入試難易度や特徴が似た大学をまとめて呼称する大学群。本記事では、国立大学の大学群である5S大学について、含まれる大学や他大学群との比較、よくある質問を解説する。
目次
地方国立大学において、準難関大学と呼ばれる五つの大学、埼玉・信州・静岡・滋賀・新潟。これらは、入試難易度や特徴が似ていることから、まとめて5S大学と呼称されている。
本記事では、5S大学それぞれの特徴について詳しく紹介し、他大学群との比較や5S大学のメリット、就職実績なども網羅する。受験校選びに悩む受験生や保護者、企業で採用に携わるビジネスパーソンにも役立つ、5S大学ガイドになっている。
5S大学とは?含まれる大学と特徴
5S大学とは、埼玉大学・信州大学・静岡大学・滋賀大学・新潟大学の五つの国立大学をまとめた大学群。5Sは各大学の頭文字、新潟大学の場合は略称である新大(Shindai)からSを取って名付けられた。いずれの大学も、地域に根ざした教育と安定した進学先として知名度のある国立大学だ。
まずは、各大学の特徴について確認しておこう。
■埼玉大学
埼玉大学は、さいたま市にキャンパスを構える国立大学で、1949年に新制大学として設立された。前身は官立浦和高等学校、埼玉師範学校、埼玉青年師範学校であり、教員養成を主としていた歴史から、現在でも教育学部の評価が高い。教育の質的改善と教員就職率の向上を目指し、令和8年度より組織再編とカリキュラムの改革が行われる予定だ。グローバルに活躍できる人材の育成にも注力しており、海外留学や大学内留学など、さまざまな国際交流プログラムが整備されている。
<学部>
教養学部/経済学部/教育学部/理学部/工学部
参照:埼玉大学
■信州大学
信州大学は長野県内に五つのキャンパスを有する国立大学で、学生数は約9,000人。各キャンパスでは、地域特性を活かした社会連携を行っている。また、附属学校園を擁しており、学生が教育実習を通して学びを得るとともに、教育実践研究の場としても重要な役割を果たしている。
上田蚕糸専門学校を前身の一つとしているため、日本で唯一の繊維学部が設けられているのも特徴。同学部はスポーツウェア設計工学や感性デザインなど専門性の高い学びが得られることで知られており、人気も高い。
<学部>
人文学部/教育学部/経法学部/理学部/医学部/工学部/農学部/繊維学部
参照:信州大学
■静岡大学
静岡大学は、1949年に五つの学校を統合して創設された国立大学で、静岡県内に2か所のキャンパスを有する。理系学部が多く研究内容も高く評価されており、学会や研究会における受賞歴も豊富だ。2025年にはグリーンサイエンスカフェというイベントを開催し、一般の方にも研究に触れてもらう機会を提供している。世界を先導する研究拠点の構築を掲げながらも、地域に根付いた教育・研究と貢献活動を大切にしている大学だ。
<学部>
人文社会科学部/教育学部/情報学部/理学部/工学部/農学部/グローバル共創科学部
参照:静岡大学
■滋賀大学
滋賀大学は、滋賀県内に2か所のキャンパスを有する国立大学だ。学部数は少ないが、高い就職率を誇り、関西では力のある大学として知られている。また、国内初のデータサイエンス領域の専門学部として2017年に開設されたデータサイエンス学部が有名だ。全国的にも先進的な試みとして注目を集めており、企業との共同研究やAI関連分野の教育にも力を入れている。
<学部>
教育学部/経済学部/データサイエンス学部
参照:滋賀大学
■新潟大学
新潟大学は5S大学の中では最多の10学部を持つ国立大学で、学生数も約1万人と規模も大きい。キャンパスは、新潟市内に2か所。五十嵐キャンパスは緑に囲まれており、学生が勉学やサークル活動に集中できる環境だ。2017年に開設した創生学部は、自ら課題を見つけて解決する能力を育てることを目的としており、全国的にも新しい教育プログラムとして注目されている。理系文系の区別がなく開かれた学部で、自分で設定した目標のために課題や専門分野を選ぶカリキュラムとなっている。
<学部>
人文学部/教育学部/法学部/経済科学部/理学部/医学部/歯学部/工学部/農学部/創生学部
参照:新潟大学
5S大学のレベルや序列は?他大学群との比較
