軽快なのに本格的!レンズ一体型の1億画素デジカメ「GFX100RF」を触ってわかったFUJIFILMの戦略
2025.05.25
■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
ラージフォーマットを気軽に使える
中判=大げさ、の時代は終わった。FUJIFILMが送り出した「GFX100RF」は、1億画素という超高解像度を軽量ボディに詰め込み、「中判をもっと使える存在に」という設計思想を体現したモデルである。フルサイズのセンサーと比較して約1.7倍の面積を誇る同社のラージフォーマットは、高画質であることは分っていたのだが、今まではサイズや価格の面で敷居が高かった。それを打破する実勢価格約75万円と重量約735gで「GFX100RF」が登場した。
今回、タッチ&トライイベントにて実機に触れる機会を得た。スペックだけでは見えてこない、現場での使い勝手や描写力を確認した。
アルミのブロックを彫刻のように削って継ぎ目のないトップカバーが完成する。ほとんどを削ってしまう贅沢な作り方だが、強度は抜群だ
1億200万画素を約735gで持ち歩く
GFX100RFの心臓部に選ばれたのは「GFX100S II」と同等の有効画素約1億200万画素の裏面照射CMOSセンサーと最新画像処理エンジン「X-Processor5」である。これによって処理速度が改善され、中判デジカメを感じさせないAF合焦速度と連写性能を実現したのだ。レンズは35mm換算で28mm相当の35mmF4の単焦点レンズを搭載する。
GFX100RFはレンジファインダースタイルを採用している。そのため軍艦部の天板はフラットで、正面には文字や数字が一切入らないシンプルなデザインになっている。これは「LEICA M」シリーズのPモデルを思わせる。軍艦部はアルミ削り出しという贅沢な製造方法で作られ、これを視覚と触覚で感じ取るにはシルバーモデルがいいと思った。アルミ削り出しを黒く塗るのはもったいない。高級感のある金属パーツへのこだわりはダイヤルやレンズリングにも及び、レンズフード、レンズキャップも金属製が付属する。
そこまで金属化しても重くならなかった理由は、レンズ固定式でカメラ内手ブレ補正機能なしのレンズシャッター形式の採用などが考えられる。
GFXシリーズに初登場したシルバーカラー。軍艦部のエッジが美しい
レンズ周りにも金属パーツが多用されている。金属製の四角いレンズフード、フード用の四角いレンズキャップ、金属製の丸型レンズキャップ、ショルダーストラップと充実した付属品が同梱される
フィルター径は49mmでアダプターリングを使い装着する。保護用のマルチコートフィルターも付属。フィルターを外した時の化粧リングも付属する
1億200万画素を活かす専用設計レンズ
本機に搭載された単焦点レンズ「GF35mmF4」は2枚の非球面レンズを含む8群10枚構成で、最短撮影距離は0.2m、4段分のNDフィルターを搭載する。カメラボディに手ぶれ補正機能はないが、レンズシャッターなので振動は少なく音もい小さい。脇を閉めれば1/15秒でもブレなかった。何枚かシャッターを切れるのなら1/4秒ぐらいまでブレずに撮れそうだ。その解像度が素晴らしいのは予想できたが、16bitある階調性の深さのおかげで、奥行きと立体感のある画像が得られた。
新設されたデジタルテレコン切換レバーを使えば、画像をクロップすることで35mm換算で28mmから、36、50、63mmまで画角が変えられる。つまり、単焦点レンズだが合計4種類の画角が選べるのだ。クロップ範囲はEVFか液晶モニターで確認できる。ここにサラウンドビューという機能があり、白い枠を出してレンジファインダー風に画角を表示、または範囲外を薄暗くもできる。加えてクロップした画角の全画面表示にも対応。ズームレンズを使わずに1億200万画素の強みを活かして画角が変更できる。
LEICAを持つとどのモデルも予想外に重く、その重量感に高級感を感じるのだが実際に持ち歩くとそれがだんだんと重荷に感じられる。その反対に「GFX100RF」で見た目より軽く、拍子抜けするのだが、持ち歩けばありがたさを実感できる。軽くてラージフォーマット。重さもサイズも型破りで、銀塩時代からカメラをやっている人ほど、その驚きは大きいと思う。機会があればラージフォーマットの破壊力をぜひご自身の目で確かめていただきたい。
なんと9種類のアスペクト比が選択できる。また、コマンドダイヤルからのアスペクト比切り替えにも対応
高さを抑えるため液晶モニターは3:2の3.15型チルト式を採用
ブラックモデルはレンズ鏡胴部もフードも全てブラックアウトされプロっぽい雰囲気を出している
フロントコマンドダイヤルの下に新設されたのがデジタルテレコン切換レバー。35mm換算で36、50、63mmに切り替えられる
外部メモリーはUHS-II/SDXC対応のデュアルスロットを採用
写真・文/ゴン川野