飲食業界を知り尽くすプロが推薦！渋谷「TO THE HERBS」の薪窯料理とSNS映えだけじゃない〝本物の価値〟とは

【歴戦の営業が「口コミ」新装開店！本当に喜ばれるお店・第1回】
TO THE HERBS 渋谷店　「映え」は当然。本物は「火」で勝負！

TO THE HERBS渋谷店店内の薪窯。

　狭い物件が多い渋谷に、イタリア製の〝本物〟の薪窯が置かれるのは本当に贅沢なことだ。窯の中では、自慢の一品『ブラータチーズのマルゲリータ』が焼け。その隣で「煙が香ばしいから」と選ばれた岩手県産の薪が真っ赤に燃えて時折「パチッ」と小気味よい音を立てる。イタリアから仕入れた粉と水を店でこねて伸ばすのは「味が全然違うから」。こうしてテーブルに来た品の上に載るブラータチーズにナイフを入れると、弾けるように割れる――。

驚きが「特別な日」を演出

　お店の広報担当者が「お客様は本当にお店のことを詳しく知ってご来店になります」と話す通り、現在、飲食店は「SNSが主戦場」とさえ言われる。そんな中、このお店は「行きたくなる情報」だけでなく、「行ってきたよ！」と伝えたくなるワクワク感や驚きまで計算されつくされているから凄い。

　冒頭のピッツァだけではない。例えば屋外のソファと観葉植物で彩られたテラス席は、夏はビヤホールっぽく、冬はストーブで暖まりながらワイワイできるから、単なる飲みと違って誰かに報告したくなるはず。これに驚きのメニュー、ワンちゃん向けのピザも！

　またカフェやスイーツに、渋谷を象徴するハチ公の形のクッキーを付けられるから、観光や女子会で来たお客さんは『渋谷にいるよ！』とSNSにアップする理由ができる。加えて「スイーツとハチ公クッキーを頼まれた場合、スタッフが積極的に『お写真いかがですか？』と伺いますよ」（マネージャー・坂田圭さん）というから嬉しい。

　こんな、よそでは体験できない何かが、招いた仕事仲間やデートの相手の気持ちをくすぐるのだ。

『苺のミルフィーユパフェ』（850円）と『ハチ公クッキー』（250円）。

火の前で語れるカウンターと「料亭の接客」!?

　作りこみは利用シーンにも及ぶ。中でも薪窯の前のカウンター席に関しては筆者の個人的感想を許してほしい。キャンプファイヤーしかり、火があると沈黙は「豊かな静かさ」に変わる。またカウンターは相手との距離感次第で心地よい間隔を決められる。東京全体を探しても、こんなに「二人でじっくり話せる席」はないはずだ。

　一方、個室は8～15名対応で「接待や会食の場合、お土産をお預かりして、お開きの直前に幹事さんにお渡しします」（マネージャー）と、まるで銀座の料亭のような話も。社員が若いIT企業が増える渋谷では、フォーマルすぎる会食や接待が敬遠されることもあるが、このお店は「雰囲気と価格はカジュアル、でも接客はフォーマル」という幹事が絶妙に嬉しいポジションにあるのだ。

右奥が、明るい雰囲気なのにじっくり話せる個室、左側がソファでくつろげるテラス席。

　しかも、貸し切り（要予約）で70～100名様規模の懇親会も可能。デート、ペット連れ、観光、ビヤホール、女子会、接待、懇親会……と、あらゆる需要に応えられるお店だから、覚えておけば検索の手間なくパッと行ける。

パフェの酸味とピッツァの香ばしさがすべてを語る

　こんなお店が料理にこだわっていないはずがない。パフェのイチゴは、クリームとの相性を考え少し酸味が強め、タルトのメロンも産地直送。知っているとちょっと自慢できるのが、夏季限定「うにといくらの冷製スパゲティ」。社長と会長が太鼓判を押す1999年からのロングヒットメニューだけに、「食べに行こうよ」と大切な人を誘う理由にもなるはず。

ウニといくらの冷製パスタ、1780円。筆者、自費でしっかり食べてきました。寿司より旨い。

　あとは何といっても、冒頭のピッツァ。

　炭火で適度に焦げた麦の香ばしさ、ほのかな酸味のトマトソース、これに、日本ではあまり食べられない、乳製品の旨さを凝縮したブラータチーズの味わい。みんながかぶりついてハフハフッとなった瞬間「これ、薪も特別なんですよ」と話し始めれば、テーブルを囲む仲間もきっと盛り上がるはず。

　飲食業界を知り尽くすプロが「最先端の店」とお勧めするのもよくわかるお店でした。

右が『本日のアンティパスト盛り合わせ』2980円、タコとセロリ、じゃがいものバジルソースや熟成マグロのカルパッチョなどが一皿に。左が『ブラータチーズのマルゲリータ』（2680円）

■店舗データ
東京都渋谷区宇田川町4-3 lyf渋谷東京 2階　渋谷駅から徒歩7分
電話　03-5456-0300
営業時間　11～23時 （ラストオーダー22時）
定休日：なし
https://www.to-the-herbs.com/

取材／文　夏目幸明