
ダイソンから新型のコードレス掃除機「Dyson PencilVac(ダイソン ペンシルバック)」が登場した。持ち手と同じ太さの直径38mmというスリムなスティックの中に、モーターやバッテリー、ごみをためるダストカップをすべて内蔵。見た目はまるでモップのような凹凸のない形状だが、パワフルにごみを吸引できる。
日本で発表会を開催。新製品の説明のために登壇した創業者のジェームズ・ダイソン氏。
ドライヤー技術を応用して生まれた、世界一スリムなコードレス掃除機
サイクロン式掃除機、羽のない扇風機、斬新なデザインのドライヤーなど、これまで数々の発明品を世に送り出してきたダイソン。羽のない扇風機からドライヤーが生まれたように、創業者のジェームズ・ダイソン氏によれば、今回のペンシルバックにはドライヤーで培った技術が応用されている。毎分14万回転という超高速回転が可能な、新開発の小型モーターを搭載。おなじみのサイクロン式ではなくフィルター式だが、この小型モーターが強力な吸引力を生み出すという。
直径28mmながら、毎分14万回転という超高速回転が可能な「Dyson Hyperdymium140k モーター」を搭載。
スティックの先には、4つの円すい型ブラシを組み込んだ、「Fluffyconesクリーナーヘッド」を採用。ブラシが双方向に回転することで、「髪などが絡まずにまとまって排出される」とのこと。絡まった毛を取り除く手間がないので、ペットを飼っている人にも良さそうだ。さらにブラシの端が側面から少し張り出した、独自の構造を採用。裏面だけでなく側面でもごみを掻き出せるので、これまで掃除しづらかった壁際のごみも取り残すことなく掃除できる。
新開発の「Fluffyconesクリーナーヘッド」について説明するダイソン氏。
クリーナーヘッドの開発までにはたくさんのプロトタイプが制作されたという。
円すいのブラシが4つ。端が少し張り出していて側面でもごみを掻き出せる。
スイスイ軽く、取り回しがしやすい。狭くて物が多い部屋でも活躍しそう
実際に試してみて感じたのは、視界の広さと重さのバランスの良さ、取り回しのしやすさだ。一般的なスティック型の掃除機では、スティックの持ち手近くやクリーナーヘッドに近い位置に、モーターやダストカップが大きく出っ張っているが、それがないので視界を遮るものがない。おかげで床の様子がよく見えるのだ。
スティックが細いので視界を遮るものはなく、床がしっかり見える。
電源とモード切替ボタン、液晶ディスプレイのみというシンプルなインターフェースだ。
またスティック型は前述のように持ち手近くの上重心か、ヘッド近くの下重心かのいずれかになり、前者は腕に負担がかかりやすく、後者は高い位置に持ち上げて使いにくい。ペンシルバックはやや上重心ながらも重さ1.8kgと全体に軽量でバランスが良く、クリーナーヘッドが軽い。まるで床から浮き上がっているようで、動かしやすいと感じた。
そしてなんといっても、出っ張りがない取り回しのしやすさだ。ベッドの下など狭い隙間にも、スティックがクリーナーヘッドと水平になるよう、床にペタッと着けるようにして掃除することができる。こうした掃除は、ヘッドと本体が別々のキャニスター型では可能だったが、スティック型では難しかった。ペンシルバックは9.5cmの隙間があれば、スティックの長さが届く限り奥のほこりまでしっかり吸い込める。すき間やモノが多く、思うように掃除機を動かせない狭い部屋でもスイスイ掃除ができそうだ。
狭い家具の隙間などもスティックを水平にして掃除できる様子を、ダイソン氏が自ら実演。
クリーナーヘッドには緑色のLEDライトが内蔵されている。前後両面についているので、どちらの方向に進む場合も照らせる。
吸い込んだごみはスティック内のダストカップ(クリアピン)にたまるしくみ。捨てる場合はスティックから取り外し、ごみ箱に向けて引いて押し出す。細い棒状なので先をごみ箱の中にぐっと突っ込んで捨てることができ、飛び散らないのもメリット。ダストカップは小さいが風圧で圧縮されるため、ほこりなどはかなり小さく圧縮される。一般的なフィルター式の掃除機はフィルターにごみがたまると吸引力が落ちるが、フィルターを2重構造にすることで、吸引力が落ちない工夫もされているという。
水鉄砲を押し出す、あるいはところてんを押し出すみたいな容量で、ごみを捨てられる。
ダイソン掃除機初。スマホとつながるスマート機能を搭載
さらに今回、ダイソンの掃除機では初めてスマート機能も搭載。専用アプリをインストールしたスマホとBluetooth接続し、スマホからバッテリー残量やフィルターの汚れ具合、前回いつ掃除したかや、掃除にかかった時間などをチェックできる。トラブル時もスマホに通知され、メンテナンス情報などを確認できるという。
掃除の履歴やメンテナンス情報などをチェックできる。アプリはiPhone、Androidで利用可能。
バッテリー駆動時間は30分で、マグネット式の充電スタンドが付属。別売のスペアバッテリーも同時に充電できる。満充電までは約3.5時間となっている。スタンドには隙間や高いところの掃除に便利な「ブラシ付き隙間ノズル」、ソファーやカーペットなどファブリック掃除用「毛絡み防止スクリューツール」の、2つの付属アタッチメントもセットできる。
ファブリックを吸い込まずに掃除できる毛絡み防止スクリューツール。
価格は4つの円錐ブラシを備える「Dyson PencilVac Fluffycones」が8万4920円、下位モデルでクリーナーヘッドにシンプルなシングルロールを採用する「Dyson PencilVac Fluffy」が5万9840円。ダイソン公式オンラインストアまたは直営店で購入すると、着脱式予備バッテリーが1点プレゼントされる。ダイソンだけに、価格はお手頃とはいかないが、出っ張りのない完全なるスティック型かつ、障害物やすき間の多いところもスイスイ掃除できる小回りの良さは、日本の狭小住宅にマッチしそうだ。
文/太田百合子