーが飛び出ているのがわかる
「Saros 10」は、このLDSに新開発の「昇降式LDSレーザーセンサー」を搭載。通常清掃時にはセンサーを上昇させて広範囲を正確にマッピング。
ソファやベッドの下といった高さの限られた場所に進入する際には、このLDSレーザーセンサーを本体内部に自動で格納できるようになった。
レーザー部が飛び出た状態だと本体の高さは93.5cmあるが、この格納機能により本体の高さを7.98cmまで抑えることに成功。「レーザーの賢さ」を犠牲にせず「狭い場所の掃除」を両立できるようになった。
狭い場所を見つけると自動的にレーザー部を格納。レーザーは格納された状態でも本体前面左右100度がスキャン可能なので、家具下でも賢く走行できる
Roborock史上最強の吸引力と従来技術を結集
「Saros 10」は掃除性能も強化された。たとえば、吸引力はRoborock史上最強となる2万2000Paに強化され、モップは従来フラッグシップ製品よりも振動エリアを26%拡大することで水拭き性能もアップした。
Saros 10はこうした強化ポイントに加えて、Roborockが培ってきた数々の清掃技術をほぼ「全部入り」で搭載している。たとえば、吸引掃除で注目したいのが「デュアル毛がらみ防止ブラシ」の存在。メインブラシは左右2パーツに分かれた構造で、髪の毛が絡まるとブラシの回転力によって中央の隙間から自動的に外れる仕組み。このため、同社はメインブラシへの毛のからまりは0%に抑えられていると謳う。
中心部に向かって細くなる円錐状のメインブラシ。絡まった糸ゴミは、自動的に中央の隙間に移動する構造だ
水拭き性能も抜かりはない。最大毎分4000回という高速振動をするモップを搭載するが、水拭きが必要な汚れを検知すると本体の前輪を持ち上げながら移動。
モップ部分に本体の重さをかけながら強い力で床を拭き上げる。ちなみに、この「本体前面を持ち上げる」機能を利用して、一層最大3cm、2層なら4cmまでの大きな段差を乗り越えることも可能だ。
前輪を持ち上げることでモップがある本体後方に重心を移動させて頑固な汚れをしっかり掃除
掃除が難しい部屋の隅を検知すると、サイドブラシや壁キワ用モップが飛び出るギミックも搭載。とにかく「変形」機構が多い。
「全自動」の名前にふさわしい8way全自動ドック
ロボット掃除機の進化は、本体だけでなくドックにも表れている。
「Saros 10」に付属する「8way全自動ドック」は、自動ゴミ収集、モップの自動洗浄・乾燥機能、洗剤自動投入機能も搭載。
なかでも注目が熱湯でモップ洗浄ができる機能で、なんと80℃の熱湯でモップを殺菌しながら洗浄ができるようになった。同社はこの熱湯洗浄機能により、黄色ブドウ球菌や大腸菌といった細菌なら99.99%除去できるとしている。
ドックの新機能でもうひとつ注目が集まったのが「水拭きモップの着脱」機能。
カーペットを検知するとモップを持ち上げて掃除をするが、毛足が長いカーペットの場合はモップが接触することもある。こういった場合に「水拭きモップの着脱」をすればモップとカーペットの接触を完全に防ぐことが可能なのだ。
モップの熱湯洗浄やモップ取り外し機能などが追加されたSaros 10のドック。今回の発表会では残念ながらドックのデモンストレーションはなかった
まさにRoborockがこれまで培ってきた技術の集大成。なかでも、昇降式のLDSレーザーセンサーや、掃除の状況に応じて変形するサイドブラシ、壁キワ用モップ、モップリフトアップ機能など、随所に盛り込まれた変形ギミックは、どんな場所でも徹底的に掃除しきるというRoborockの強いこだわりを感じさせる。じつは、世界的調査会社であるIDCによると、2024年のロボット掃除機の世界出荷台数1位はRoborock。今回、発表会で「Saros 10」を体験し、Roborockが「世界で一番支持されるロボット掃除機メーカー」であることが深く納得できた。
発表会では床に落ちている小物を自動で片付けるアーム付きロボット掃除機「Roborock Saros z70」のデモンストレーションも。こちらはオーストラリアや韓国などで発売済。日本での発売は現状未定だ。
文/倉本 春