
ChatGPTは、文章作成の効率を大きく高めるツールとして非常に有用です。一方で「AIが書いた文章は見抜かれるのでは?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
実際に編集者をしていると「あ、これはChatGPTに書かせた文章だな」と感じる時があります。
慎重に利用する必要はありますがアウトプットはAIに任せたいけど、AIに書かせたことはバレたくないという人もいるでしょう。
本記事ではChatGPTに書かせた文章の特徴、AIらしさを抑えるポイント、おすすめのプロンプト例について解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
ChatGPTっぽい文章とは?
「ChatGPTぽい文章」とバレないためには、まずはChatGPTぽい文章を理解しておかないといけません。ChatGPTの文章の一番大きな特徴は「主観に欠けること」ことです。非常に丁寧だけど客観的、そして中立的な立場で語ります。わかりやすい例を挙げると、
「~は面白い」
ではなく
「~は面白いと考えられるでしょう」「~は面白いと感じる人も多いでしょう」
といった表現です。
また、全体の構成が論理的に完成され過ぎているのが特徴です。ChatGPTは何かを説明するときに
①全体像や抽象的な説明
②具体例や問題提起
③結論(まとめ)
という構造で文章を構成します。さらに具体例は箇条書きのように網羅的に紹介しますし、問題提起も両論併記することが多く隙がありません。それにも関わらず、文章の中に強い主張がなく書き手の人物像が見えてこないアンバランスさがあります。
こうした特徴から見る人が見れば「あ、これはChatGPTだな」と気づくわけです。
しかし、こうしたChatGPTらしさはプロンプトの工夫やちょっとたテクニックで人間らしい文章に修正することができます。その方法を紹介していきたいと思います。
ChatGPTに「キャラクターを設定する」
最もお手軽かつテクニック不要でChatGPTらしさを減少させる方法が「キャラクターを設定する」ことです。
例えば、ChatGPTに特に変わった指示をせずiPhoneの魅力を紹介する短い記事を書いてもらうと次のようになります。
プロンプト:iPhoneの魅力を紹介する短い記事を書いてください
iPhoneは、直感的なユーザーインターフェースと洗練されたデザインを兼ね備えたスマートフォンで、日常のあらゆるタスクをスムーズにサポートしてくれます。特にAシリーズチップによる高速な処理能力や、セキュリティ面でのFace IDやプライバシー管理機能の強化が魅力です。また、Apple製品との連携性も高く、エコシステムの中心として機能します。写真・動画撮影、ビジネス、エンタメまで、幅広い用途において高いパフォーマンスを発揮することでしょう。
ここに「誰が」という属性を加えることでかなりイメージを変えることができます。
プロンプト:20代の女の子が書いたような口調、価値観、知識量でiPhoneの魅力を紹介する短い記事を書いてください
正直、iPhoneないと生きてけない(笑)。写真もキレイだし、インスタの加工アプリもサクサクだし、AirDropで友だちと動画とかすぐシェアできるの神。あと、iPhoneってなんか持ってるだけでおしゃれに見えちゃうところも好き♡通知とかもApple Watchと連携できるし、もはや生活の一部って感じ!
プロンプト:40代のビジネスパーソンが書いたような口調、価値観、知識量でiPhoneの魅力を紹介する短い記事を書いてください
iPhoneは単なるスマートフォンではなく、ビジネスインフラの一部だと感じています。Face IDによるセキュリティの高さ、iCloudでのデータ同期、MacやiPadとのシームレスな連携は、日々の業務効率を大きく向上させてくれます。メールやスケジュール管理、オンライン会議の安定性も抜群で、外出先でもデスクにいるのと変わらない仕事環境を構築可能です。Apple製品を軸にしたデジタルライフは、今や時間と生産性の両方を最大化するための選択肢だと思います。
いずれもChatGPTがアウトプットした文章ですがイメージが全然違いますよね。ChatGPTが作った文章を自分が書いたように見せたい場合は「あなたは⚫︎⚫︎(自分自身の属性)です」とプロンプトに入れるだけで、同じ目線で書いてもらうことができます。
「感情/主観」を入れる
先ほども紹介した通りChatGPTは非常に客観的かつ中立的です。ならばChatGPTの文章に感情や主観を入れることで、人間らさしさを出すことができます。
例えば、嬉しい/悲しいといった「感情表現」や「自己の体験」を挿入する、「主観的なフレーズ」を使うことが考えられます。前段のiPhone紹介記事(キャラクター未設定)を少し変更してみましょう。
iPhoneは、直感的なユーザーインターフェースと洗練されたデザインを兼ね備えたスマートフォンで、気づけば日常のあらゆるタスクをスムーズにサポートしてくれているんです。特にAシリーズチップによる高速な処理能力や、セキュリティ面でのFace IDやプライバシー管理機能の強化が魅力です。私の場合、普段からスマートホンで動画を見たり写真編集を行なうので優れた処理能力は非常に助かります。やっぱり、Apple製品との連携性も高く、エコシステムの中心として機能するのも嬉しですね。写真・動画撮影、ビジネス、エンタメまで、幅広い用途において高いパフォーマンスを発揮することでしょう!
どうでしょうか。かなり人間っぽくなったと思いませんか?ChatGPTの構成を崩さずにそのまま使いときにはかなり便利なテクニックになります。
他にも、もっとカジュアルな口調が許されるなら「~みたいな感じ」とか「~かも?」といった表現もおすすめです。
あえて不完全にする
ChatGPTの文章を改悪することで人間らしさを演出できます。書いてもらった表現から「私ならこれは言わないな」とか「この発想はなかったな」という箇所を削除もしくは自分の言葉で言い換えてみるだけです。
全体のクオリティは多少下がるものの、より自分の言葉に近づけることができるので読み手(聞き手)に「あなた自身」と「あなたの文章」のギャップの違和感を感じさせずにすみます。引き続きiPhone紹介記事(キャラクター未設定)を例に、少し改悪をしてみます。
iPhoneは、使いやすさとデザイン性を兼ね備えたスマートフォンで、日常のあらゆるタスクを自然にサポートしてくれます。高速な処理能力やFace IDやプライバシー管理機能が魅力的で、Macとの連携性も高く非常に便利。写真・動画撮影、ビジネス、エンタメまで、幅広い用途において高いパフォーマンスを発揮します。
日常的に使わない表現を削ることで平凡ではあるが、普通の人間が書いた文章のように見えます。また、使用できるシーンは限られるかもしれませんが「誤字」や「間違い」を混ぜるというテクニックもあります。
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数年前に比べるとChatGPTは自然な文章が書けるようになってきたとはいえ、まだまだ「らしさ」はあります。今回紹介した要素もひとつだけでなく複数使うことでより人間らしい文章に近づきます。
自分なりの工夫を見つけてみるのも面白いかもしれませんね。
文/峯亮佑