
シンプル葬が広がる中、お通夜や告別式を行なわず、故人を直接火葬場へ運んで送る「直葬」が増加中。この移動車両に、葬儀も執り行なえる祭壇を設備したのが、大阪の葬儀会社ファミマールが開発した移動葬儀車『旅路』だ。
移動葬儀車とは?
「最近は寝たきりになり病院や施設でお亡くなりになる方が増えています。火葬場に着くまでに、故人が行きたくても行けなかったご自宅や思い出の場所へ寄り道ができないか。そんな思いが『旅路』をつくるきっかけになりました」(ファミマール代表・小山周作さん)
移動葬儀車にはバスタイプもあるが、同社は都市の住宅地にも入りやすい車種(トヨタ『アルファード』)を採用。寝台車、霊柩車の利用に加え、後部に祭壇を組むことで、小さな葬儀会場にもなる。
「入居施設の敷地内やご自宅の車庫にも停められます。施設入居者やご近所の方が斎場に出向くことなく、最期のお別れができます」
さらに同社では故人の思い出の地を巡るメモリアルドライブプランも用意している。
「直葬はちょっと味気ないと思われる方にご利用いただいています。生前に交流のあった方が一人でも多く故人を偲んでいただく場となればうれしいですね」(小山さん)
【DIMEの読み】
クルマ1台ぶんのスペースがあれば、どこでも低コストでお葬式をあげることができるのが特徴。故人に一歩寄り添った「直葬」として、特に核家族の多い都市部を中心に広がっていきそうだ。
季節や故人の趣味に合わせた色彩照明も
祭壇は短時間で組み立てが可能。照明の色も自由に変えることができる。今後は車内モニターに遺影や故人の動画などを映し出せるように仕様変更を検討中。
バリアフリー仕様で車椅子の参列も可
バリアフリーにより、車椅子でのご焼香にも対応。僧侶の手配も行なう。式場不要、移動葬儀車で全てが完結する新様式の家族葬「旅路プラン」は13万2000円~。
取材・文/安藤政弘 編集/原口りう子