
日本政府は、革靴に対してかなり高い関税をかけているのをご存じだろうか?
何と、「1足あたり30%または4,300円のどちらか高い方」である。この事実を、アメリカのトランプ大統領は知っているのだろうか? もしも知っていたら、日本に「革靴の関税を撤廃しろ!」と要求してくるかもしれない。
アメリカ製の革靴、それもブーツは決して安いものではない。が、アメリカ製ブーツはバイクに乗るオトコの憧れでもある。
実は、ABCマートが数年に一度のペースでチペワのエンジニアブーツのバーゲンを行っているのだ。
マーロン・ブランドのブーツ
革靴メーカーのチペワの創業は1901年。ウィスコンシン州チペワフォールで最初の製品を作ったのが社名の由来だという。
「人種差別の是正」という名目でネイティブアメリカンの一部族の呼び名を変更する動きがあるが、チペワの場合は今もその社名とネイティブアメリカンの顔をあしらったマークを維持し続けている。先住民に対する尊敬の念がなければ、このようなことはしないだろう。
チペワといえば、往年の名優マーロン・ブランドが1953年に公開の映画『乱暴者(あばれもの)』で同社のエンジニアブーツを履いたことでも知られている。この時のブランドはリーバイスのジーンズに身をまとった上でチペワのエンジニアブーツを履いていた。今でこそ珍しくないファッションだが、当時は「街中でジーンズとライダー用ブーツを履いているのは不良しかいない」と思われていた。
しかも、スクリーンの向こうのブランドはバイクに乗っている。「バイクを買えるほどの経済力のある白人の青少年が、大学に行かず暴走族に入っている」という設定自体、それまでのアメリカ人の倫理観に真っ向から挑戦する内容だった。「実家が太ければ子供はグレない」はずだからだ。
しかし、若者たちは何かにつけてピューリタリズムを振りかざす大人たちの偽善を見抜いていた。そして、大人たちが頭ごなしに否定するファッションを堂々と身に着けるようになった。そのひとつがチペワのエンジニアブーツだったのだ。
ABCマートがバーゲンを実施中!
そんなチペワのエンジニアブーツは、決して安いものではない。
日本で買うと通常は3~4万円台で、それ故に「中古の靴を安く買う」という手段も浮上するほどだ。この物価高の時代、さすがに靴に4万円は……と考えるのは至って自然な人情である。
ただし、数年に1度のペースで行われているABCマートの「チペワバーゲン」を利用すれば話は別だ。
これは恐らくチペワ側の供給能力が関係していると思われるが、ABCマートでは不定期でチペワのエンジニアブーツの大幅値引きが実施される。今この記事を書いている時も、『チペワ 11 STEEL TOE ENGINEER スティールトゥエンジニア 1901M05』等4種類のエンジニアブーツが2万2,000円で販売されている。
断言するが、これは家族から「衝動買い」と言われるのを覚悟で飛びつくべきだ!
「Made in USA」を安く手に入れよう
外国製のエンジニアブーツで2万円台といえば、通常であれば中国製かミャンマー製、もしくはメキシコ製である。
それらの国で生産される靴が悪いというわけではなく、たとえばリーバイスのジーンズは今やアメリカ以外の国で生産されている。しかし……いや、だからこそチペワやジャスティン、レッドウイングといったアメリカのシューズメーカーは積極的に「Made in USA」を打ち出している(チペワとジャスティンは現在では同資本だが)。
「アメリカは恐ろしく広い荒野を開拓した歴史があり、丈夫なワークブーツを作れるのは自分たちだけなんだよ」という自負が製品から感じ取れる。
その上で、チペワの場合はレッドウイングの製品よりも革が柔らかく、筆者はチペワのブーツを履いたことによる靴擦れをまだ起こしたことがない。逆に言えば、レッドウイングはかなり分厚い革を使っているということだが……。ともかく、スニーカー感覚の歩行を可能にしているのがチペワの持ち味なのだ。
靴は「一期一会の代物」
さて、日本人がアメリカ製の靴を選ぶとしたら最も多いのは8~9Hの間ではないか。
当然ながら、このあたりのサイズはバーゲンが行われると「争奪戦」になりやすい。筆者の靴のサイズは9~9Hのため、うかうかしていると売り切れになっている……という可能性がどうしても否めないのだ。
靴というものはサイズの融通が利かないため、それ自体が「一期一会の代物」になりやすい。
ちなみに、上述の『チペワ 11 STEEL TOE ENGINEER スティールトゥエンジニア 1901M05』の9Hは筆者がこの記事を書いている最中に「売り切れ」になってしまった。同じ価格での入荷は、恐らく数年先になるだろう。これは2023年の暮れ頃に同様のバーゲンでチペワのエンジニアブーツを購入した、筆者の経験則に基づく予想だ。
米すら買うことが難しくなった今、だからこそ「有名ブランドのバーゲン」に対しては常にアンテナを張っておくべきである。
【参考】
ABCマート
文/澤田真一
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