
トヨタは、2025年5月21日、新型「RAV4」を世界初公開した。なお、この新しくなった「RAV4」は、今後グローバルに180以上の国・地域へ向け販売され、日本での発売は、2025年度内を予定している。
RAV4は、「SUVはオフロードを走るクルマ」と位置付けられていた時代の1994年に、「アウトドアでも街乗りでも楽しい」クロスオーバーSUVのパイオニアとして誕生した。以来、5代続く歴史の中で、RAV4は時代に合わせて変わっていく様々なライフスタイルに応えながら、世界中の多くのユーザーに愛される存在になっていった。
5代目となった2019年発売モデルでは、RAV4独自の魅力をさらに高めるべく、「Robust Accurate Vehicle with 4 Wheel Drive(SUVらしい力強さと、使用性へのきめ細やかな配慮を兼ね備えた4WD)」というコンセプトのもと、新たなライフスタイルを切り拓くきっかけとなるクルマを目指し開発された。また走行性能においても、トヨタのクルマづくりの構造改革である「Toyota New Global Architecture(TNGA)」に基づく新プラットフォームの採用を通じ、どのような路面でも意のままに走行できる操縦性と走行安定性を実現した。
今回の6代目となるRAV4は、「Life is an Adventure」を開発コンセプトに、だれもがこのクルマでそれぞれのアクティブな生活を楽しめることを目指した。5代目で刷新した「RAV4ならではの走り」をさらに追求し、新開発のハイブリッドシステムにより加速感を高めた。
さらに、新時代にふさわしいデザインにより「どこへでも行けそう」と思えるクルマに、そして、運転する人の使い勝手を考えた機能性と最新の知能化技術により「なんでもできそう」と思えるクルマへと進化。知能化を推し進めるキーとなるのは、トヨタ初採用となるソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene」。このAreneの採用により、さらなる「安全・安心」や、「移動の楽しさ」を実現することで、新型RAV4は都市部の生活でもアウトドアでも、これまで以上にあらゆるライフスタイルにフィットする相棒のような存在となることを目指している。
電動化をリードするパワートレーンで「どこへでも行けそう」な存在へ
新モデルはPHEV、HEVをラインアップし、PHEVには、トヨタ初搭載となる最新の第6世代ハイブリッドシステムをベースに、大容量の駆動用バッテリーや高出力充電器対応を組み合わせた、新開発のプラグインハイブリッドシステムを採用した。
■PHEV
フロントアクスルへのシリコンカーバイド半導体採用等により、小型・高効率化を実現。駆動伝達系では損失低減を図ることで燃費を向上したことに加えて、電池の大容量化でEV航続距離を従来の95kmから150kmまで延伸。
そして「電動車でも」ではなく「電動車だからこそ」ユーザーに満足してもらうことを目指し、最新のハイブリッドシステムと電動ブレーキシステムを組み合わせて搭載。モーター出力は12%向上し、RAV4らしいワクワク感の高まる走破性を実現。
さらにV2H(ビークルtoホーム)にも対応し利便性を向上。様々な生活シーンで、電気を活用した体験を提供。さらに、DC急速充電も追加し、約30分で満充電の80%まで充電が可能となった。
■HEV
トランスアクスル、パワーコントロールユニット、電池等の改良により、モーター出力を向上。シームレスな加速感に加え、軽やかな出足とダイレクトな駆動力レスポンスを実現。
RAV4らしさを体現するデザイン
エクステリアデザインは、「Big Foot(大径タイヤを強調)」「Lift-up(高い走破性を想起)」「Utility(使いやすい荷室空間)」をポイントとしてデザインされた。3つの要素で「どこへでも行けそう」なRAV4らしさを表現している。
一方インテリアデザインは、SUVの機能性をベースに、ユーザーの使いやすさやエンターテインメント体験を可能にする空間を構築。具体的には、インストルメントパネル上面を約40mm低く配置し、見晴らしの良い視界を確保することで、運転しやすさを実現。さらに、スマートフォンとの多彩な連携に応えるデジタルデバイスの進化と最適配置。加えて、モダンかつシンプルに構成した収納等の機能性で使い勝手を向上させた。
多様なニーズに応える3つのスタイル
■街中で目を引く、洗練されたデザインをもつ「CORE」
・ボディ全体の塊で構成された「SUVハンマーヘッド」の採用によりタフさを表現
・バンパー一体グリルで先進感と強さを立体的に表現
■冒険心をさらに掻き立てるラギッド感(武骨さ)を強調した「ADVENTURE」
・ワイドトレッド化と専用ホイール・アーチモール、シンプルな造形ながら縦比率の高い大型グリルを採用することで、SUVらしい力強さを実現
・ハンマーヘッドのノーズピークを高く設定することでオフロード感の強いプロポーションを強調
■走りの楽しさを機能とともに表現した「GR SPORT」
モータースポーツの知見を活かし、機能美を追求したデザインや足回りのチューニング、ボディの剛性を強化。市街地やハイウェイ、ワインディングなど様々な道で安心して操れ、走る楽しさを味わえるスポーティなモデルに仕上げられている。
・フロントデザインは、進化したFunctional MATRIXグリルを採用
・空力性能を高める前後スポイラー、ホイールデザインを採用し、操縦安定性を向上
・ワイドトレッド化(+20mm)やサスペンション・EPSの専用チューニング、専用軽量アルミホイールの採用などにより、高い操縦安定性を実現
そしてインテリアカラーは、3色を設定。クラウンシリーズ共通の「ブラック」と、大人の華やかなアクティビティに寄り添うイメージの「サドルタン」に加え、アクティブで洗練された印象の「グレイッシュブルー」をPHEV専用色として、クラウンシリーズで唯一採用した。
知能化技術で「なんでもできそう」を実現
新型RAV4には、ウーブン・バイ・トヨタで開発を進めているソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene」をトヨタで初めて採用。Areneの採用を皮切りに、SDV(Software-Defined Vehicle)の開発を本格化していく。トヨタの考えるSDVの提供価値は、単なるエンターテインメントや利便性に留まらず、「安全・安心」「交通事故ゼロ」の未来を届けることにある。誰もが安心して移動を楽しめるために、そのうえで、クルマがますます「愛車」になっていくために、2つの機能をAreneにより実現した。
■新世代マルチメディアをトヨタ初搭載
カスタマイズ可能なホーム画面の採用でユーザー1人ひとりに合わせた操作性を向上した。また、音声認識の応答速度・理解精度を向上させ、さらに快適な対話が可能となった。
■最新のToyota Safety Senseを搭載
先進機能の改良・追加でより安心なドライブを楽しめる。
【改良された機能例】
・ドライバー異常時対応システム
走行中の運転者が急病などにより運転の継続が困難になった場合、自動的に車両を減速・停車させる機能
→ センサー情報を用いて、路肩に退避スペースが確認できた場合には、減速後、路肩へ寄せて停車できるよう改良
【追加された機能例】
・急加速抑制
障害物の有無にかかわらずアクセルの踏みすぎ・踏み間違いを検知するとクルマの加速を抑制
→ 従来販売店オプションとして設定のあったプラスサポート機能を改良し、Toyota Safety Senseに標準装備
構成/土屋嘉久