
コロナ禍の業績悪化で株主優待を改悪したり、廃止したりする企業が相次いでいる。
その一方で業績の回復や個人投資家の要望を背景に、最近株主優待を復活したり新設したりする企業も。本記事では、コロナで明暗を分けた株主優待を比較していく。
コロナ禍で株主優待を改悪、廃止した企業は?
2020年に新型コロナ感染症が急拡大し、その影響で業績が悪化した企業は、株主優待を改悪または廃止した。
例えば、ガストやバーミヤン等を運営するすかいらーく(3197)は、100株で株主優待カード3,000円相当分が年2回受け取ることができたが、2020年12月末から2,000円相当分が年2回と2,000円分下げた。
また、株主優待制度自体が日本企業独自のものであり、海外の投資家や投資信託の投資家は受け取れないし、機関投資家も処分に困ったりするため、株主優待よりも配当を増やしてほしいとする要望もある。
そのなかで、くら寿司は2024年12月に利益還元の公平性を理由に株主優待を廃止することを公表。しかしながら、その影響で株価が大きく下落し、たった2か月でその廃止を撤回することとなった。
個人投資家にはやはり株主優待がある株式が人気で、魅力的な株主優待があると長期で安定的に保有してくれる。このように、株主優待は個人投資家を増やすことができることから、コロナ禍後に業績が戻った企業は株主優待を復活させたり、さらに新設したりする企業が出てきた。
株主優待を復活、新設した企業を紹介
・新設!
トヨタ自動車(7203)権利確定月3月
株主優待について | 株式・格付け情報 | 投資家情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
※100株以上でモータースポーツペアチケット、TOYOTA UPCYCLE(自動車に使用される素材をリサイクルした商品)のグッズの抽選に応募できる。
トヨタ自動車がはじめて株主優待制度を2025年3月末から導入することになった。他自動車メーカーの本田技研工業(7267)や日産自動車(7201)は株主優待制度があったが、トヨタ自動車はこれまで株主優待を行ってこなかった。配当利回りも3.55%と高い。
・新設!
セコム(9735)権利確定月3月
[セコム]株主優待制度について|IR情報|セコム株式会社(9735)−信頼される安心を、社会へ。
セコムもこれまで株主優待制度がなかったが、2025年3月末から株主優待を導入した。セコムの株主優待は、防災グッズで、食品等は毎年見直す必要があることから、毎年優待として届けば備えがしっかりできる。
・株式分割で最低投資金額が2分の1に!
味の素(2802)権利確定月3月
味の素は100株で約60万円程度の投資金額が必要だったが、2025年4月1日に1株→2株とする株式分割をし、100株が30万円程度となり、前より投資しやすくなった。それに伴い、これまでの投資金額なら200株(分割前の100株相当)が株主優待を受け取れる最低投資金額となるはずだが、株主優待制度を変更し、分割後も100株で株主優待が受け取れるようにした。それに伴い、これまで60万円相当を投資しないと味に素の株主優待が受け取れなかったが、投資金額が30万円相当でも株主優待が受け取れるようになった。ただし、注意したいのが最低でも半年以上継続して株主でない株主優待を受け取ることができないため、2026年3月末に権利確定する株主優待を受け取りたい場合は2025年9月末には株主になっていないといけないことになる。