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AIが作る文章にオチはあるのか?試してわかった「人間のライター」が消えない理由

2025.05.26

ライター共通の悩み、それは「スタック」ではないか。

文章を書いている最中、「次の一文はどう書こうか、どのような表現を使おうか」とスタックすることがよくある。これは非常に厄介で、最悪何日か過ぎてもまだ一文を捻り出すために悩んでいる……などという事態も。

そんな時、Googleドキュメントが不意に『テキスト作成のヒント』なる機能を勧めてきた。これに「文章の続きを書いて」と入力すれば、その通りの文章をAIが作ってくれる……という代物だ。

まさに「悪魔の誘い」であるが、今回は敢えてその誘いに乗ってみようではないか。

AIの文章って、どうなの?

どの媒体でも「記事を生成AIに書かせてそれを自分の名義にして入稿する」という行為はご法度のはずだ。それをやったら、筆者は失業するだろう。

しかし、「今現在のAIがここまでできる」ということを証明するためにAI製の文章を使うなら問題はないはずだ。というわけで、以下に記載する太字の文章はGoogleドキュメントの『テキスト作成のヒント』を利用して作った文章であることを断っておきたい。「続きの文章を常体で書いて」と指示を出す。

生成AIで作った文章は、どうしても記号の羅列、文章の「繋ぎ目」がどうにもならない。

文章の書き出しもあまり人間がしないような書き出し方をしてくる(というか人間がやるまでもないことを書くので人間の文章として成立しない)。

何より文章を作る上では非常に大事な文章の「オチ」がない。

……というわけで、まだ原稿を丸々AIに書かせるのは難しいと判断。引き続き自分の手で文章を作ることにした。今回はあくまで「AIがどこまで文章を作成できるか」のチェックということでご容赦いただきたい。(以上、AIが作成)

面白いことに、「生成AIで作った文章はこんな欠陥がある」と伝える文章を生成AIが作る……という妙な流れになった。いささかややこしいが、Googleドキュメントと連携するAIは「この原稿の筆者はAI製の文章を批判したがっている」と認識したようだ。

記事執筆に必要な「ノリ」

記事執筆で最も必要なもの、それは「ノリ」である。直前に決めた執筆の方向性が途中で屈曲してしまわない限り、自分の持ち合わせている語彙で数百字、場合によっては1,000字以上それで書き通すことができる。

ただ、やはり執筆の方向性をどこかで変更せざるを得ない……ということもよくある。スタックはそんな時に訪れる。

「ノリ」を最後まで貫くことは非常に難しい。どうしても筆が止まる時は、いったん休憩を挟んで気分転換をした方がいいだろう。

今回はAIに文章を作らせてみたのだが、結局のところ、自分の手で文章を作らない限り自分の文章とは言えない……という結論になった。やはりここはAIに頼らず、自分の力で最後まで文章を作り上げよう。

AIはあくまで「サポート」の一環でしかない。人間が文章を作ることの代わりにはならないし、なることもないはずだ。(以上、AIが作成)

……という具合に、生成AIは確かにスタックを乗り切れるだけの文章を作ってくれる。このあたりの技術の進歩は、プロの物書きであれば誰しも認めざるを得ないだろう。

AIを相手に「文章のスパーリング」ができる!

『テキスト作成のヒント』を使ってズルをしようと思えば、難なくできるだろう。そのような角度から見れば、『テキスト作成のヒント』はやはり「悪魔の誘い」だ。

が、これを敢えてプラス思考で捉えてみよう。『テキスト作成のヒント』がGoogleドキュメントに実装されたことにより、今現在のAIと自分の技量をいつでも比較できる環境がついに実現した……ということになる。

AIに文章を書かせることはライター業の世界ではタブーだが、しかし「この次の文章をAIはどのように書くのか?」という確認はむしろ積極的に行うべきである。囲碁や将棋の棋士も、今やAIを相手に練習を積む。結果、昔なら「100年に一度の天才」と呼ばれていたであろうレベルの若手棋士が何人も登場するようになった。

AIを相手にスパーリングすることで、文章の腕を磨くという使い方ができるのだ。

文章作成AIはあくまで道具であり、使いこなすのは人間である。だからこそAIの限界を知り、自分の強みを生かすべきだ。AIにできることは効率化と下書きの支援であり、最終的な判断と創造性は人間の手に委ねられる。AIとの協働を通じて、文章作成の新たな可能性が見えてくるだろう。

重要なのは、AIを単なる代替ではなく、強力なパートナーとして捉えることだ。(以上、AIが作成)

人間のライターは消えない

2年ほど前まで我々の業界には「書き起こしライター」という職種があった。これは取材を録音したデータから内容を文字に起こすという役割の仕事で、ライターによってはこれが苦手もしくは全くできないということがある。何を隠そう、筆者も文字起こしができない(あれほどつまらない仕事はない)。故に、取材担当のライターとは別の文字起こし専門ライターを用意する必要があったのだ。

しかし、そんな書き起こしライターはAIの文字起こし機能によりほぼ完全に姿を消してしまった。

では、ライターそのものがAIに駆逐されてしまう日が来るのだろうか? 筆者はそうは考えていない。

これは、上述の囲碁や将棋で発生しているのと同じ現象である。AIが賢くなればなるほど、人間のライターは「AIは自ら物事を経験しているわけではない」という点に注目するはず。つまり、AIに負けじとライターがよりアクティブになり、様々なことを体当たりでやってのけるようになる……というわけだ。

そうした意味で、Googleドキュメントの『テキスト作成のヒント』は非常に有意義なツールと言えよう。

文/澤田真一

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