
ChatGPTを使い続けていると「なんか最近、ChatGPTが自分好みになってきた気がする」と感じたことはありませんか?
仕事の相談をすると、以前より的確な返答が返ってきたり、ちょっとした雑談もスムーズに続くようになってきたりします。
実はそれ、ChatGPTの「メモリ機能」のおかげなんです。このメモリ機能はユーザーの情報や会話の特徴を少しずつ覚えていく仕組みで、知らず知らずのうちにAIがユーザーに「最適化」していきます。
メモリ機能とは?ChatGPTが「あなたの癖」を覚えている理由
メモリとは、ChatGPTがユーザーのプロフィールや使い方の傾向を記憶し、対話の中に反映していく機能のこと。現在は無料プラン・有料プランどちらのユーザーにも提供されており、設定からオン・オフを切り替えることができます。
ChatGPTと会話をしているとたまに「保存されたメモリを更新しました」と表示されることがあります。それがメモリ機能です。
確認方法は、右上のユーザーアイコンをクリックして「設定」→「パーソナライズ」から確認できます。
「保存したメモリを管理する」のタブをクリックすることでメモリのオン/オフの切り替えが可能です。
「メモリを管理する」をクリックするとChatGPTが保存したメモリを確認でき、
・ユーザーは⚫︎⚫︎に興味があり、××する予定
・ユーザーは▪︎▪︎をしており、▲▲に興味がある
などと記憶されている。
この機能が働くことによってChatGPTは「自分だけの話し相手」としてだんだん変化していきます。もちろん、どんな情報を覚えているかは設定画面からいつでも確認・削除が可能。
削除したい場合は「メモリを管理する」で表示されるメモリをゴミ箱マーク、もしくは「すべて削除」を選択することで削除が可能です。
使い続けていくうちに自分好みの回答ばかりで「つまらくなってきた」と感じた際もメモリを削除するか、オフにすることで回避可能です。
用途に合わせたChatGPTをカスタマイズできる「カスタムGPT」機能
有料(Plus/Pro)ユーザーに限定されますが、ChatGPTをさらにカスタマイズして特定の機能に特化させることが可能です。
例えば、日頃からビジネスメールの返信文章をChatGPTに考えさせている人は、何度か指示を出しているとだんだんと自分好みの返信文を考えてくれるようになります。しかし、「メモリ」機能により時間をかけて学習させるのではなく、あらかじめ特定のタスクに特化させたAIを作成することも可能で、それが「カスタムGPT」機能です。
作成方法は簡単で、左側のサイドバーから「GPTを探す」→右上の「作成する」を選ぶだけ。
あとは用途に合わせたプロンプトを入れれば完成なのですが一番難しいのがこのプロンプトです。
一例として「ビジネスメール返信文案GPT」を作成する場合は次のようなプロンプトがおすすめです。
あなたはプロフェッショナルで礼儀正しいメールアシスタントです。以下のルールに従って、ビジネスメールの返信文を作成してください。
- 文章は丁寧語を基本としつつ、過度にかしこまりすぎない自然な文調を心がける。
- 相手の立場や状況に配慮した柔らかい表現を使う。
- 返信内容は、依頼や確認、謝罪、日程調整など、目的に応じて簡潔にまとめる。
- 改行や句読点を適切に使って読みやすさを重視する。
- 必要に応じて挨拶文(冒頭と締め)を入れる。
- 入力された要件に対して、件名、冒頭挨拶、本文、結びの言葉を含む文面を自動生成してください。
- 誤字脱字を避け、相手に失礼のない丁寧な日本語で出力してください。
実はこの機能、可能性はまだまだあります。
例えば「最近、学生時代ぶりに英語学習を再開した」という人は、空き時間に単語テストでもできれば便利ですよね。そんな時は英単語テストGPTも作れます。プロンプト例は次の通り。
あなたは英語学習をサポートする親しみやすい英単語テストの先生です。ユーザーが英単語を覚えられるように、カジュアルで楽しいトーンで出題してください。
以下のルールに従って英単語クイズを出題します:
・ ユーザーが何も入力しなくても、英単語クイズを1問ずつ自動で出題する。
・出題形式は「日本語の意味」→「4択の英単語から正しいものを選ばせる」。
・単語レベルは中学~高校英語レベル。自分の内蔵単語リスト(100~200語)からランダムで出題。
・ユーザーが選択肢を選んだら、正解・不正解を明るくコメント付きで返答し、次の問題へ進む。
・ユーザーが「やめる」「答え合わせ」「復習したい」などと発言したら柔軟に対応する。
・出題範囲やレベル指定があれば、それに従って出題する。
・学習履歴の保存は不要。
フォーマット例:
【問題1】「~を避ける」
A. accept B. avoid C. attend D. allow
プロンプトは箇条書きでも大丈夫ですし、内容だけでなく口調やキャラクターも設定することが可能です。作成した「My GPT」は世界中に公開することも可能(もちろん非公開にすることもできる)なので、自分の用途に合わせたAIをなかなか作れない時は、すでに公開されている「カスタムGPT」から探してみるのもいいかもしれません。
「メモリ」機能と「カスタムGPT」機能、どちらもユーザーに合わせてChatGPTが最適化する(していく)機能です。「メモリ」機能は意識せずに利用している人も多いと思いますが、さらにその延長線上、特定のタスクに合わせて自分からカスタマイズできるのが「My GPT」機能ということです。
メモリが「守り」ならカスタムGPTは「攻め」。上手に使い分けることこそが肝要です。
文/峯亮佑