5S大学は、いずれもその地域では高い水準の大学として知られている。各県の受験生にとっては、最高峰の存在として目標となる大学だろう。しかし、全国的なレベルや知名度についても確認しておきたいところ。
ここでは、5S大学のレベルや序列、よく比較される他大学群などについて解説する。
■5S大学は準難関国立大学群
5S大学は、地方国立大学の中では中上位に属する大学群。理系や医療系の学部を有する大学も多く、比較的難易度が高い。国立大学では、トップクラスである旧帝大(東京・京都・大阪・名古屋・東北・九州・北海道)や、筑波・神戸には届かないものの、一般的には準難関大学として高い評価を得ている。
■私立大学群で有名なMARCHと同等
私立大学群で5S大学と同等レベルと評されているのが、全国的にも有名なMARCHだ。明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学の5大学で、いずれの大学も人気、知名度ともに高い。
一部ではMARCHの方が格上という声もあるが、私立大学の入試科目が2~3教科であるのに対して、国立大学の入試に必要な共通テストは多くの場合6教科8科目。専科に特化した学力ではなく総合的な力が必要になるため、5S大学の難易度も相当だと考えられる。
■5S大学の中での序列
5S大学の中で明確な序列はない。正確には、各大学の特色に違いがあるため、比較が難しいともいえる。
5S大学は、おおよその入試難易度が同じという括りではあるが、有する学部は大きく異なる。偏差値で判断すれば、医学部を持つ信州大学と新潟大学が上位になるが、埼玉大学は教育学部を中心に総合的に評価が高く、滋賀大学や静岡大学にも確かな研究実績がある。それぞれ異なる専門性を確立しているのが、5S大学だ。
■5山大学との違い
5S大学と似た名称の大学群で、5山大学も地方国立大学として一定の知名度がある大学群だ。5山大学に含まれる大学は次の通り。
- 山形大学
- 富山大学
- 山梨大学
- 和歌山大学
- 山口大学
5山大学の共通点は、入試難易度と大学名に「山」が入ること。ちなみに、国立大学ではこれらの他に岡山大学も大学名に山が含まれるが、5山大学より難易度が高いため同じ大学群にまとめられていない。
5山大学の入試難易度は標準レベルとして知られており、5S大学よりもやや下に位置する。とは言え、医学部を有する大学もあり、特に各県においては知名度も評価も高い国立大学の大学群だ。
5S大学に関してよくある質問

最後に、5S大学に関してよくある質問を紹介する。特に、進路に悩む受験生にとって受験校選びの一助になれば幸いだ。
■5S大学に進学するメリットは?
5S大学に進学するメリットは、国立大学であるため学費が安価である点や、教育や研究水準が高い点が挙げられる。また、地方にキャンパスを構えており落ち着いた学習環境が得られる点も魅力の一つ。地域との連携に力を入れている大学が多く、地元企業からの信頼も厚い。5S大学の地元で就職を考えているのであれば、目標にする価値はあるだろう。
■5S大学の就職実績は?
5S大学の就職実績は堅調であり、特に地方公務員や教員への就職に強い。比較されるMARCHとの差として挙がるのが大手企業への就職率で、確かに5S大学はMARCHと比較すると大手企業への就職が少ないが、立地や学生の層を鑑みると致し方ないともいえる。そもそも、5S大学は地元の学生が多く、公務員や地元企業への就職希望者も多いためだ。しかしながら、いずれの大学も高い就職率を誇り、就職支援も充実している。
■5S大学は学歴フィルターにかかる?
地方国立大学であるが故に、主にネット上では学歴フィルターにかかるのではと懸念する声もある。学歴フィルターは企業によってどこでラインを引くかが異なるので断言はできないが、5S大学は国立大学の中でも一定の評価を得ているため、心配しなくても良いだろう。実際に大手企業への就職も多数報告されており、5S大学が地域で積み重ねてきた信頼と実績が確かであることがわかる。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部







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