
何かとストレスの多い現代社会。それは小学生の子どもにとっても例外ではない。特に新学期のスタート直後は、付き合う人や環境の変化により、心に負荷がかかるのではないだろうか?
イー・ラーニング研究所はこのほど、小学生の子どもがいる親世代422人を対象に「新学期の適応と自己調整力に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。
約9割の親が、子どもは新学期の環境変化に対して、期待や不安を実感していることが判明
子どもがいる親世代に「子どもは、新学期の生活に『期待』や『不安』を持っていると思いますか<SA>」と尋ねたところ、「とても持っていると思う」(42.4%)、「少し持っていると思う」(44.8%)に回答が集中し、合わせて約9割にのぼった。このことから、多くの親が、子どもが新学期の新しい環境に対して、前向きな感情を抱いている一方で、心配な気持ちも持っているということが判明した。
「子どもは、新学期の環境変化によるストレスを感じやすいと思いますか<SA>」の問いに対しても、「とても感じやすい」(47.6%)と、「少し感じやすいと思う」(43.4%)を回答する親が9割以上という結果となった。
また、これらの回答者を対象に「子どもは新学期の環境変化において、どのようなストレスを感じていると思いますか<MA>」と尋ねると、「新しい先生や友人との人間関係の構築」(319)が最も多く、次いで「新しい場所、慣れない環境での生活に対する不安」(285)となった。その結果から、“人間関係”が最大の悩みの原因になっており、大人と同様に、新しい対人関係や“自分の居場所づくり”に対するストレスの大きさがうかがえる。
9割以上の親が5月病対策だけでなく、生きていくための力として「自己調整力」の必要性を実感していることが判明!
「子どもの5月病(新学期の疲れやストレス)を予防するために、家庭で工夫できることは何だと思いますか<MA>」と質問したところ、最も多く回答が上がったのは、「子どもの話をよく聞き、不安や悩みを共有するようにしている」(315)、次いで「十分な睡眠時間やバランスの良い食事などの健康管理」(292)となった。家庭ではコミュニケーションや健康管理など、日常生活の中で無理なく取り入れられる工夫をすることを重要と考える親が多いことが見て取れる。
「あなたは、『自己調整力』というキーワードについて知っていますか?<SA>」という問いに対して、6割以上が「知らない」(61.4%)と回答し、『自己調整力』というキーワードがまだ浸透していないことがわかった。
一方で、「あなたは、子どもが環境の変化によって受けるストレスの予防や対処をするために、『自己調整力』を身につける必要はあると思いますか<SA>」と尋ねたところ、「必要であると思う」(73.9%)と、「ある程度必要であると思う」(20.9%)の合計が9割以上となった。
この結果から、問題にぶつかった際に自己の行動と感情をコントロールする「自己調整力」を、5月病対策のみならず、「社会で必要な力」として考える親が多いということが示唆されている。
「自己調整力」を育むための明確な手段や共通認識が未確立であることが明らかに!
「家庭で、子どもの『自己調整力』を育むために意識すべきと思うことは何ですか<MA>」と尋ねると、「感情を言葉で表現したり、リラックスできるように促すこと」(302)が最も多くなったものの、その他の選択肢については僅差となり、明確な手段や共通認識がまだ十分に確立されていないことがうかがえる結果となった。
その一方で、「子どもが『自己調整力』を高めるために、学校や地域でどのようなサポートがあるといいと思いますか<MA>」に対しては、「ストレスや感情のコントロールを学べる機会」(293)、「問題解決のステップを学ぶ機会」(284)、「自分の行動や成果を振り返る機会」(255)といった回答が続き、学びや振り返りなどの機会創出の支援が家庭外にも求められていることが明らかになった。
<調査概要>
調査方法 : 紙回答
調査期間 : 2025年4月3日(木)~2025年4月22日(火)
調査対象 : 子どもを持つ親、親族に子どもがいる方 計422人
出典元:イー・ラーニング研究所調べ
構成/こじへい