
「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」が2025年7月にオープンします。開業までの株式会社刀の挑戦をご紹介します。
目次
沖縄北部に新たなテーマパークが生まれようとしています。
「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」は、世界自然遺産「やんばる」をもつ沖縄北部の大自然を舞台に、都会では味わえない興奮と贅沢を体験できるテーマパークとして、2025年7月25日に開業予定です。
その仕掛け人が森岡毅氏です。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)を運営するユー・エス・ジェイ(USJ)を、わずか数年で劇的に経営再建した伝説の戦略家・マーケターが仕掛けるジャングリア沖縄。実は森岡氏は構想実現に向けて、一時はその想いを断念していたのです。
なぜ、森岡氏はジャングリア沖縄の開業に挫折したのか? そして、なぜ、2025年に開業へ至ったのか? その苦難と挑戦の道のりを追ってみました。
「ジャングリア沖縄」の仕掛け人 株式会社刀(かたな) CEO 森岡毅氏とは?
戦略家・マーケターである森岡毅氏は、日本のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ブランドマネージャーとして「ヴィダルサスーン」の黄金期を築きあげました。
その実績を買われてP&G世界本社(米国シンシナティ)へ転籍。北米「パンテーン」のブランドマネージャー、ヘアケアカテゴリー アソシエイトマーケティングディレクター、ウエラジャパン副代表を経て、2010年にUSJへ入社しました。
同社CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)、執行役員、マーケティング本部長として手腕を発揮し、USJの経営再建の使命を完了。その後、株式会社刀(かたな)を2017年に設立しています。
森岡氏はキャリアの中で培った、高等数学を用いた独自の戦略理論、革新的なアイデアを生み出す法則、マーケティング理論など、一連の暗黙知を形式知化したマーケティングノウハウと、消費者視点で機能する持続可能な組織をつくる戦略人事などを体系化した、ビジネスパーソンなら一度は目にしたことがあるでしょう、〝刀メソッド〟を駆使して企業成長の加速、新規事業に取り組み、多くの企業を再生の道へと導き〝現代最強のマーケター〟とも称されます。
株式会社刀 代表取締役 CEO 森岡毅氏
JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)とは?
ジャングリア沖縄は、亜熱帯地域にある沖縄ならではの植物が生い茂る「やんばる」の絶景の中、ここでしか味わえない体験による〝興奮〟と、本物の自然に没入する〝贅沢〟が合わさった解放感が導き出す、〝Power Vacance!!〟を体験できる唯一無二のテーマパークです。
開業予定日は2025年7月25日(金)。沖縄県国頭郡今帰仁村字呉我山553番地1に、敷地総面積 約120haのうち、約60haをパーク総面積として、アトラクション、エンターテイメント、スパ、レストラン、ショップが開業します。
開業時のアトラクション数は22を予定。中でも「DINOSAUR SAFARI(ダイナソー サファリ)」が人気ナンバー1のアトラクションになりそうと、期待されています。
こちらは12人乗りの大型オフロード車に乗り込み、20頭もの恐竜がいる生息地に乗り込むというもの。
ビル7階建て相当の19mにおよぶブラキオサウルスや、トリケラトプス。そして、T-REXが猛スピードで追いかける、ハラハラドキドキのアトラクションです。
また、「HORIZON BALLOON(ホライゾン バルーン)」も人気沸騰間違いなし。
直径約23mの巨大な気球に乗りこみ、標高200mを越える上空の澄み切った空気の中、スパークリングワインのグラスを優雅に傾けながら、ゴンドラで寛ぐ贅沢な時間を味わえます。
そして、「SKY PHOENIX(スカイ フェニックス)」は、約19mの高さから、やんばるの大自然に向かい生身でダイブ! 鳥のように約280m滑空する、〝空を飛ぶ〟体験は強烈な爽快感にあふれます。
アトラクション以外の時間も充実しています。
レストランやショップが集まるエントランスビレッジに位置する「PANORAMA DINING(パノラマ ダイニング)」は、パークの景色を一望できるレストランです
