諦めてしまった旅客機のパイロットになる夢をかなえる。そんな体験を提供すべく、ジャルパックでは『“本気”のパイロット訓練体験 10days』を販売した。単なる趣味感覚ではない! 世界を飛び回るパイロットの仕事の醍醐味や奥深さを理解するためしっかり座学を受けたうえで、実際にパイロットが使用しているシミュレーターによる訓練を体験できるなど、特別な体験型プログラムなのだ。販売価格は250万円で2名限定! 募集はすでに締め切りとなっているが、すぐに定員を大きく超える申し込みがあったという。
〝本気〟のパイロット訓練体験 10days
JALの大橋篤機長は、2023年春、経営陣から社員に向けて発信されたビデオメッセージで新しいアイデアを募集するという話を受け、すぐにこの企画を提案。大橋機長は、「子供の頃、パイロットになりたかったけれどなれなかった……そんな人は多いはず。その夢を体感できるプログラムを商品化することで、まさに人生にケリをつけることができるのではないでしょうか」と企画を提案した理由を熱く話す。
訓練体験の内容は、実に濃密! 事前に配布された教材を使って学習した後、14時間にわたる座学を実施。その後、フライトシミュレーターを使った4時間×5回のセッションを通じて、飛行機の地上移動、簡易的な管制官との交信、離陸から上昇降下、さらには自分の技術で着陸する訓練も体験できる。またカリキュラムで得た経験を人生に生かす考え方をJALOODA(ジャルウーダ)講義で伝えてもいる。そして、なんと最後のセッションでは、シミュレーターではあるが、羽田空港から伊丹空港までのフライトの機長として、隣に座る副操縦士役の現役パイロットと協力して離陸から着陸までを体験できるのだ。
訓練体験開始へ向けて、大橋機長をはじめ、このプロジェクトに携わるメンバーでオリジナルのテキストを作成したという。大橋機長は「熱意を持って向き合いたい」と本気モード。パイロットライセンスは取得できないが、まさに究極のガチ体験型プログラムなのだ。
【DIMEの読み】
パイロットになる夢を金銭的な余裕が出た大人になった今だからこそ、かなえられるプログラム。本物の機長に加え、JALの施設でレクチャーを受けられると考えれば250万円は高くない……!?
ジャルパック〝本気〟のパイロット訓練体験10days
JALの現役パイロットが講師となり、5~8月にかけて計10日間、羽田空港近くの施設で飛行機のオペレーションに必要な知識やノウハウを学び、シミュレーター訓練体験を行なう。受講料は1名当たり250万円。
【訓練の一例】
・地上での出発前準備(Pushback、Taxi操作など)
・ATC(航空管制)の体験
・離陸操作
・飛行機の操縦特性体験
・PAアナウンスの体験
・目的地に向けての降下進入
・着陸操作
・駐機場への停止(フライトの終了)
【1】教材配布
大橋機長らJAL現役機長がオリジナルで作成した教材が4月25日以降に配布される。
【2】説明
5月にシミュレーター操縦のルール、教材内容や学習の進め方をオンラインで説明される。
【3】座学
JAL施設でパイロットが実際の移行訓練などで必ず受講する「Operation Ground School」を実施。
【4】フライトシミュレーター
7月下旬から2週間で5回のフライトシミュレーター訓練を体験。羽田~伊丹のフライト体験も。
【5】JALOODA講義
5月と8月に各1回、JALで取り組む「一人ひとりが輝き、自律型で生きる生き方」について講義。
ボーイング767型機
機長 大橋 篤さん
1991年、日本航空に自社養成パイロットとして入社。その後、ボーイング747型機、MD11型機を経て、2003年よりボーイング767型機を22年間、操縦する。
本物と同じ計器が並ぶコクピット。最後の訓練では左側の機長席で羽田から伊丹までフライトする。
JALパイロットが日々の訓練で使うフライトシミュレーターで訓練が行なわれる。揺れも再現される。
地上での出発前準備
飛行だけではなく、出発時の地上での航空管制との交信やプッシュバックなどのやり取りも体験。
PAアナウンスの体験
パイロットになれるのなら一度はやってみたい機内アナウンスも体験。何を話すか考えるのも楽しい。
取材・文/鳥海高太朗 編集/寺田剛治