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企業との共創、自社拠点「SANU FACTORY」、進化を続けるシェア別荘サービス「SANU 2nd Home」の戦略

2025.06.01

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

国内最大級のシェア別荘サービス「SANU 2nd Home」(以下、SANU)を展開する「Sanu」は、産業・地域横断型の共創プロジェクト「SANU Lifestyle Partners」(以下、SLP)を始動することを発表した。

SLPは、都市生活者が自然と共に暮らす新たなライフスタイルを社会に実装することを目的とし、第一弾では、ANAグループ、JAL、J.フロントリテイリング、ゴールドウイン、日鉄興和不動産、クレディセゾン6社のパートナー企業が参画。

日常生活として基盤を持ちつつ、もうひとつの家を持ち暮らしの可能性を広げていくことを目的とし、パートナー企業のサービスの特性を取り入れながら、1泊の価値を食・移動・体験などへ交換できる「宿泊経済圏(SANU Lifestyle Market)」の創出を目指していく。

都心生活者の自然の暮らしを後押しする「SANU Lifestyle Partners」

SANUは2021年11月に「自然がもうひとつの家になる」というコンセプトで、月額サービスで利用できるセカンドハウスをスタート。

3年半の間で日本全国31拠点189室(2025年5月現在)まで拡大。SANUのユニークユーザー数は約2万3000人に上る。登録されている全ての拠点を利用できることが大きな特色で、季節や目的に合わせて滞在を選ぶことができる。

サービス内容もスタート当初のサブスクリプションだけにとどまらず、現在は法人向けや所有型、1泊単位など5つのサービスを展開している。

「別荘を持っている平均的な年齢は60代半ばといわれており、価格や管理の面でも若い世代は手が出しにくいものでした。しかし、弊社の利用者は30~40代がメインで、子育て中のファミリーや、これからのライフスタイル見直したい層など、若い世代にセカンドホームを使っていただいているのが特徴です。

SANUのこれからのテーマは『Nature for all』。“自然と共に生きる”をあらゆる人へ、というのがテーマです。我々が売っているのは別荘ではなく、自然での暮らしです。自然の中で豊かな人生を送るというのは、一部の人に特化したものではなく、あらゆる人が享受すべきものだと思っています。

自然と共に生きる新しいライフスタイルを社会実装するための基盤がSLPです。自然での暮らしの提案をするときに、別荘を建てるだけでなく、都心の家からセカンドホームへの移動、セカンドホームでの教育や体験、通信、エネルギー、二拠点生活に必要な金融サービスなど、様々なサービスの連携が必要になってきます。あらゆる産業が一緒になって自然と共に生きる暮らしを総合的に提案していく構想がSLPです。

第一弾は6社のパートナー企業に参画いただきましたが、顧客基盤を合わせると、1億人を超す規模になります。これだけ大きな企業の皆様に参画いただいたことで、最初の入り口となる一泊から、自然の中での暮らしの魅力を皆様の顧客基盤の方々へお伝えできるようにしたいと考えています」(株式会社Sanu 代表取締役CEO 福島弦氏)

設計から加工、組立、施工まで、工場で建築プロダクトを生産する自社拠点「SANU FACTORY」

自然共生型の木造モジュール建築を製造する「ADX」の子会社化も発表され、設計・製造・運営を垂直統合する新体制に今年中を目処に移行する。

ADXは、SANUの創業期より建築パートナーとして、「SANU CABIN BEE」「SANU CABIN MOSS」など、各地の拠点を共につくりあげてきた設計・施工一体の自然配慮型建築のリーディング企業。「SANU CABIN BEE」では、ウッドデザイン賞2022 最優秀賞・環境大臣賞を受賞し、iF DESIGN AWARD 2024をはじめとする国内外のアワードでも高い評価を得ている。

「これまで31拠点に木造のオリジナルシリーズと呼ばれる建築を4タイプ展開してきました。フォルムは全て違いますが、共通する要素が2つあります。1つ目は日本の森にリスペクトを込めて、日本の国産の木材を使った木造建築であるということ。2つ目は、人と自然がつながり、感性が開く豊かなデザインの建築であるということ。これらの要素を備えた、