さらに、ジャングルと青空のコントラストが美しい、大絶景を望む「SPA JUNGLIA(スパ ジャングリア)」は、ギネス世界記録に認定された世界一の贅沢インフィニティスパなど、幅広いラインアップのお風呂とサウナ施設を備えます。
ジャングリア沖縄は、入場チケット(フリーパス)制での運営を予定。1Dayチケットを購入すると、アトラクションやレストラン、ショップなどの体験をすべて楽しむことができます。
入場チケットのほかにも、アトラクションをスムーズに楽しめるチケットなど、様々なチケットを、今後販売予定となっています。
沖縄の新テーマパーク開業への挑戦
沖縄本島の北部に新たにオープンするジャングリア沖縄ですが、関西大学名誉教授 宮本勝浩氏によると、経済波及効果は、開業から15年で約6兆8080億100万円、雇用創出は88万1531人と試算されています。
*宮本勝浩 関西大学名誉教授および大阪府立大学王秀芳客員研究員による試算
テーマパークとしての楽しさはもちろん、沖縄経済、そして日本経済にも大きな影響を与えるであろう、ジャングリア沖縄。
しかし、開業への経緯は決して平坦なものではありませんでした。
ここからは、森岡氏の奮闘の道のりをご紹介します。
【参考】【公式】ジャングリア沖縄https://junglia.jp/
■2011年 USJで沖縄の新テーマパークを構想
沖縄に新たなテーマパークを築くという構想は、森岡氏がUSJ在籍時の2011年頃にスタートしました。
そして、2012年にはプロジェクトが発足し、テーマパークの実現は順調に進むかと思われました。
■2015年 コムキャストがUSJを約1830億円で買収。計画は白紙に
そんな中、2015年に米ケーブルテレビ大手のコムキャストが、米ゴールドマン・サックスなどから、USJの発行済み株式51%を約1830億円で取得することになりました。
そして、2017年には、残りの49%の株式を約2500億円で取得し、完全子会社化することに。
会社そのものが大きく変わる、そんなビジネスの荒波にもまれ、沖縄の新テーマパーク構想は白紙に戻らざるを得なかったのです。
■2017年 森岡氏はUSJ退社。株式会社刀(かたな)を設立
2017年1月に森岡氏はUSJを退社。同年、株式会社刀を設立し、代表取締役CEOに就任しました。
以来、株式会社刀は、企業が自身で課題解決するための「マーケティングノウハウそのものを移植する」、世界初のマーケティングノウハウのライセンシングカンパニーとして活動を続けてきました。
そして、沖縄の新テーマパーク構想実現へ向けて、水面下での闘いが始まっていたのです。
■2018年 ジャングリア沖縄の企画・開発・運営のため株式会社ジャパンエンターテイメントを設立
構想実現への静かなる闘いは、ついに日の目を見ることとなりました。
2018年6月に、ジャングリア沖縄の企画・開発および運営を目的として、沖縄県那覇市を本社に株式会社ジャパンエンターテイメントを設立。
CEOには加藤 健史氏が就任し、「沖縄から日本の〝未来〟をつくる」をミッションに、沖縄が日本の観光産業を変革し、観光立国日本経済へ貢献することを目指して、力強く事業を推進することになったのです。
株式会社ジャパンエンターテイメント 代表取締役CEO 加藤 健史氏。株式会社刀 シニアパートナー プランニング&オペレーションも兼務
加藤氏はUSJのパーク開業1年前から新規アトラクションを複数立上げるなど、テーマパーク運営に幅広い経験を積み、2012年より新規ビジネス開発担当として沖縄での新パーク開発プロジェクトのリーダーに着任。同プロジェクトを推進しました。
そして、森岡氏が株式会社刀を設立するに当たり、USJを退社。刀を創業当初から支え、森岡氏とジャングリア沖縄開業に向けて共闘しています。
■2019年 ゴルフ場約120haを建設用地として確保
そして、沖縄本島北部の今帰仁村と名護市にあるゴルフ場約120haをテーマパーク建設用地として確保。第1期の建設を約60haとすることが決定しました。
■700億円の資金調達にコロナ禍などで苦闘
ジャングリア沖縄の事業費を約700億円と見込しました。
コロナ禍やウクライナでの戦争など、世界情勢が大きく揺れ動く中、資金調達に難儀する時期もありました。
しかし、「沖縄から日本の〝未来〟をつくる」という大義を掲げるジャパンエンターテイメントに、多くの企業が賛同。ようやく資金調達のめどがたつことに。
そしてついに、沖縄の新テーマパークの建設が進むことになったのです。