3気筒の常識を覆す、痛快で上質な走り
さて、BMW120を走らせれば、出足はモーターアシストの恩恵で、素晴らしくスムーズかつ軽快に加速を開始。エンジンの低回転域での3気筒感など皆無。7速DCTはエンジンとのマッチングに優れ、スムーズな変速とともに、アクセルペダルを踏みこめば、ドライバーの意思を一瞬で理解し、適切なシフトダウンを行い、加速体制に移ってくれるから、走りはBMW流に痛快だ。
とりたててパワフルなエンジンではないものの、そうした7速DCTとの連携で、よほどの加速シーン出ない限り、加速性能に不満はなく、どころか終始、BMW4気筒にひけをとらないエンジンの気持ち良さを味わせてくれるほどだった(高回転まで回しても3気筒感はなく、ワイルドな咆哮とスムーズさを保ったままだ)。
いかにもBMWらしい低重心感覚あるドライブフィール、BMW流のウルトラスムーズなステアリングフィール、正確なクルマの動き、とくにカーブや山道で発揮される、オプションとなる18インチタイヤの接地感の確かさに加え、乗り心地もまた素晴らしかった。高速走行でのフラットな快適感、安定感に感動できるとともに、今回、浜名湖周辺の荒れた山道を走る機会もあったのだが、ボディ剛性の高さと足回りの柔軟性によって、常時、先代よりさらなる進化を遂げたと思える上質な乗り味に徹していたのである。
その上で、クルマとドライバーの一体感はBMWならではで、運転の楽しさ、しやすさを、このプレミアムエントリーモデルでも、しっかりと伝えてくれるのだから、エントリーモデルとはいえ、さすがBMWではないか。コンパクトでプレミアムなスポーティモデル、BMWを探しているダウンサイドザーにとって、これは狙い目だと、改めて思わせてくれたのである。
文/青山尚暉
写真/雪岡直樹