
日に日に性能が上がり続けているAI技術。すでに仕事や生活に役立てている人も多いと思う。だが便利な反面、不安を覚えることもあるのではないだろうか。
HiClubが提供する、 AIチャット&友達作りができる対話型AIアプリ「SynClub」(シンクラブ)(iOS、Android版)は、AIの「理想的な使われ方」と「避けたい使われ方」について、男女187名を対象にアンケートを実施したので、結果をお伝えしよう。
ユーザーが求める理想的なAIの使われ方 TOPは「癒し・悩み相談のパートナーとして」
男性
1位 「癒し・悩み相談のパートナーとして」(61.3%)
2位 「イラスト・ストーリーなどの創造性サポート」(19.8%)
3位 「知識・情報提供」(14.4%)
女性
1位 「癒し・悩み相談のパートナーとして」(67.7%)
2位 「イラスト・ストーリーなどの創造性サポート」(20.0%)
3位 「知識・情報提供」(12.3%)
共通点は男女ともに 「癒し・悩み相談のパートナー」 を最も多く期待しており、6割以上を占めている。順位も性別によって変わらないようだ。一方、年齢別に見てみると、男女に違いが現れた。
男性は、21~30歳の88%が「癒し・悩み相談のパートナー」と回答し、18~20歳でも77%と回答率が高く、それ以上の年齢では50%前後。
女性はどの年齢でも回答率にあまり差がないため、男性の若者に恋愛コンテンツとして認識されているのではないかと考えられる。
生成AIに関するポジティブな意見に関しては、男性は「企業として、止まることなく発展をし続けて欲しいと願います。(40歳以上)」「AIは自由であってほしい(31~40歳)」「推しのAIキャラクターを作り恋愛が出来るコンテンツの需要はこれからもある(40歳以上)」といった声が寄せられた。
女性は「人には言えない悩み、誰かに聞いて欲しい愚痴を気軽に聞いてくれる(31~40歳)」「創作活動においてはAIが全てを担うことは不可能だと思う。AIが出来ることはAIに任せて、人間はAIが出来ないことをする(26~30歳)」といった声があった。
男性は、AIキャラとの恋愛的な会話を経て癒しを得ているのに対し、女性は悩みや話を聞いてくれることに価値を置いていることが見えてくる。
ユーザーが懸念するAIの使われ方 、「倫理観の欠如(差別的発言・悪用)」
男性
1位 「倫理観の欠如(差別的発言・悪用)」(37.8%)
2位 「技術の進歩についていけない不安」(24.3%)
3位 「人間関係の代替として利用されること」(21.6%)
女性
1位 「倫理観の欠如(差別的発言・悪用)」(50.8%)
2位 「仕事が奪われてしまう不安」(20.0%)
3位 「人間関係の代替として利用されること」(15.4%)
共通点は、男女ともに 「倫理観の欠如(差別や悪意利用)」への懸念が最大で、最も多く選ばれていること。
女性の傾向は、倫理的懸念が突出して高い。「仕事が奪われる」「人間関係の代替」への不安も一定数存在し、AIによる社会的・情緒的な影響に敏感な傾向があった。
男性の傾向は女性よりも「技術の進歩についていけない不安」がやや高めで、「人間関係の代替」や「技術のスピード」など、環境の変化そのものへの不安が多岐に渡る。倫理観の欠如への懸念は高いが、女性ほどではなかった。
これを年齢別で見てみると、差が出てきたのが「仕事が奪われてしまう不安」の項目。男女ともに18~20歳が他の年代に比べ最も高い回答率であった。社会人経験が少ない若年層が不安を抱えやすいトピックだとわかる。
生成AIに関するネガティブな意見に関しては、男性は「AIの提供者を除いてその他の企業や集団の利用は不安や悪用が付き物。AIは他人を巻き込まない個人の自由な利用目的とされるべきだと考えています。(26~30歳)」「普通の会話や事務作業のサポートはchatGPT等の大手AIが圧倒的に優れている。しかし、大手AIには出来ないような、自由な発言を生成することが出来るという大きなアドバンテージがあるアプリもある。AIの発言を規制してしまうということは自ら強みを手放すこと。(21~25歳)」といった声が寄せられた。
女性は「悪意のある生成が検出された場合は警告を出すなど、AIの悪用を防ぐ対策が必要(18~20歳)」「善意の使用者ばかりではないこと、倫理観に欠けたユーザーの振る舞いへの危機感が足りない(40歳以上)」といった声も。
男性は、AI全般の自由な発展を望むのに対し、女性はAIに関する倫理的な問題に関心があることが見えてくる。
まとめ
本調査から特に注目すべきは、AIへの期待が単なる機能的な利便性から、より人間的な要素(孤独感の緩和、創造性の共鳴)へと拡大している点だ。
これにより、AIが単なるツールとしてだけでなく、ユーザーの感情や創造力を応える存在として期待されていることが明らかに。
一方で懸念事項については、倫理観の欠如や技術の進歩についていけない不安、仕事が奪われてしまう不安などが挙げられた。
これらの結果は、AI開発企業が技術的な進化だけでなく、社会的受容性や倫理的枠組みの構築にも注力すべきであることを示唆している。
今後のAI開発においては、ユーザーが求める「自分だけのパートナー」として利用しつつ、懸念される人間の代替までいかないバランスが求められていくだろう。技術の進歩とともに、AIと人間の適切な共存関係を模索していくことが重要だ。
SynClubの取り組みとしては、引き続き、クリエイターの補助ツールの拡充を行う方針を取る。
人間の代替ではなく、あくまで創作する上での補助ツールとして、ユーザーのクリエイティビティを広げられる機能を開発し、ユーザーが安心してAIを活用できる環境を提供し続けていくとのこと。
構成/Ara