
職場の「コミュ力おばけ」に憧れつつ疲れてしまう人へ。自分らしく心地よく人間関係を築くためには、共感のひとことを伝える、相手に質問する、自分をねぎらう習慣を持つ、話の流れを戻す一言を用意することが大切です。無理せず、自分のペースで関わりましょう。
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職場にひとりはいますよね。どこに行ってもすぐに誰かと仲良くなって、会議や雑談でも自然と場の中心になる人。SNSでは、そんな人たちを「コミュ力おばけ」と呼ぶようです。
その姿に憧れつつも、「自分はうまく話せないな」と気後れしたり、ちょっぴり落ち込んだり……そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「コミュ力おばけ」に疲れやすい人が、自分らしく、心地よく職場の人間関係を築いていくためのヒントを、心理カウンセラーの視点からお伝えします。
「コミュ力おばけ」ってどんな人?その魅力と特徴
どんな場面でも人とのやり取りがスムーズで、明るく場を和ませてくれる「コミュ力おばけ」。職場でも重宝されがちな「コミュ力おばけ」の特徴をご紹介します。
(1)雰囲気に安心感がある
話し方がやわらかく、笑顔が多く、声をかけやすい雰囲気を自然にまとっています。職場の朝礼や雑談の場でも、「あの人がいると安心する」と思われることが多く、周囲からの信頼を集めているのが特徴です。本人もその空気づくりを無意識に大切にしている場合が多いようです。
(2)共感するのが上手
「それ分かります」「私も同じ経験ありました」など、ちょっとした一言で相手をほっとさせるのが上手です。会話をただ返すのではなく、気持ちの部分まで受け取ってくれるので、話しやすいと感じる人も多いようです。こうした積み重ねが、信頼を生む要素になっています。
(3)話題が豊富で引き出しが多い
雑談のときにさっと話題を切り出せるのも、コミュ力おばけの特徴のひとつです。最近のドラマや社内のちょっとした話題など、さりげない一言が空気をなごませ、会話が広がるきっかけになっています。周囲の人の表情を見ながら話題を選んでいる人も少なくありません。
(4)リアクションが早くてやさしい
メールやLINEの返信が早かったり、ちょっとしたことに「ありがとう」とすぐ返してくれるのも魅力のひとつ。職場ではこの、レスポンスの速さが思っている以上に印象を左右します。「気づいてくれている」という安心感を、短いメッセージでも届けているのです。
すごく羨ましいものの、実は少し疲れてしまうことも
職場にいる「コミュ力おばけ」は明るくて頼りになる存在ですが、実は少ししんどさを感じてしまう人もいるようです。
(1)自分の話すタイミングが見つけられない
会話がテンポよく進んでいくと、「どこで自分が話に入っていいのか分からない」と感じてしまうこともあります。発言のチャンスを逃してばかりで、自分の意見が伝えられない…と落ち込む人もいるようです。
(2)情報量についていけず、気疲れしてしまう
毎日明るく会話をリードする姿に憧れはするものの、話題の多さやテンポの速さについていけず、気持ちが置いていかれるような感覚になる人も。相手を嫌いなわけではないのに、会話の後はどっと疲れてしまう…そんなケースもあるようです。
(3)比べてしまって、自信をなくすことがある
「あんなふうに話せない自分はダメなのかな」と、つい比べてしまって落ち込む人もいます。コミュニケーションのスタイルは人それぞれと分かっていても、自分の無口さや控えめさにモヤモヤしてしまう時もあるものです。
(4)つい主導権を取られてしまう
職場の雑談や打ち合わせで、いつのまにか会話の流れを持っていかれて、「あれ? こんなはずでは……」と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。相手のペースに合わせているうちに、自分の言いたかったことが言えないまま終わってしまう……そんなこともあるかもしれません。
自分に合った距離感の築き方を見つけよう
話すことが苦手でも大丈夫です。うまく話すより、「きちんと聴ける」ことの方が、ずっと大切にされることもあるんです。無理をしない関わり方のヒントを紹介します。
(1)共感のひとことを伝える
「それ、わかります」「そういうの、ありますよね」など、短い共感の言葉でも相手は安心します。気の利いた返しが思いつかなくても、「そうなんですね」とただ聞いてくれるだけで、じゅうぶん嬉しいもの。話を受け止めてくれる存在は、職場でもとても貴重です。
(2)相手に質問をしてみる
「それでどうなったんですか?」と相手の話を引き出すような質問があると、会話は自然と広がります。自分がたくさん話せなくても、相手が気持ちよく話せる空気をつくることは、十分にコミュ力が高い行動になります。
(3)自分をねぎらう習慣を持つ
うまく話せなかった日も、「それでもちゃんとやりきったよ」と自分を褒めてあげることを忘れずに。自分をねぎらう習慣があると、気持ちが安定し、自然な笑顔や会話も戻ってきやすくなります。
「何か話さなきゃ」と力が入ると、かえって言葉が出てこなくなるもの。でも、緊張がやわらぐだけで、思っていたより話せた、そんなこともよくあるものです。
(4)話の流れを戻す一言を用意する
会話に巻き込まれすぎてしまいそうなときには、「お話が盛り上がっているところですが、◯◯の件に戻してもいいですか?」とやさしく話題を切り替えられるひと言があると安心感が違います。お守りのように、心の中で準備しておくだけでも落ち着きやすくなります。
自分のペースでもしっかりつながっていける
職場にいる「コミュ力おばけ」と比べて、気後れしたり、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。それでも、無理に話し上手になる必要はありません。
話をじっくり聴いたり、相手が安心できる空気をつくったりすることも、十分すてきな関わり方です。「聞こう」と思うその姿勢が、きっと相手の心に届いているはずです。
疲れた日は、「今日もよく頑張った」と、自分に声をかけてあげてください。そうやって少しずつリラックスしていけば、自分らしいコミュニケーションのスタイルが育っていくでしょう。
文/高見 綾
心理カウンセラー|“質上げ女子”のお悩み相談。カウンセラー養成コースで豊富な臨床経験を積み、心の世界で学んだことを現実に活かすアプローチに高い評価をいただく。相談数4千超。著書は『ゆずらない力』(すばる舎)。
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