
車中泊は、費用を抑えながら自由な旅を楽しめる手段として支持を集めているが、その一方で、利用者の実態や感じている課題については可視化されていないのが現状だ。
そこでリセールバリュー総合研究所は、近年注目を集めている旅のスタイルである、自動車を利用した「車中泊」に関して10代~60代の男女600名を対象に意識調査を実施したので結果をお伝えしよう。
車中泊は“特別”から“日常”へ!車中泊経験者の3人に1人が「泊まる前提で車を選ぶ」
10代~60代以上の男女600名に「これまでに車中泊をしたことがありますか?」と調査したところ、「ある」と回答した人が39%。「ない」は61%で約4割が車中泊経験者であることが分かった。
「ある」と回答した人に「車中泊を想定して車を購入・買い替えたことがありますか?」と聞いたところ、「はい」が36.3%、「いいえ」が63.7%と、3人に1人が“車中泊を意識した車選び”をしていることが明らかに。
車はこれまで移動手段と考えられてきたが、上記の結果から「宿泊」や「自由な旅の拠点」としての役割も担い始めているのではないだろうか。
これまでの車中泊に関する回数について尋ねたところ、最も多かったのは「2回~3回」で44.4%を占めた。
次いで「6回以上」が28.2%、「1回」が17.1%と続き、約8割以上の人が車中泊を2回以上体験していることが判明。
車中泊の人気スポットは「道の駅」、「サービスエリア」、「観光地の駐車場」
車中泊をした場所について尋ねたところ、最も多かったのは「道の駅」で114人が回答した。
次いで「サービスエリア」が100人、「観光地の駐車場」が84人と、主に長距離移動中や観光先で立ち寄りやすい、公共性の高いスポットが上位を占める結果に。
また、「キャンプ場」と回答した人は64人にのぼり、アウトドアレジャーの延長として車中泊を楽しむスタイルも一定の支持を得ていることがうかがえる。
一方で「自宅の敷地」で行ったという人が16人、「その他」が22人となっており、その他の場所としてはコンビニエンスストアや公園の駐車場などが挙げられた。
これらの結果から、車中泊は観光地やレジャー施設に限らず、身近に立ち寄れるさまざまな駐車設備が利用されていることが分かる。
続いて車中泊をした理由について尋ねたところ、最も多かった回答は「費用を抑えるため」で142人にのぼった。経済的メリットが車中泊を選ぶ最大の要因となっていることがわかる。
次いで多かったのは、「自由な旅を楽しみたい」105人、「キャンプ・アウトドアの一環として」が71人となり、時間や宿泊地に縛られない旅のスタイルやアウトドアとの親和性が多くの人に支持されていることが明らかになった。
車中泊の三大魅力は「コスト・自由・安心感」!ペットと過ごせる旅スタイルとしても注目
車中泊の魅力について最も多かった回答は「宿泊費が安い」で155人となり、コストパフォーマンスの高さが車中泊最大の魅力であることがわかった。
次に多かったのは「自由な旅程」135人で、宿泊先や時間の制約に縛られず自由に行動できる点をメリットと感じている人が多いことが明らかに。
また、「アウトドア気分が味わえる」が89人、「災害時の備えにもなる」が43人と、レジャー目的だけではなく防災的な安心感に価値を見出す声も一定数見受けられた。
さらに、「ペットと一緒に過ごせる」と回答した人は35人で、ペット同伴での旅行スタイルにも車中泊が対応できることがうかがえる。
車中泊で感じる不便さ最多は「寝心地の悪さ」!トイレや騒音、治安など“世代別の気になる点”も明らかに
車中泊時に不便だったこと・困ったことについては、「寝心地が悪かった」が133人と最も多く、回答者の過半数が“快眠のしづらさ”に課題を感じていることが分かった。
次いで多かったのは、「トイレや入浴施設がない、または不便」が104人、「治安が不安」が83人、「騒音が気になる」が77人。
「その他」の回答では、熱さや寒さなど、快適性や安心感の欠如が主な困りごととして挙げられている。さらに、年代別の回答傾向を見てみると、以下のような特徴が見られた。
10代:「トイレや入浴施設の不便さ」と「治安への不安」が同率で最多。生活インフラや安全面に対する若年層の敏感さがうかがえる。
20代:「騒音が気になる」が最多。静かな環境での睡眠を重視する傾向が顕著に表れた。
30代・40代:「トイレや入浴施設の不便さ」が最多。特にファミリー層において、快適性や衛生面へのニーズの高さが背景にあると考えられる。
50代以上:「寝心地の悪さ」が最多。加齢に伴う身体への負担や、長時間同じ姿勢で過ごすことへの不快感が影響している可能性がある。
車中泊をする上で不安に感じる点を不安の度合い別に調査したところ「非常に不安」および「やや不安」が最も集中したのは「トイレ・入浴」で79.3%という結果になった。
次いで、「寝心地」が75.8%、「近隣への配慮」が72.4%という結果になり、設備面や快適性、周囲への影響といった“体験に直結するリアルな不便さ”に対する不安が集中していることが明らかに。
一方で「あまり不安ではない」、「全く不安ではない」の回答が多かったものは「騒音」(34.4%)、「安全性」(31.0)%、「法的な問題」(27.6%)の順となり、外的・制度的な不安は比較的許容度が高い傾向が見受けられる。
まとめ
以上の結果から、車中泊に対する最大の懸念は、物理的・身体的な負担や過ごしやすさに関連する項目であり、裏を返せば、これらの不安を軽減するインフラ整備や情報提供の工夫が、体験価値を大きく引き上げる可能性を秘めていることがうかがえる。
また、リセバ総研においても車中泊に関する記事はアクセス数が多く、今回の調査結果を踏まえると、費用を抑えつつ自由な旅を楽しめる手段である車中泊が、もはや“特別な体験”ではなく“旅の選択肢の一つ”として一般化してきているのではないかと推察できる。
今後は、こうした生活者の実態やニーズに寄り添ったインフラ整備や安心材料の提供が進めば、車中泊はさらに多様な世代に支持されるスタイルへと進化していくことが期待される。
調査概要
実施内容:車中泊に関する意識調査
調査対象:男女600人(10代・20代・30代・40代・50代・60代)
集計方法:インターネット調査(サーベロイド)
調査期間:2025年4月14日~4月15日
構成/Ara