
近年、Z世代が重視する「ローリスク仲間」。時にストレスを生むSNS交流とは一線を画し、気を遣わず素の自分でいられる同性の友人を指す。
なぜ、ローリスクな仲間を求めるのか?
重視される背景として、博報堂生活総合研究所でZ世代研究を進める伊藤耕太さんは、SNSの普及や中高一貫校の増加など友人関係がリセットされにくい環境を挙げる。また、昨今のコンプライアンス意識の向上で、周囲と好きな話がしづらくなっているとも指摘。
「同質性の高い集団での深い信頼関係は心理的安全性を高め、自己肯定感や幸福感を育てます。調査でも、この30年間で生活への満足や幸福感などを感じる若者が大幅に増えており、ストレスの多い現代社会でメンタルヘルスを保つ助けになっています」(伊藤さん)
ローリスク仲間におけるデメリットについても尋ねてみた。
「どうしても情報が偏り、多様性への理解や異文化コミュニケーション能力、客観的な判断力が育ちにくくなる可能性があります。過剰に恐れることなく、環境の異なる人やインターネット・SNSを通じて“弱い繋がり”を持つことが、時に驚きやリスペクトを生み出すこともあり、成長に必要だと思います」(伊藤さん)
【DIMEの読み】
ローリスク仲間は単なる親友ではなく、リスク回避のためのサステナブルな関係。SNS上の関係とも並行しながら、先行き不透明なVUCA時代の生存戦略として、1つの正解になっていくのでは。
30年間で友人関係は大きく変化
(出典)博報堂生活総合研究所「若者研究」をもとに編集部作成
友人は多ければ多いほどいい時代は終わり、それよりも気の合う友人が数人いればいい。恋愛離れの傾向もあり、居心地がいいと感じるのは同性同士が6割超。
素の自分でいられることを重要視
仲のいい男性同士でスイーツを堪能し、趣味時間を共有することも。異性とはできない話も気兼ねなくできて、〝自分が好きな自分〟でいられるとの声も。
取材・文/石原亜香利 イラスト/羽田創哉 編集/髙栁 惠