『SANU CABIN BEE』『SANU CABIN MOSS』は、ADXの安齋好太郎さんと共に設計し作ってきました。

『森と生きる。』というビジョンのもと、建築を通じて森と人の関係を結び直そうとするADXの姿勢は、SANUが大切にしてきた価値観とも重なります。一定の基盤が整った今、私たちは2028年に国内100拠点、2035年には世界500拠点への展開を見据え、その実現に向けては、建築領域のさらなる進化が不可欠だと考えています。

今回の経営統合により、SANUは設計・製造・販売・運営をテクノロジーで、一気通貫で担う、世界でも類を見ないスタートアップとして、次のフェーズへ進んでいきます」(福島氏)

SANUが目指すのが、テクノロジーを活用した木造建築の世界展開。建築・住宅業界は、職人が20年間で200万人減少し現場の半数が65歳以上と高齢化、資材価格は過去10年で最高水準になっており、DX・自動化も遅れている、主要産業中で最も生産性が低い、CO2排出の約3割が建設業由来など、構造的な危機に直面している。

「こうした社会背景にある構造課題のほか、日本は森林率が世界第3位でありながら、林業の担い手は年々減少し、地域の山々は活かされることなく放置されています。こうした多層的な課題を前に、建築の在り方そのものを問い直し、自然と人の循環を取り戻すための根本的な変革に挑んでいきたいと考えています。

テクノロジーを活用した木造建築についてはすでに実施しており、工場で生産した高品質のものを低単価で世界に出していけるという体制を作っています。さらにこれを推し進める第一歩が、木造のモジュール建築のプロフェッショナルで、ノウハウを蓄積しているADXとの経営統合です。これによりSanuという会社としては、建築の設計から製造、販売、運営管理するところまで全てを一気通貫で行います。

設計から組立までのデジタル化、ロボティクスを活用した生産工程、エアコン、電気、鍵、太陽光パネルなど住宅に必要なコンポーネントが1個になってプロダクトとして完成するコンポーネント住宅、この3つのアプローチで進めていきます。

設計から加工、組立、施工まで、工場で建築プロダクトを生産する自社拠点『SANU FACTORY』を進めていきます。2028年には『木造モジュール建築』(建築の大半を工場で実施し、加工した部材を組み立てて完成させ現場の建築期間を短くする)年産300棟体制の構築、2030年には海外展開の本格化を目指します」(福島氏)

【AJの読み】別荘でもホテルでも移住でもない『もうひとつの家』が世界に広がる

ひと昔前の「別荘」といえば、富裕層が休暇中に避暑で訪れる場所という印象だったが、現在の「セカンドハウス」は文字通り第2の家として、様々な年齢層に、多種多様な目的で使われている。

通信インフラが整備されたことで、スキーやサーフィンを楽しみながらリモートワークをする場としても機能し、航空や鉄道といった大型輸送を活用して、自宅から遠く離れた場所でも手軽に行ける。こうした背景の中で、都会生活者でも気軽に自然に身を置ける環境を整えた「SANU 2nd Home」の功績は大きい。

「北海道や奄美から世界と仕事ができるという今の時代、日本は移動という観点から見るとすごく小さくなっていると思います。今後は、移動しやすい関西エリア、東海エリアのほか、遠いところでは沖縄でも離島などに拠点を作っていきたいと思っています。

都会から自然の中に一歩踏み出せないという心理的な障壁に、手続きの面倒さがありますが、SANUは予約、チェックイン、チェックアウト、レビューに至るまで全てのプロセスがひとつのソフトウェアでシームレスにつながっているので、スマートフォンひとつであらゆる体験ができます。

今から10年後の2035年には、我々の建築プラットフォームが世界に広がり全世界で500拠点を目指し、登録した瞬間に世界中の自然に対して簡単にアクセスできるもうひとつの家がある、こういうサービスを作っていきたいと思っています」(福島氏)

取材・文/阿部純子

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