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自己破産すると持ち家は処分される?住み続ける方法はある?

2025.06.07

自己破産をすると、原則として持ち家は処分されてしまいます。住み続ける方法もありますが、後でトラブルになるケースもあるので慎重な対応が必要です。

1. 自己破産とは

自己破産とは、借金などの債務(=お金を支払う義務)を免除してもらう手続きです。財産を換金し、そのお金を銀行などの債権者に配った後、残った債務は支払う必要がなくなります。

2. 自己破産をすると、原則として持ち家は処分される

自己破産の手続きでは、破産者の財産が売却などによって換金されます。債務を免除する前に、債権者への配当を行う資金を確保するためです。

生活に必要な最低限の財産は処分されませんが、高価な財産は処分されてしまいます。持ち家についても、破産手続きによって処分されるのが原則です。

3. 自己破産をしても、持ち家に住み続ける方法

自己破産を申し立てつつ、持ち家の処分を回避して住み続けるためには、主に以下の4つの方法があります。

(1)自由財産の拡張を申し立てる
(2)破産管財人に放棄してもらう
(3)家族が買い取る
(4)リースバックを受ける

3-1. 自由財産の拡張を申し立てる

「自由財産」とは、破産手続きによって処分されない財産(=破産財団に属しない財産)のことです。

裁判所は、破産者の生活の状況や財産の種類・額、破産者が収入を得る見込みなどの事情を考慮して、自由財産の範囲を拡張することができます(破産法34条4項)。

持ち家についても、無価値であることが明らかな場合や、売却によって得られる代金よりも費用が上回る場合などには、自由財産の拡張が認められる可能性があります。自由財産の拡張が認められれば、持ち家に住み続けることが可能です。

3-2. 破産管財人に放棄してもらう

裁判所が破産手続開始の決定を行うと、持ち家の管理処分権は破産管財人に移ります。破産管財人は、債権者へ配当する資金を確保するため、持ち家の売却を試みます。

しかし、持ち家の買い手が全く見つからない場合や、売却代金を費用が上回ってしまう場合などもあり得ます。このような場合には、破産管財人が持ち家を放棄します。

破産管財人が放棄した持ち家については、破産者へ管理処分権が戻るので、処分されずに済み続けることができます。

3-3. 家族が買い取る

持ち家を家族に買い取ってもらい、その家族から借りる形で住み続ける方法もあります。

家族が持ち家を買い取る方法は、破産手続きの中で申し出る方法と、または破産申立てをする前に買い取る方法の2通りです。

<破産手続きの中で買い取りを申し出る場合>

破産管財人との間で価格などの条件を交渉します。合意が得られれば、破産管財人から持ち家を売ってもらえます。

<破産申立てをする前に買い取る場合>

あらかじめ家族に対して持ち家を売却してから、自己破産を申し立てます。

不当に低い価格で売却すると、破産管財人によって売却が否認されるなどのリスクがある点に注意が必要です。複数の不動産鑑定士や不動産業者に依頼して鑑定評価や査定を取得するなど、慎重な対応が求められます。

3-4. リースバックを受ける

不動産業者に対して持ち家を売却したうえで、賃貸してもらう形で住み続ける方法もあります(=リースバック)。

リースバックについては、破産申立ての前に行うケースが多いです。家族が買い取る場合と同様に、不当に低い価格で売却すると否認などのリスクがある点に注意を要します。

4. 自己破産以外に、持ち家を残しながら借金問題を解決する方法

自己破産を申し立てながら、家族の買い取りやリースバックなどを通じて持ち家を残そうとすることには大きなリスクが伴います。

リスクを回避しながら持ち家を残したい場合は、「任意整理」や「個人再生」を検討しましょう。

4-1. 任意整理

任意整理は、銀行などの債権者と交渉して、債務の負担を軽減してもらう手続きです。交渉がまとまれば、利息のカットや支払スケジュールの変更などが認められます。

自己破産とは異なり、任意整理では財産が処分されません。持ち家にも住み続けることができます。

4-2. 個人再生

個人再生は、裁判所を通じて債務を減額してもらう手続きです。借金などがゼロにはなりませんが、大幅に減額してもらえる可能性があります。

抵当権などの担保権が付いていなければ、個人再生を申し立てても持ち家は処分されません。

また、住宅ローンを返済中で抵当権が付いている場合も、持ち家の処分を回避できる制度が設けられています。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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