
いやあ、驚いた。何がって、「たまごっち」の変わらぬ人気ぶりである。
1996年に発売されると、瞬く間に女子高生を中心に大人気となった『バンダイ』のデジタルペット「たまごっち」。それが今、アルファ世代をはじめ、ミレニアル世代やZ世代にも“エモい”とブーム再燃。また、入手困難の当時を記憶している親世代にも響いているという。
世界規模で成長を続ける「たまごっち」(C)BANDAI
現在、「たまごっち」は世界50カ国以上で同時に販売。その累計出荷数は2025年3月時点で9,810万個を突破した。2025年7月12日に新発売される「たまごっちパラダイス(Tamagotchi Paradise)」では、前作より2カ国語増えて9カ国語から言語を選べる。
2026年には、誕生から30周年を迎える。四半世紀を超えてヒットし続ける理由を、企画・開発を担当する株式会社バンダイ トイ事業部の青柳知里さんに聞いた。
“懐かしくて、新しい”から世代・性別を超えて愛される
「たまご」と「ウォッチ(時計)」から名付けられた「たまごっち」。地球から遠く離れた「たまごっち星」で暮らす生物たちを育てる電子育成玩具である。たまごから生まれたたまごっちは、食事やおやつを与えたり、機嫌をとったり、うんちを掃除したりと、お世話が必要だ。ちょっと目を離すと病気になったり天国へいってしまったりする。これが、大変でかわいい。
「お世話は1日サボるとだめです。世話がやけますが、同じ時間を過ごすことで、育成する喜びや楽しさを感じていただけるはずです」(以下「」内、全て青柳知里さん)
「たまごっち」の主なターゲットは、女子高生に始まり、2004年からは子どもたちに。主に、7~9歳の子どもたちがコアターゲットだと青柳さん。一方、近年では親世代が再び遊ぶ傾向も見られるそうだ。さらに、男性・女性問わずヒットしている、とも。
「子どもたちには“新しい”、96年に社会的なブームになったことを知っている親世代にとっては“懐かしい”と感じていただいているようです。生き物をお世話するという普遍的な遊びなので、世代や性別を超えて親しみやすいのだと思います」
“ツーしん”機能と口コミで、一緒に遊びたくなる
たまごっちの歴史(C)BANDAI
1997年にはアメリカとヨーロッパでもブームが起こり、文字通り嬉しい悲鳴があがるほど売れた。しかし1998年には在庫過多となり……。
「おやすみ期間を経て、2004年に復刻したのは『たまごっち』で遊ぶ子どもたちがきっかけです。生き物をお世話するという遊びはそのままに、当時、携帯電話に搭載されていた赤外線通信機能をつけました。これにより、大人が赤外線で連絡先を交換するように、お友だちと“ツーしん”できるようになったことで、さらに子どもたちに広まっていきました」
当時の携帯電話を模した2004年発売の「祝ケータイかいツー たまごっちプラス」
“ツーしん”では、「げーむ」「ぷれぜんと」「ほうもん」と、3種の遊びが楽しめる。また、通信を重ねることで、たまごっち同士が仲良くなり、相性がよければ次の世代の子どもも育成できるという。
その後、フルカラー、アプリと連動、タッチ液晶、ウェアラブルと、時代ごとに進化。前作の「Tamagotchi Uni(たまごっちユニ)」にはWi-Fiを搭載し、世界中のユーザーとコミュニケーションできるようになった。
2025年7月に新発売する「たまごっちパラダイス」(C)BANDAI
そしてこの夏に発売される「Tamagotchi Paradise(たまごっちパラダイス)」であるが、“ツーしん”はデバイス同士をドッキングさせる必要があるという。あれ? 時代に逆行していないか?
「30周年を前に、原点回帰です。
そもそも『たまごっち』は、発売以来、口コミを大切にしています。お友だちがお世話する姿を見て、自分もやりたくなる。自分の育てる『たまごっち』をお友だちと見せて、一緒に遊びたくなる。そういう身近なつながりから生まれる広がりでヒットしました。
ドッキングという方法も、親世代からすると懐かしいかもしれませんが、子どもたちには新鮮に映るようです。ちなみに前作、前々作は充電式にしていますが、今回は乾電池タイプ。よりシンプルに、お世話遊びが楽しめるようになっています」
“新たまごっちの発売は2025年7月12日
最新シリーズ「Tamagotchi Paradise」は、たまごっちの世界により長く没入できる点にも注目だ。
「一つが、初となるズーム機能です。右上のズームダイヤルをぐるぐると回すことで、宇宙レベルから細胞レベルまで、4段階で幅広いお世話遊びができます。
もう一つが、さらに多種多様で個性豊かなたまごっちと出会えること。前作では33通りでしたが、環境やお世話の仕方によって50,000通り以上のたまごっちが育ちます。ドッキングで行う“ツーしん”で、新たな遺伝子と出会うのもドキドキ、ワクワクしますよ。どうぞご期待ください!」
なお、2025年5月21日から受付開始した予約販売は、軒並みソールドアウト。期待の高さがうかがえる。繰り返すが、発売日は2025年7月12日だ。長年のファンも、令和を生きる子どもたちも、久しぶりにプレイしたい筆者のような人も、来たるその日を心して待つべし!
アンバサダーを務めるのは、子どもたちにも大人気のYouTuber・しなこさん(写真左)と竹下⭐︎ぱらだいすの3人(C)BANDAI
取材協力/バンダイ
取材・文/ニイミユカ