
2025年5月19日(台北時間)、NVIDIAは量子コンピューティングに特化した世界最大級の研究用スーパーコンピューター 「ABCI-Q」 を運用する、産業技術総合研究所(産総研 : AIST)が、量子・AI 融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)を開所したことを明らかにした。
最大級の規模で量子GPUコンピューティングを実現する「ABCI-Q」
量子プロセッサは、AI スーパーコンピューターの能力を拡張し、医療、エネルギー、金融をはじめとするさまざまな業界における世界で最も複雑な課題の解決を支援することが期待されている。
ABCI-Q は、前例のない規模で量子 GPUコンピューティングを可能にすることで、実用的なアクセラレーテッド量子システムの実現に向けた画期的な飛躍を遂げた。
産総研の G-QuAT が運営する ABCI-Q スーパーコンピューターは、2020 基の NVIDIA H100 GPU を NVIDIA Quantum-2 InfiniBand ネットワーキング プラットフォームで相互接続している。
このシステムは、実用的かつ大規模な量子コンピューティング アプリケーションの実行に必要なハードウェアとソフトウェアを統合的に制御するオープンソース ハイブリッド コンピューティング プラットフォームである NVIDIA CUDA-Qと連携している。
■量子コンピューティングの可能性と誰もが活用できる未来の実現を加速するために
NVIDIA の CAE、量子、および CUDA-X 担当シニア ディレクターであるティム コスタ (Tim Costa) 氏は次のように述べている。
「量子ハードウェアと AIスーパーコンピューティングをシームレスに統合することは、量子コンピューティングの潜在的な可能性を引き出し、誰もが活用できる未来の実現を加速します。
NVIDIA と産総研の協力は、量子エラー訂正やアプリケーション開発といった分野の進展を促進し、実用的かつアクセラレーテッド量子スーパーコンピューターの構築に不可欠な役割を果たします」
ABCI-Q の AI スーパーコンピューティングは、富士通の超伝導量子ビット プロセッサ、QuEra の中性原子量子プロセッサ、および OptQC のフォトニクス プロセッサと統合されており、複数の量子ビット実装方式にわたるハイブリッド量子 GPU ワークロードを可能にしている。
今回の発表に際して、産業技術総合研究所 量⼦・AI 融合技術ビジネス開発グローバル研究センター 副センター長の堀部雅弘氏は次のようにコメントした。
「ABCI-Q は、日本の研究者が量子コンピューティング技術が直面する核心的な課題を探索し、実用化への道を加速させることを可能にします。
ABCI-Q に搭載された NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームは、科学者が量子コンピューティングの進展に必要な基盤システムの実験を行うことを可能にし、研究を推進します」
関連情報
https://www.nvidia.com/ja-jp/
構成/清水眞希