
2004年に登場したBMW1シリーズは、当初、5代目BMW3シリーズのプラットフォームを使ったFR駆動方式の5ドアハッチバックを基本とするBMWエントリーモデル、コンパクトモデルだった。そして2019年にBMWの本拠地であるミュンヘンでワールドプレミアされた3代目からは、走りと室内空間の広さの両立を目指し、ついにFF化。後席のニースペースが先代比で40mm拡大され、そのFF化の意味、効果を世に知らしめたのだった。「BMWはFRじゃなきゃぁ」という、FRを採用する3シリーズ以上のBMWファンの声があったにはあったものの、走らせてみれば、まごうことなきBMWの走りのテイストが実現されていたのである。
今回、試乗したのは、BMW1シリーズの最新型、2024年11月に日本で販売が開始された4代目のエントリーモデル、いや、プレミアムエントリーモデルと呼ぶべき120である。BMW入門に相応しい1台でもある。
ライバルVWゴルフと異なる、精悍なスタイリング
ライバルとして挙げられるのは、もちろん同セグメントにいるVWゴルフだが、BMW1シリーズはBMWらしいロングノーズを纏った、より精悍でスポーティな佇まいが特徴的だ。ボディサイズは全長4370×全幅1800×全高1465mm。ホイールベース2670mm。つまり、先代と比較して、全長、全高は拡大されているものの、全幅、ホイールベースは同一だ。
試乗車はBMW120の488万円(税込み)という車両本体価格に、テクノロジーパッケージ(ドライビング・アシスト・プロフェッショナル、パーキング・アシスト・プラス、インテリア・カメラ、ヘッドアップディスプレイ、ライブ・コクピット・プロフェッショナル)、およびハイラインパッケージ(スポーツシート、サンプロテクション・ガラス、HiFiスピーカーシステム/ハーマンガードン、シート・マテリアル)、そして18インチタイヤ&ホイール、電動パノラマ・ガラス・サンルーフを装着し、総額571万7000円(税込み)となる試乗車であった。ちなみにVWゴルフでは、18インチタイヤを履くe TSI R-Line 純正ナビ”Discover”、テクノロジーパッケージの場合、493万8000円となる。
同じ5ドアハッチバック、FFの駆動方式を基本とするVWゴルフと大きく違うのは、やはりBMWならではのロングノーズなスタイリングだろう。超高性能なスポーツモデルはどちらにもあるが、見た目のスポーティ度では1シリーズが上回ることは間違いない。
BMW120のパワートレーンは3気筒1.5L DOHCエンジン156ps、24.5kg-m+モーターの48Vマイルドハイブリッド。ミッションは7速DCTを組み合わせる。WLTCモード燃費は16.8km/Lだ。もちろん、最先端の先進運転支援システムがふんだんに搭載されている。
室内の上質感、先進性も現代のBMWならでは。FR時代に狭かった後席も、今では大人にも十二分な広さを備えていると言っていい。