
KADOKAWAのグループ企業である株式会社バンタンが運営するバンタンゲームアカデミーは2026年4月、日本初となる「謎解きクリエイター専攻」を開講する。
謎解きクリエイターの第一人者として知られる松丸亮吾氏が名誉アカデミー長に就任する他、同氏が監修したカリキュラムが採用される予定となっている。
同校ではプロ人材を育成することで市場の活性化や持続可能な成長モデルを確立する狙いがあると思われる。
需要の拡大を受けてプロ人材が不足する「謎解きクリエイター」
これまでも「eスポーツクリエイター専攻」や「プロゲーマー・動画クリエイター専攻」など、時代が求める専攻課程を開講してきたバンタンゲームアカデミーが次に注目したのは、なぜ「謎解きクリエイター」だったのだろうか。
「91年の開校以来、バンタンゲームアカデミーでは現場で求められるスキルをスピード感を持って取り入れてきました。その結果、『eスポーツクリエイター専攻』や『プロゲーマー・動画クリエイター専攻』などが誕生しました。
近年、謎解きの需要は高まり続けています。ゲームやイベントで使われているほか、地域活性化や教育現場でも利用されており、市場規模は60億円を超えると言われています。謎解きは何十年も前から存在するコンテンツでしたが、ここ数年はゲームの枠を飛び越えて再注目されています。それにも関わらず、企画・制作を行なうクリエイター人材を育成する場が全くなく『謎解きクリエイター専攻』の開講を決めました」(バンタン広報担当)
「謎解きクリエイター」に求められる思考力とは?
その道のプロから直接学べることができることを強みとしているバンタンは「謎解きクリエイター専攻」において、謎解きクリエイターの第一人者・松丸亮吾さんを起用。カリキュラムの監修だけでなく、松丸さんの特別授業の実施も予定している。
バンタンは、今年度の入学式では松丸さんと協力し『謎解き入学式』を開催。新入生たちはステージ上に隠された“爆弾を止める”謎解きに挑戦。事前に送られた招待状や当日会場に設置された案内看板に仕掛けられた謎を解いていき、最後は参加者4000人全員の多数決で爆弾を解除するミッションに立ち向かった。
招待状に隠された謎
新入生たちからは
「忘れられない入学式になった」
「会場の一体感がすごかった」
との声が集まり、入学式を体験型エンタメにすることに成功している。
バンタンが育成したいのは、まさにこういった企画力だという。
「もちろん、一つひとつの『ネタ(謎)』を考えることも大切なのですが、もっとマクロな視点で謎解きを通して『どのような体験を提供できるのか』を考え、企画・制作・運営できる人材を育てたいと考えております。参加者にどのような体験をしてほしいのか、どのような感情を抱き、終わった時にどのような感想を抱いてほしいのか、プロはそこまで考えられる力が求められます。論理的思考や発想力をクリエイティブに活かしたい方や広告系の会社や企画職を目指している方、チームでのものづくりが好きな方などは『謎解きクリエイター専攻』の経験はキャリアアップになります」(バンタン広報担当)
『謎解きクリエイター専攻』の主な就職先は謎解きイベント制作会社以外にもゲームプランナーや広告会社、自治体なども視野に入るだろう。まだまだ確立されていない「謎解きクリエイター」という仕事が、今後どのような需要を生むのか楽しみである。
『謎解きクリエイター専攻』は専門部(2年制)、大学部(4年制)※1・高等部(3年制)※2で開講予定。
※1:連携している通信制大学にて大卒資格を取得
※2:通信制高校 学校法人角川ドワンゴ学園 S高等学校との連携により、高校卒業資格を取得
バンタン東京校(中目黒1号館)の外観
さまざまな教室で未来のクリエイターを育成している
「謎解きクリエイター専攻」名誉アカデミー長・松丸亮吾さんとは
松丸亮吾さん
謎解きクリエイター/RIDDLER株式会社代表取締役
TV番組・イベント・舞台など、様々なメディアで一大ブームを巻き起こしている「謎解き」の仕掛け人。2019年に謎解き制作会社RIDDLER(株)を立ち上げ、自身の監修した謎解き書籍は累計200万部を突破するベストセラーに。ヨーロッパで開催された脱出ゲームの世界大会「World Escape Room Championship 2023」に出場して優勝。2024年12月には「リドラの謎解きスタジオ 池袋店」をオープンさせ、謎解きが楽しめる施設の展開にも力を入れている。
取材・文/峯亮佑
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